弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年5月 9日

古代エジプト文字を読む事典

著者:秋山慎一、出版社:東京堂出版
 春うららかな日曜日の昼下がり、昼食をとりながら古代エジプトのヒエログリフに挑戦しました。ながら族は消化に良くないという説もあるようですが、そんなことはないと私は確信しています。ひとりで食べるときには、新聞を読んだり、本を読みながらでも一向にかまわないと思います。だって、私は30回は噛むようにしていますので、時間がかかりますし、頭のなかが楽しくなるようなら食欲もすすみ、消化に悪かろうはずはありません。
 この本は、古代エジプトのヒエログリフ、ほら、あのシャンポリオンがついに解読に成功した絵文字のことです、を文法をふくめて分かりやすく解説したものです。といっても、実は、その文法の点はさっぱり分かりませんでした。やっぱり、本を読むくらいでヒエログリフがモノになると考えるのは甘すぎます。それでも、絵文字がどんなことを書いているのか、そこにどんな法則があるのか、おぼろげながら分かった気がしてきました。
 ヒエログリフの文字体系は、日本語の漢字仮名まじり文と通じるところがある。表音でもあり、表意でもあるから。英語のような単なる表音文字ではないので、ヒエログリフは目で見て確認しないと読むこともできない。
 また、ヒエログリフはタテ書きも横書きもあります。この点も日本語と同じです。漢字をくずしてカタカナやひらがながつくられたような草書体まであります。神官文字と約されているヒエラティックですが、これは神官が用いたという意味ではないそうです。筆ですぐ書けるように考えだされた文字です。
 眺めているだけで4000年も前の古代エジプト王国の生活にたどりつけるのですから、こんな愉快なことはありません。

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