弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年2月16日

グローバリゼーションと戦争

著者:藤岡惇、出版社:大月書店
 地球が無数の宇宙衛星にとり囲まれている絵が紹介されています。砂糖(黄ザラ)をまぶしたドロダンゴみたいに、びっしりと宇宙衛星が地球に取りつき、さらに少し離れた(3.6万キロメートル)の静止軌道を回る衛星も数え切れないほどたくさんあります。そして、これらのうち3分の2は軍事・スパイ衛星だというのです。恐ろしさに背筋が凍ります。
 アメリカが核軍備のためにつかったお金は、1948年から1996年までで、少なくとも5兆5千億ドル。アメリカの軍事費総額の3分の1強が核軍拡のために使われました。核弾頭づくりの平均単価は6億円、今では小型の核爆弾は1億円です。
 ところが、核爆弾の付帯品の方が今では高くついています。運搬手段の生産と運用に3兆ドル。発射基地の建設に4千億ドル、誘導・通信管制システムに2兆ドル。つまり、核爆弾の10倍かかるのです。
 いま、アメリカではミサイル防衛を推進しないことには、核兵器産業が干上がってしまう状況にあります。ともかく軍需産業はもうかるのです。
 アメリカの軍部のなかで、「情報の傘」派と「核の傘」派で、暗闘があった。将軍の一部が反核運動に動いたことがあったが、それは核兵器がない方が「情報の傘」が安定し、アメリカの軍事力より強大になるという考えにもとづいていた。なぜなら、もし敵が核ミサイルをもち、宇宙空間で核爆発させたら、「情報の傘」がマヒしてしまう。宇宙空間で核爆発が起きると、イオン化された電磁波が大量に発生し、宇宙空間に減衰しないまま広がる。それはコンピューター通信に大きな被害をもたらしてしまう。
 アメリカは海底ケーブルに盗聴機をしかけており、GPS衛星の傘に入るようにさせてアメリカに敵対したら使わせない戦略をとっている。また、アメリカ以外の国同士で国際通信するとき、アメリカ経由にした方が料金が安くなるようにもしている。これは、それで「合法的」に盗聴できるという魂胆からのこと。
 うーん、アメリカって、どこまでも自分の国の利益のことしか考えないのですね。
 アメリカの情報機関には外国を対象とする人間だけで15万人もいて、エシュロンは毎時200万通の通信情報を傍受している。これは年間175億通。これを2度のスクリーニングをへて、毎時2000通にしぼり、精査している。
 読んでいると、ソラ恐ろしくなって、冷や汗がタラリタラリと流れ落ちてきます。

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