弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年7月19日

トム・クランシーの空母

著者:トム・クランシー、出版社:東洋書林
 現代のニミッツ級空母は、4.5エーカーに集積されたアメリカの小都市に相当する。いつでも一日に700海里以上も移動でき、完全な医療支援、機械整備、ジェット・エンジン試験室、給食活動、コンピューター支援、発電その他を提供できる。
 一隻の空母は60〜70億ドルの価値をもち、6000人以上を雇っているビジネス体であるが、従業員の平均年齢は21歳以下である。
 一個の空母戦闘群に国は200億ドルの資産を投入する。乗艦している1万人の兵士に食事、給与、医療を提供しなければならず。その運用・維持に年10億ドルの費用がかかる。現在、アメリカは12個の空母戦闘群の維持を計画している。通常、2〜3個の空母戦闘群が前方展開している。
 空母には離艦する航空機に速度を与えるカタパルトがある。これは基本的に蒸気動力ピストンである。キャデラックを1キロ先まで飛ばす力がある。
 空母に着艦するのは難しい。2階の窓から白鳥を飛びおりさせ、地面上の郵便切手を舌で見つけ出すことに匹敵する。
 作業が適切なら、20秒から30秒おきに1機を空母に着艦させることができる。
 冷戦時代には、毎年10万人の新兵を採用していた。平和な現在でも毎年5万人ほどを必要としている。新兵募集の目標は、高校卒業が95%、うち65%の知能指数がクラスの最上位にあることとしている。
 1970年代半ばから、空母には男女別々の寝台設備とトイレの区画をもつよう改造された。今では、女性まで殺人マシーンに組み込まれているのですね。
 ニミッツ級空母には6000人が乗る。空母要員として士官155人、水兵2890人、航空要員として士官365人、下士官2500人が乗っている。
 また、ジェット燃料9000トンと爆弾・爆薬・ミサイルを2000トン積んでいる。
 F14・トムキャットは全長19.1メートルの複座・双発の戦闘機である。そして、写真偵察ができる。前方と下方を見るカメラ、航空機の両側を水平線から水平線まで撮影するパノラマ・カメラ、航空機の直下を掃査する赤外線スキャナーをつんでいる。デジタル・カメラとなっているので、飛行中に空母に解像度の高い画像を送ることができる。写真をとって情報士官が確認するまで5分しかかからないシステムで、これは移動目標を迅速に攻撃するために必要な情報を戦闘群指揮官に提供できる。
 トムキャットの最大の欠点は、購入と維持に要する巨額の費用である。
 アメリカ軍の原子力空母の日本寄港が日常化しつつあることを私は大変危惧しています。日本は本当に独立国家といえるのか、根本的な疑問を感じるのです。
 横須賀基地に原子力空母ジョージ・ワシントンが2年後に配備されようとしています。これはアメリカ軍の世界的規模での再編の一環です。アメリカ国防省が今年2月に発表した国防計画の見直しによると、航空母艦や戦略原潜・攻撃型原潜の60%をアジア向けに太平洋に集中配備するということです。横須賀基地への原子力空母の母港化は、そのカナメをなすものです。
 過去の海軍は海上の戦争だけを考えていればよかったが、グローバリゼーションがすすんだ現在では、陸上の作戦に全面的に関わらなくてはいけない。つまり、海から陸上に攻撃をしかけ、大陸のなかにまで軍事的支配を広げることが海軍の中心目標になっている。
 また、石油節約のため、原子力推進艦船をアメリカはさらに重視している。なにしろアメリカ政府機関全体の一日の石油消費量33万バレルの90%をこす30万バレルをアメリカ軍がつかっているのです。
 アメリカ軍の世界戦略にどっぷり組みこまれている日本ですが、それが強まれば強まるほど、戦争に巻きこまれる危険は高くなります。おーいやだ、いやだ。私は絶対にいやです。やっぱりヤンキー・ゴーホームです。

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