弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2007年4月 6日

清華大学と北京大学

中国

著者:紺野大介、出版社:朝日選書
 中国で有名な大学と言えば、当然、北京大学とばかり思っていました。違うんですね。お隣にある清華大学がナンバーワンの大学なんですね。ちっとも知りませんでした。北京大学には一度、構内に入ったことがあります。広い広い構内でした。カリフォルニア州にあるUCLAにも行きましたが、UCLAも広大なキャンパスをもっていました。
 中国では政府が大学のランキングを公表している。第1位が清華大学、第2位が北京大学、第3位、南京大学、以下、復旦大学、西安交通大学、浙江大学と続く。
 中国共産党の中央政治局常務委員会のメンバー9人のうち実に4人を清華大学OBが占めている。北京大学出身者は政治局常務委員にも政治局委員にも一人も入っていない。中央政府の高級官僚においても清華大学出身者の占める率は高く、それは北京大学の5倍。
 清華大学は、1911年、アメリカ義和団事件の賠償金の返還金をもとに清王朝末期に創設された。
 清華大学卒業生の4分の1は毎年アメリカに留学する。アメリカのハーバード、プリンストン、コーネル、エール大学などの学長が北京に来て学生をハンティングする。学生は、TDEFLの試験は免除、授業料も宿舎費用はすべてアメリカ持ちと優遇される。
 アメリカに渡った学生の多くは中国に戻らず、カリフォルニアのシリコンバレーなどを支え、頭脳面でアメリカをしっかり支えている。
 清華大学出身者が、北京大学の教授になることも多い。その半分を文化大革命のとき、清華大学付属中学の紅衛兵が運動の中核となった。造反有理のスローガンも、ここから始まった。1966年5月からのことである。
 清華大学のキャンパスは404ヘクタール。学生3万2000人。教授陣8000人。そのほか、施設で働く人々が1万人。計5万人が学び、生活している。
 清華大学は頭脳明晰だが、その反面、非常に堅くて保守的。時の体制に従順。それに対して、北京大学は自由な振る舞いが伝統。
 清華大学の入試合格点が出身地によって異なるという仕組みには驚きました。しかも、北京出身者の方が低く(上海はもっと低い)、地方のほうがより高い点数をとらないと合格できない。そこで、子どもと一緒に「高考移民」しようとする親が続出するといった社会現象が見られる。ただし、このインチキがバレると、合格を取り消されてしまう。
 うーん、すごい大学なんですね・・・。
 実は、この本は私の敬愛する大阪の石川元也弁護士から推薦されて読みました。石川弁護士の娘さんが留学されていたそうです。

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