弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年9月 6日

諫早の叫び

著者:永尾俊彦、出版社:岩波書店
 わが家のまわりにはたくさんの田んぼがあります。もうすぐ稲に白い小さな花が咲きます。残念なことに、減反の対象となっている休耕田もあちこちに見かけます。田んぼに雑草が生えているのを見るのはわびしいものです。地球規模では食糧不足のため飢えている人が何百人もいるというのに、食糧自給率を高めようとしない小泉政策には首をかしげるばかりです。なんてったって、自動車をつくっているだけでは日本人は生きていけないのですよ・・・。
 無理矢理に減反政策をすすめる一方で、海を埋め立てて干拓地を農地にするというのですから、小泉政治って理解不可能です。こんな矛盾だらけの政権を支持している日本人って、いったい何なのでしょう・・・。
 でも、はっきりしていることは、日本人にとっての長期的な展望とは無関係に、短期的に(つまり、その場限りでは)大型公共事業をすればゼネコンが喜ぶことは間違いないという現実があります。日本は戦後一貫して、この自民党型政治によって動いてきました。でも、本当にこれでよいのでしょうか・・・。
 マリコンという言葉を、私は初めて知りました。有明海の漁場の底質「改善」のために砂をまく覆砂(ふくさ)事業というのが行われているそうです。もちろん、国が税を投入しているのです。97年度から01年度までの5年間に、福岡・佐賀・熊本・長崎の4県で78億円、02年度は40億円です。これには自民党のボス議員の1人である古賀誠代議士が大きな力を発揮しているそうです。こうした覆砂事業をするのがマリコン。覆砂事業を受注する上位4社は三井建設、若築建設、佐伯建設、東亜建設、いずれも2億円以上。これらのゼネコン会社などから、古賀誠代議士は公表されているだけでも、1000万円以上の政治献金を受けとっているのです。ちなみにマリコンの大手は五洋建設です。
 有明海のノリ生産の不振は深刻です。自殺や一家心中が相次いでいます。親を殺して自分の死のうとしたけれど死にきれなかった漁民の殺人事件を担当した弁護士は私もよく知っている人です。まさに誤った国家政策の犠牲者としか言いようがありません。
 自己破産申立も多発していますが、法的救済を受けることなく、夜逃げしてしまう人も多いようです。減反政策をこのまますすめて日本の将来はあるのか、ゼネコン以外に益のない埋立(干拓)をすすめて漁業をつぶして本当にいいのか、私たちはよくよく考え直す必要があると思うのです。

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