弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年12月15日

インターネットは僕らを幸せにしたか?

著者:森 健、出版社:アスペクト
 IT企業につとめる社員が1日に受けとるメールは300通。これだけのメールを読まないと、中間管理職として怠慢だと非難される。しかし、メールが来るたびに読んでいると思考が中断され、まとまって考えることなんかできない。
 メールは考えずに勢いで返すのが基本。そうじゃないと非難される雰囲気がある。
 中高生の世界も同じ。1日に100通以上の携帯メールをやりとりする。即レスが基本だから、肌身離さない。これは、半強制的な拘束力をもった受動的な行動なのだ。すぐに返信しないと嫌われてしまう。ヒステリックなまでの携帯メールの執着は、そんな危機感によって駆りたてられている。これでは、ノイローゼにならない方が不思議だ。
 著者が1日に受ける迷惑メールは300通。その8割は海外、2割がウィルスメール。マイクロソフト社のビル・ゲイツ会長に送られる迷惑メールは、なんと1日400万通。NTTドコモのアドレスに送られる宛先不明のメールは1日9億通。迷惑メールの対策のため年間30億円をつかっている。累計では500億円をこえている。もはやウィルス対策は、すべての操作の前になすべき必須の作業。まずはじめにリスク管理があり、その先にネットの利用がある。これが今や常識。
 検索エンジンは、ヤフー、グーグル、MSNで8割以上を占めている。とりわけグーグルが注目されている。ビジネスの世界では検索エンジンの上位にあがると、収益の伸びにつながることが証明されている。
 いまや検索エンジンは、思考を拡大再生産的に増幅させる強力なメディアであり、実は思考を統御する仕組みさえ内在している。検索結果が上位に表示される情報によって、ユーザーは常に画一的な方向に導かれる可能性がある。検索結果で小さいものは、たとえ有用な情報であっても、この仕組みのなかでは検索サイトから表示されにくい。
 ウェブ機能の進化は民主主義にとって危険な徴候となりうる。なぜか?
 「6次の隔たり」という言葉がある。この世界は、わずか6人の間をつなぐことで60億人をこえる世界の人すべてと結びついてしまう。もし、自分に50人の知人がいて、その知人に50人の知人がいたら、自分から2人目となる人数だけで2500人となる。同じ繰り返しで50倍を重ねたら、6人目に広がる数は150億人をこす。
 パーソナリゼーションが極度に進んでいくと、自分が知りたい情報だけしか摂取しなくなる。特定の関心をもつスモールワールド的な集団が多数できると、その輪のなかでの情報密度は増すが、雑多で広氾な情報共有ができなくなる。ユーザーが個人の嗜好にそった消費者的な志向を強めることによって、本来、市民がもつべき自由の権利をも失っていく。
 インターネットの特徴は、嘘の噂をバラまくこともできれば、偽善を暴露することもできることである。だが同時に、信用できそうな情報を膨大な数の人に送れることは、恐怖、誤解、そして混乱の元凶にもなりうることを意味する。それは民主的な目標をはじめ多くの社会目標を脅かすものである。
 むむむ・・・、便利さの裏にひそむ怖さを改めて思い知らされました。それにしても、私のこのブログにトラック・バッグを設定してくれている方々には、いつも感謝しています。毎日、今日はどんなトラック・バッグがついているのかなと楽しみに見ています。どうぞ、トラック・バッグをたくさんつけてください。よろしくお願いします。

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