弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年5月18日

深海のパイロット

著者:藤崎慎吾、出版社:光文社新書
 海の底深く、何千メートルもの深海はものすごい気圧がかかって、地上とはまったく別世界。しかし、そこにもさまざまな生き物がいます。子どものころ、「海底2万海里」の本を読み、ノーチラス号の冒険に胸をワクワクさせていたことをなつかしく思い出します。
 4000メートルより深く潜れる潜水調査船は、世界に5隻しかない。一番深く潜行できるのは、日本の「しんかい6500」。
 宇宙飛行士は、全世界に280人、日本に8人いるのに対して、深海潜水調査船のパイロットは全世界に40人、日本に20人しかいない。
 潜水調査船には当然のことながらトイレはない。大人3人が入るのに。小便をゼリー状に固める薬品を入れたビニール袋が用意されている。大便用に組立式になった紙製のオマルもあるが、船内から臭いは除去されない。私は高所恐怖症であり、閉所恐怖症でもあります。トイレにも、行けないと思ったら、余計に何度でも行きたくなってしまいます。
 日本海溝の割れ目にスーパーの袋がたまっている写真がのっています。そら恐ろしいほどの環境破壊が進行中なのです。
 これまでの最高記録は水深1万916メートルです。アメリカの「トリエステ」が1960年に達成しました。このとき、ヒラメのような魚を見たというのです。ヒラメは8000メートルまでしか生息できないというのに・・・。まだまだ深海の底にはたくさんの謎がひそんでいるのです。
 海底においては、水の中は光の減衰が激しいので、どんなに強力なライトをつかっても、せいぜい15メートルまで。通常は7メートルまでしか見ることができない。
 海中では、減衰が大きいため、電波は利用できない。かわりに音波を使う。音波は水中でも減衰することがなく、遠く何万キロの彼方まで届く。音波は、陸上の5倍の速度、秒速1500メートルで伝わる。したがって、自分がしゃべったあと、10秒間以上も相手の返事を待たされることになる。
 人間が船内に吐き出す二酸化炭素は耐圧殻内の空気をファンで強制的に循環させ、「水酸化ナチュウム」で吸収する。潜水船の船内は寒い。純酸素をつかっているので、火気は厳禁。防寒の対処方法は「厚着」するのみ。こんなにしてまで、なぜ人間が潜るのか。
 やはりビデオではだめ。人間の目で海底を見ると、第六感によって得られるものがある。というのです。なんだか分かる気がします。
 深海にも、さまざまな生き物が人知れず生存していることを知りました。

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