弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年7月13日

鈴木敏文の統計心理学

著者:勝見 明、出版社:日経ビジネス人文庫
 セブン・イレブン名物の毎週水曜日の東京本社会議の様子が紹介されている本です。全国から1400人ものOFC(店舗経営相談員。オペレーション・フィールド・カウンセラー)を集めて、毎週毎週、鈴木敏文会長が直接話しかけるというのです。毎週、何をそんなに話すことがあるのか、それが気になって読みました。
 セブン・イレブンの本社は今は移転しましたが、これまでは浜松町近くにありました。今は四ッ谷駅の近くにあるそうです。
 鈴木会長は、話の区切り区切りで、OFCたちに向かって、「みんなわかったね」「約束してくれるね」と念を押す。そのたびに「わかりました」のかけ声があがる。
 鈴木会長は、われわれの競争相手は同業他社ではなく、最大の競争相手は目まぐるしく変化する顧客ニーズであるといい、外資も脅威と考えていない。
 鈴木会長は他店見学をしてはいけないという。今や、もの真似の時代ではないからだ。
 今の日本は多様化の時代というけれど、実は、そうではない。明らかに画一化の時代であり、ますますその傾向は強まっている。みんなが同じ商品に殺到する。
 なるほど、そうなんですよね。多様化どころか、画一化。これが現代日本の困ったキーワードです。個性を生かして、てんでんバラバラというんじゃないのです。
 絶えず仮説を立てて先を見通す努力を怠るべきではないという指摘があり、なるほど卓見だと感心しました。たしかに過去の体験にこだわっていたら、世の中のはやい変化についていけないでしょう。
 ところで、鈴木会長は、「社内では本を読むな」が口癖だといいます。えーっ、そんな、ひどい・・・。そう思いました。ただ、それはハウツー本の類は読むな、ということなので、少し安心しました。そんなものは過去のことをまとめているだけで、新しい時代に向かっては何の約にも立たない。ということなんです。そう言われたら、たしかに・・・、という気もしてきます。
 イトーヨーカードーは、10年前までは2000坪の店舗がもっとも売場効率が良かった。ところが、今は、2倍の4000坪クラスがもっとも利益を上げている。
 セブン・イレブンの顧客の来店頻度は、週2〜3回が31%、週4〜5回と毎日来店をふくめると、週2回以上のお客が63%になる。そんな来店頻度の高いお客にとって、Aランクの商品は、それだけ飽きやすいということ。なーるほど、ですね。それにしても、コンビニに毎日行くなんて人の気がしれません。心の寂しい人なんでしょうね、きっと。
 鈴木会長は、講演に原稿を用意しないという。重要会議でも事前に資料を読まず、テーマも聞かないという。先入観がなく白紙で直観を働かすためだという。そういうこともあるのでしょうか・・・、私にはとても理解できません。
 セブン・イレブンのお客に中高年の比率が高まっている。50歳以上が22%もいる。
 セブン・イレブンで扱う商品は、年間7割が入れ替わる。うーん、なんだか、大変なことですね。若者だけでなく、中高年も寂しい生活を送っている人が、それだけ増えていることなんでしょう。でも、コンビニって、どこでも人間同士のふれあいはありませんよね。若い店員のかけ声はありますが、あれもいかにもマニュアル(教則本)どおりで、嘘っぽくてソラゾラしい気がしてなりません。

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