弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年3月 3日

キャッシュカードがあぶない

著者:柳田邦男、出版社:文芸春秋
 この本を読むと、つくづく銀行にお金を預けておくのが心配になってしまいます。カードの不正使用で虎の子の貯金を全部おろされてしまっても、銀行も警察もそ知らぬ顔をしてとりあってくれず、被害の回復はきわめて難しいというのが日本の現実です。
 超小型デジカメをATMの真上にセットしておいてモニターする。銀行のATMに通じる電話線に盗聴器をつけて傍受する。カード照会機CATの近くで電磁波をキャッチする。このような最先端の技術で暗証番号が盗まれている。
 銀行のカウンターごしに脅迫して行員からお金を奪ったとしたら、たちまち銀行強盗事件として警察は動き出す。しかし、ATMを通じて預金が奪われたときには、警察も銀行も必死の訴えを聞き流すだけ。銀行は弁償しようともしない。
 スキミングマシンは、秋葉原などで安く買える磁気読みとりヘッド、アンプ、メモリ、電池の4つをそろえたら簡単につくれる。窃盗団がつかっているのは、タバコの箱半分ほどの大きさ。
 アメリカには「50ドル・ルール」というのがある。本人が負担するのは上限が50ドル。イギリスにも50ポンド・ルールがあり、ヨーロッパには150ユーロ・ルールがある。そして、銀行は保険でまかなってもらえる。
 日本の銀行がいかに消費者の犠牲の上にあぐらをかいているか、それを知り、あらためて寒々とした思いがしました。そんな銀行の救済のために政府は何兆円も税金を惜しみなく投入するのです。ところが、国民の被害には知らぬ顔の半兵衛を決めこみます。ひどい話ですよね・・・。

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