弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年4月13日

日本の裏金(上)

社会

著者:古川利明、出版社:第三書館
 首相官邸・外務省編とある上巻です。内閣の機密費のルーツは、皇室の内帑金(ないどきん)にあるということを初めて知りました。
 敗戦時点(1945年)、皇室の財産は当時のお金で37億円を有していた。三井や三菱でも3〜5億円であったから、その10倍以上だったわけである。内閣機密費は、天皇家から下賜されていた。そして、この機密費は会計検査院の検査の対象外であることが法で明記されていた。
 戦前の機密費は、内閣と外務省については戦後、予算名目上は報償費と交際費とに分割されて今日まで命脈を保っている。
 2000年度予算における機密費の額は、外務省56億円、内閣官房16億円、防衛庁2億円、警察庁1億円。
 官房長官のつかう毎月1億円の官房機密費は領収書が一切いらない。しかし、この月1億円の機密費というのも、実はオモテの予算枠にすぎない。いわばオフィシャルな裏金である。すごいというか、ひどい話です。みんな血税なんですよ、これって。
 戦後、ある時期まで、自民党政権を支えていたのは、CIA資金をはじめとするアメリカからの財政援助だった。CIAは、1955年に自民党が結成されたとき資金援助をしたが、その後も年間100〜150万ドルを援助していた。池田内閣のとき、アメリカからの資金提供を断ったら、本当にお金がこなくなった。
 1968年11月の沖縄主席の初の公選のとき、CIAは、72万ドルを東京の自民党本部を経由して、沖縄自民党副総裁に流れた。ところが、それだけの裏金を投入しても、革新の屋良朝苗が3万票差で当選した。
 消費税を導入するときにも、この官房機密費5億円が動いている。公明党と民社党を抱きこんだのだ。道理で、今でも自公政権なんですね。
 1998年11月投票の沖縄県知事選のときには、現知事陣営でかかった選挙費用のトータル4〜5億円のうち、自民党から来た分が2億円から3億円であり、うち、官房機密費からの分が1億円をこえていたという。
 ホント、世の中いやになってしまう話のオンパレードです。それにしても、街中をメルセデス・ベンツに乗っている人が本当に多いですね。どうやってそんなにもうかっているのでしょうか。裏金のおこぼれにあずかった人はどれだけいるのでしょう。選挙を通じて田舎にも少しは流れてきているのでしょうか・・・。

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