弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2006年4月21日

見えない恐怖におびえるアメリカ人

著者:矢部 武、出版社:PHP研究所
 アメリカこそ全世界にテロの恐怖を輸出しているならず者国家の典型だ。私は、そう考えています。そのアメリカ国内で何が進行しているのかを暴いた本です。
 全米で離婚に率の高い州はブッシュ大統領が勝利した州が占める。アーカンソー、ミシシッピー、ケンタッキーなど。もっとも離婚率の低いのはケリー候補の地元のマサチューセッツ州。
 ブッシュ大統領は福音主義者であるが、福音主義者が多い州では、プロテスタントの個人主義的な信仰が人々に、“我が道を行く”的な生き方を奨励し、また、結婚前の性的関係を禁止する禁欲主義の風潮が強い。もし家族などに結婚前の性的関係を慎むように強く言われ、それに従って結婚したカップルは離婚する可能性が高い。福音主義者の方が、それ以外のキリスト教徒よりも離婚しやすい。うーん、なんだか常識に反する気もしますが、抑えつけすぎると必ず反動があるということなんでしょうね。
 アメリカでは成人の64%が太り過ぎ、31%が肥満だ。そこで、最後の手段として、胃を小さくするバイパス手術を受ける人が増えている。これは、患者の胃の最上部5センチぐらいのたるみ部分(小袋のような)と小腸をつなぐ手術だ。こうすると、食べたものは胃の大きな部分ではなく、小さなたるみ部分を通って小腸へ送られる。ここで持ちこたえられるのは、わずか60グラムぐらいなので、少量しか食べられず、だんだんやせていく。問題なのは、この手術には大きなリスクが伴うということです。もっとも深刻なのは、胃と小腸をつないだ部分が破れて、食べたものが体内に漏れ、感染症など、合併症をおこすこと。手術後、2ヶ月以内に20人に1人の割合で深刻な合併症をおこし、患者の50人に1人から200人に1人の割合で死亡している。ところが、胃バイパス手術を受けた人は2005年には17万人に達する見こみだ。
 実は、私も中年太りに悩んでいます。鏡に自分の裸身をうつすたびに、小腹の出ているのが、わが身体ながら嫌になってしまいます。若いころはスリムなボデーを誇っていたのですが・・・。それでも、ダイエットは今でも続けているのですよ。朝はニンジン・リンゴのジュースと青汁としょうが紅茶のみです。そのあと昼12時までは一切何も口にしません。胃腸を休めるのです。
 驚いたことに、アメリカではペニス拡大手術が流行しています。信じられません。
 アメリカでは、女らしさの象徴は性器のほかに胸、かわいい顔があるが、男性はペニスだけという考え方が強い。男のパワーの象徴としてのペニスへの異常なほどのこだわりがある。問題は実物のサイズではなく、精神的な不安、恐れなのである。死人の皮膚をつかって、ペニスを拡大させる。料金は6000〜7000ドル。高度なものだと1万4000ドルもする。これには驚きました。なんとも言いようがありません。
 さらに、男性がシリコン筋内豊胸手術を受けているというのです。なんということでしょうか・・・。
 アメリカには2億数千万丁の銃が氾濫しているため、その銃によって年間3万人の生命が奪われているのです。
 この本の最終章のタイトルは、日本はいつまでアメリカに盲従するのか、というものです。ホントにそうですよね。日本の景気がちっとも良くならないというのに、グアムにアメリカ軍が移転する費用の大半(なんと9,000億円にものぼるのですよ)は日本が負担してあげるというんですから、そのバカバカしさには、開いた口がふさがりません。
 私は昔からヤンキーゴーホームでしたが、いま一度ここで叫びたい気がします。といっても、ここでいうヤンキーとはアメリカ軍人のことです。念のため・・・。

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