弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年10月 1日

拉致と強制収容所

著:北朝鮮による拉致被害者の救出にとりくむ法律家の会、出版社:朝日新聞社
 この本で圧巻なのは、なんといっても拉致被害者と目されている200人近い人々の顔写真です。私と同世代、つまり団塊世代が多いのですが、当時は高校生だった人が何人もいることに驚かされますし、かなり年輩の人もふくまれています。
 これらの人の全部が北朝鮮による拉致被害にあったと断定することはできません。しかし、曽我ひとみさんは、それらしき噂があっただけで拉致被害者と認定はされていなかったのです。ですから、300人以上、いや実はもっと多い日本人が拉致されてしまったのではないかというのです。これが人権侵害でないはずはありません。しかし、外交交渉による解決をめざすべきだという意見が人権擁護を最大のモットーとしている法律家団体のなかにあり、動いていません。なるほど、私も大いに反省させられました。
 完全統制区域というのがあるそうです。ここに入ったら、2度と生きては出られない地域です。革命化区域は、生きて出られる可能性が残っているところなので、まったく違います。北朝鮮には、強制収容所(公式には管理所)が5ヶ所か6ヶ所あり、15万から20万人が収容されています。
 まずは事実をきちんと認識すべきだという指摘には、私もまったく同感です。

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