弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年10月 1日

韓国戦争、第4巻

著:韓国国防軍史研究所、出版社:かや書房
 朝鮮戦争は北朝鮮の金日成が仕かけた戦争であるということは今では歴史的に不動の事実だ。しかし、私も大学生のころはそれを認めていなかったし、認めたくもなかった。
 この本は、6巻シリーズとして刊行されているもので、第4巻は9月に出たばかりの最新刊だ。ここでは、中共軍が毛沢東の意向にそって朝鮮戦争に介入してソウルを奪還したあと、さらにアメリカ軍が韓国軍とともに再反攻し、いったん後退した中共軍が春季攻勢をかけている状況が細かく描かれている。
 最近の韓国映画『ブラザーフッド』を見た者としては、当時の戦況が刻明に描かれているので、戦場で死んでいった無数の人々に心から哀悼の意を表したいと思った。
 中共軍は54万2000人、北朝鮮人民軍が19万7000人の合計63万9000人。そして満州には中共軍の予備軍が75万人いた。対する国連軍は、26万9000人、韓国軍が23万4000人で、合計50万3000人。
 中国は、5次にわたって最大80コ師団を投入して、まさに人海戦術を展開した。しかし、圧倒的な火力と機動力を誇るアメリカ軍を制圧できなかった。中国軍は、攻勢作戦を1週間以上継続して遂行するだけの兵站支援能力がなかった。
 中共軍は、笛とラッパを鳴らしながら突撃する。これに対して、韓国軍は手動式のサイレンを鳴らして対抗したという。中国軍はベトナムへ侵略したときも、笛とラッパを鳴らしながら突撃してきたという記事を読んだことがある。30年たっても同じ手法だということに驚いた。
 韓国でのゲリラ戦も少し紹介されている。朝鮮戦争の内情と意味については、引き続き注目していきたい。

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