弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2005年1月28日

人の値段

著者:西村 肇、出版社:講談社
 日亜化学の青色発光ダイオード裁判で発明した中村修二氏に対して会社は200億円支払えという東京地裁の判決が出て、世間に大きなショックを与えました。ところが、東京高裁は桁(ケタ)が2つもちがう8億円で無理矢理和解させてしまいました。
 日本の司法は腐っている。
 私は中村修二氏のこの叫びに同感です。東京高裁は、200億円も出させられたらつぶれてしまうという会社側の主張にやすやすと乗ってしまいました。でも、そんなの嘘でしょ。プロ野球の選手たちの給料を考えてみたら、200億円というのはそれほどのことではありません。また、世間を騒がすほどの巨額の横領事件が起きても、不思議なことに会社がつぶれたということはほとんどありません。
 この本で西村教授は中村修二氏は70億円は受けとれるという試算をしていますが、説得力があります。また、同業の研究者に「ねたみ」の心から来る反撥があることを著者は指摘していますが、私も同感です。
 話は変わりますが、オーケストラの指揮者について紹介されています。
 指揮者はオーケストラの総譜を完全に暗記している。それは、音符の数で10万個。これは、40字、16行の200ページの新書の字数とほぼ同じ。つまり、総譜を暗譜するということは、新書1冊を完全に覚えてしまうことを意味する。
 小澤征爾は、このように暗譜した曲が200曲以上もあるというのです。すごいものです。中村修二氏の話に戻ります。高裁の裁判官たちはかなり考え違いをしていると思います。会社万能だという古い考えにとらわれすぎです。もちろん、それは経済界の強い圧力に屈したということでもあります。ひどいものです。腐っていると言われても仕方がありません。

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