弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年3月17日

アメリカの秘密戦争

著者:セイモア・ハーシュ、出版社:日本経済新聞社
 セイモア・ハーシュと言ったら、アメリカがベトナムに侵略して戦争していた当時、ソンミ村虐殺事件をスクープした記者として有名です。60歳代半ばになってなお、現役の第一線記者として頑張っているそうです。
 イラクのアブグレイブ刑務所でアメリカ軍がイラク人を虐待していたことをスクープしたのも、このセイモア・ハーシュ記者でした。この刑務所を統括していたカルピンスキー准将は女性でした。この司令官の姿勢が兵士たちに何をやってもよいと思わせたとされています。
 この事件が発覚した端緒も紹介されています。イラクから任務を終えて帰国してきた女性兵士が暗い顔をしてふさぎこんでいたので、心配した家族が女性兵士がイラクからもち帰ったコンピューターを見たところ、おぞましい画像が次々に出てきたというのです。例の裸の人間ピラミッドなどの写真です。
 9.11テロ以降、アメリカは、法的手続き抜きでアルカイダのメンバーを1人ずつつけ狙って殺すことをテロとの戦争における新種の軍事行動として正当化している。
 こんなことをしていたら、アメリカは、さらにひどいしっぺ返しを受けるのではないでしょうか。そんなアメリカに追従するばかりの日本だってどうなるのでしょうか。私は本当に心配です。

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