弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年6月 3日

「ソニー本社 6階」

著者:竹内慎司、出版社:アンドリュース・プレス
 かつて日本を代表する超優良企業であったソニーも、いまや莫大な借金をかかえて哀れな状態に転落しています。
 この本は、残念なことに読みやすくはありませんが、ワンマン社長のもとでゴマスリ、無能経営陣がいかにして会社をダメにしていったか、体験を通じて明らかにしています。
 サラリーマンの心得。上司と意見を異にしたときにはすぐに反論しない。どうしても納得いかないときは、時間をおいておもむろに切り出す。それでも上司が考えを変えないなら、引き下がる。自分が正しいと思うことを主張し続けるより、上司の心証を害さないことの方を重視すべき。上司から検討を指示されたら、3つの選択肢を提示する。
 著者はソニーの大失敗のひとつに、アメリカの映画会社(コロンビア・ピクチャーズ)を買収したことをあげています。これで、少なくとも1000億円の損失をソニーにもたらしました。ワンマン社長の弊害を象徴するビデオがある。社長が出席する会議のため1回きりしか上映しないビデオのために1000万円をかけてビデオがつくられた・・・。なんと、なんと、開いた口がふさがりません。ワンマン社長に対して意見する人は誰もいない。会議で社長が発言すると、皆ペコちゃん人形と化した。プチ・マスゲーム状態だった。うーん、ひどい・・・。
 ソニーがかかえた1兆5千億円もの借金、2900億円という赤字はまことに莫大なものがあります。しかし、ワンマン社長は、やめるときに16億円もの退職金を手にしたというのです。現場では1円以下のコストダウンに必死になっているというのに、雲の上のトップはケタはずれのムダづかい、そして私腹を肥やしているのです。こうしてみると、資本主義社会って、ホント狂っているとしか言いようがありませんよね・・・。

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