弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年7月 7日

カメの文化誌

著者:ピーター・ヤング、出版社:柏書房
 亀が2億2500万年も生きながらえてきたということを初めて知りました。ツルは千年、亀は万年といいますが、亀一族の歴史が、そんなにも古かったとは、驚きです。
 亀がこんなに長く生き残ったのは、外骨格、身体をしまいこむ骨質の甲羅をもっていたから。これは長い時間をかけて進化した。はじめは肉を保護するため、ウロコが生えた。このウロコ板が外からの脅威に対応して大きくなり、最終的につなぎあわさって、今のような甲羅ができた。そして、背中と胸の皮膚や筋肉は機能が衰え、萎縮して、骨と甲羅が接触するようになった。ついには体内の骨の大半が、現在の骨の外被と融合し、首と尾の骨が自由に動く状態で残った。
 亀は冷血動物、性格には変温動物のため、体温を維持するのは周囲の環境を頼りとする。亀は温暖な環境に生息する。オーストラリア・ニュージーランドにはいない。
 ゾウガメの強みのひとつは、首と脚を伸ばして寄生虫を外にさらし、鳥についばんでもらうこと。
 亀は冬眠する。野生の状態で6〜10週間、最長で6ヶ月間、亀は飲まず食わずで生き、静止状態の四肢は、そのまま。冬眠に入る数週間前に摂食を停止し、老廃物を一掃して体内で腐敗をおこさないようにする。冬眠のあいだ、亀は水分を行って来も摂取しない。
 亀は基本的に声を出さない。例外的にオスは交尾のクライマックスで歓喜のあまり、口を開いて、金切り声をあげる。ええーっ、本当でしょうか・・・。
 ある女性が1.6キロも離れた場所に引っ越した。飼っていた亀を一緒に連れていくのを忘れていたところ、7年後に、新居に現れたという。信じられません・・・。
 イギリスだけでも、100年間に1000万頭をこえる亀が輸入された。しかし、輸入されて1年をこえて生き延びたのはわずか100万頭だとみられている。
 イスラム教では亀の肉を食べるのは禁じられている。しかし、亀の卵は食べてもよい。ふつうの亀の寿命は30〜50年。しかし、つい先日死んだガラパゴス亀のように175歳の誕生日を元気に迎えた亀がいることも間違いありません。
 福岡城のお濠に、大小とりどりの亀が群がって、よく日なたぼっこをしています。人間も、亀のおおらかさに学びたいものですよね。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー