弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年5月 2日

アマゾン源流生活

著者:高野 潤、出版社:平凡社
 私もヘビは嫌いです。見ただけで背筋がゾクゾクしてきます。アマゾン源流には、長さ2メートル、胴まわり直径6センチの大蛇がいるそうです。絶対に近寄りたくありません。ヘビについて、背と腹の模様が同じものは本物の毒ヘビで、違うものは毒ヘビに擬態したモドキもの、なんだそうです。
 ヘビを見たら、細い棒で、頭や胴ではなく、首を狙うのがもっとも確実。下手に切断すると、頭だけがとびついてきたり、逃げられてしまう。
 大蛇をボアと呼ぶ。水中にすむアナコンダなどのこと。長さは15メートルもあるボアがいる。ボアは臭う。体内で獲物を消化させているときのボアは、ひどい悪臭を放つ。だから、嗅覚は敏感になってくるし、また匂いをかぐ力が大切だ。
 テントを張ってキャンプしていると、ジャガーが襲ってくることがある。ジャガーは、いつ、どこで、誰が一人になっているのか、人間の繰り返す行動パターンを観察してから狙っている。とくに、自ら狩りができなくなった老ジャガーが危険。だから、ベース番として残る人は案山子もたてる。ベース周辺に複数の人間の気配を漂わせておくようにする。
 野営したときにアリの大群に狙われたら、おしまい。とくにハキリアリ。ふだんは葉を背負って行列しているおとなしいハキリアリが、自分たちの巣に運ぶ価値があると判断してキャンプ地を狙ったら、もうどうしようもない。食料だけではない。包装しているビニール、テント、蚊帳、なんでも手当たり次第に食らいつき、かみきって運んでいってしまう。
 不用意に捨てたゴミから、何が襲来してくるかわからない。それで、消せる匂いはできるだけ消す。生ゴミも、魚の骨はすべて焼却する。そうしないと、昆虫や哺乳類だけでなく、コンドルのような鳥までやって来る。
 アマゾン流域は、森にしても川にしても、いったん奥に入ってみると、視界をはじめ、期待するような変化はない。生活パターンも単調になってしまう。
 絶対に行きたくない土地ですが、このアマゾンのおかげで地球上の酸素の相当部分が生産されています。また、人類の生存に役立つはずの薬の成分がまだまだたくさん眠っているとみられています。そんなアマゾン流域を開発の名のもとに荒らしているのがアメリカと日本です。日本の責任は重大だと思います。
 それにしても、私はほとんど同世代の著者のタフさと勇気には感心します。アマゾンにテントをはってキャンプするなんて、私にはとても出来ません。まあ、だから、こうやって代わりにアマゾンの話を読んでいるのです・・・。
 ちなみに、わが家の庭にいるヘビはヤマカガシのようです。茶色に黒がまじっています。近づくと音をたてて接近するな、注意しろと教えてくれます。

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