弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年11月 5日

東横インの経営術

著者:西田憲正、出版社:日本評論社
 あの日評がビジネス書を出すのか。不思議な気がしました。ただし、内容はごく真面目なビジネスに役立つ本です。
 実は、私は東横インに一度も泊まったことがありません。東横インにはアダルト・ビデオがないからというのでは決してありません。狭すぎる部屋は圧迫感があって息苦しいからです。でも、東横インは安い割には広いベッドで、何より清潔感にあふれているそうです。その秘訣は、ホテルの支配人がなんと全員40代以上の女性に限られていて、男性社員がいないという点にあります。私は常々、日本社会は女性が支えている。日本の女性(とくにおばさんたち)はたくましいと日頃の体験を通して痛感していますが、この本でもその点が実証されています。
 まったくホテル経験のない素人の女性をはじめから支配人として採用し、研修期間を終えたらオープンするホテルで支配人を実地にやってもらうというのです。あまりにも大胆です。マックみたいな分厚いマニュアル本なんか全然ないのです。すごい発想です。
 東横インの正社員は660人、パートを含めると2500人。このうち男性は20人もいないそうです。男性お断りの会社なのです。そして驚くべきことに、ホテル稼働率が8割はあり、それが75%を割ると、月1回の支配人会議において自分の名札が赤札となります。罰金はありませんが、みっともない状態を脱するために奮起せざるをえません。
 勤続10年のベテラン支配人は年収570万円。このほかに、「お小遣い」が成績によってはもらえます。朝、チェックアウトのとき「行ってらっしゃい」と声をかける。名簿をいつも見て名前を覚えるようにして、チェックインのとき、名前で呼びかける。こんな支配人の創意・工夫によって、稼働率が上がるといいます。東横インのリピーター率は6割近いというのにも驚きました。朝食がタダとか、なるほどねー、・・・・と思いながら読みとおしました。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー