弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年11月 1日

若者たちに何が起こっているのか

著者:中西新太郎、出版社:花伝社
 日本の若者を理解するうえでの必読文献だと思います。私は、何度もなるほど、なるほどとうなずきながら読みました。
 ここ20数年間の社会・文化変動の結果、世代間ギャップが歴史上かつてないほど深くなっている。ギャップの深さが類例をみないほど深いという点は日本社会に特徴的だ。韓国社会が日本社会に近いが、それ以外は、どこの国をみてもこれだけギャップの大きいところはない。35歳から40歳が世代間の大きな区切りとなっている。たとえば「エヴァンゲリオン」の中身が理解できるかどうかで大体区別できる。
 社会的に高い地位を占めるという望みを、70年代後半から80年代以降、日本の若者はもたなくなった。企業社会秩序、会社主義の秩序が動かしがたいものと意識され、かつその秩序のなかでの地位上昇を想像しえなくなったから。
 大学へ行く、専門学校へ行く、高校を出て就職するというのが、すべて3分の1で固定的になっている。1975年前後から変わらない。
 自分もふくめて、人間がなぜこの社会に存在していいのか、あるいは存在する権利があるのか、そもそもそういう自分という存在が自分といえるのはどうしてなのかということが感覚として分からない。これが出発点にあるので、人権が大切だと言っても、お題目、たてまえしか聞こえない。人権は人によって違いがあるという感覚が若い世代だけでなく、日本社会に広がっている。人権とは、人間に等しく与えられた、人間が等しく持っている権利だと思っている人の方が少数になってきている。
 青少年に公共社会の構成員であることを徹底的に断念させ、忌避させる点でも、日本社会はきわだった特質をそなえている。青少年の生活と意識とは、普通の状態では、公的、社会的な意味で無視されていても平気でいられるように方向づけられている。
 日本の若者を理解するのには相当の努力が必要のようです。

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