弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年12月22日

世界監獄史事典

著者:重松一義、出版社:柏書房
 半年ほど、ほとんど毎週のように土曜日の午後、刑務所に被告人の面会に出かけていました。太宰府駅からタクシーに乗っていくのが最短コースです。帰りに天満宮に立ち寄り、熱々の梅ヶ枝餅をほうばって帰ったことがあります。本来収容されるべき拘置所が建て替えのため臨時に刑務所に収容されていたのでした。冬の刑務所の寒さは尋常なものではないようです。布団のなかに入って身体が温まるまでかなりの時間がかかり、それまでとても眠れないとこぼしていました。夏は夏で、カンカン照りの炎暑の部屋になります。
 この本は刑務所について、古今東西、過去と現在をあますところなく紹介しています。
 アメリカでは連邦・州・郡それぞれに属する3つの司法機関が独自に刑務所をもっている。全米の受刑者の数は1993年に133万人をこした。人口10万人あたり500人以上が刑務所に入っている計算になる。これはもちろん世界一。1980年に比べて、連邦施設の受刑者は1.5倍以上に増え、今の状態が続くと、連邦刑務所だけでも毎週
1143人分もの施設を増やさなければならない。
 カリフォルニア州は全米の受刑者の6分の1をかかえる。もちろん全米のトップ。中国に次ぐ第二の刑務所人口。予算増は深刻。1993年度の州予算の8.6%に相当する 33億ドルが刑務所費用。他の予算は減っているのに、刑務所だけは施設の拡大とそれにともなう2600人もの看守増を見込んでいる。どこも定員の2倍近い過密ぶり。
 2000年2月、アメリカの刑務所人口は、ついに史上初めて200万人をこえた。そこで、アメリカでは囚人1人1日43ドル(4700円)で民間に委託する民営刑務所が300億ドル規模の刑務所ビジネスとして急成長をとげている。
 全米の民営刑務所に収監中の囚人は、11万2千人。そのうちCCAという会社は一社だけで半数の7万人の面倒をみている。安上がりで効率的な刑務所管理がうたい文句。
 ニューヨークには、11階建の拘置所がある。定員900人。16歳以上の男子専用。近くに女子専用拘置所もある。こちらは12階建。
 サンフランシスコの沖合にあるアルカトラズ監獄に見学に行ったことがあります。凶悪囚300人を収容していました。あのアル・カポネもいたことで有名です。映画の舞台にもなりました。狭い獄舎が当時のまま保存されていて、こんなところに閉じこめられてしまったら、まさにカゴの鳥だと実感しました。対岸のサンフランシスコの街がすぐ近くに見えるのですが、現実には水流が速くて冷たくとても泳ぎで渡れるものではなく、脱獄に成功した囚人は1人もいないそうです。
 それにしても刑務所や拘置所へ面会に行くたびに、所内で働いている職員のみなさんは本当に大変だなと実感します。いろんな囚人がいて、その接遇に日々苦労しておられると思います。その労働条件の改善のためには、労働組合が絶対に必要な職場ではないかと感じるのですが、いかがでしょうか。

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