弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年10月 1日

統治崩壊

著者:江上剛、出版社:光文社
 著者は第一勧業銀行に入って26年間つとめ、49歳になって支店長のときに早期退職制度に応募してやめた。第一勧銀が総会屋に不正な利益を供与したとして役員11人が逮捕され、1人の自殺者を出したときは、広報部の次長だった。事件後に、警察の保護対象となりながらも、不透明な取引の根絶、総務部の廃止、コンプライアンス体制の構築を目ざした。しかし、次第に社内「革命」は色あせていった。この本は、著者の実体験をもとに書かれた小説だから、なるほど銀行内の動向に迫力がある。
 いま、大銀行の合併が相次ぎ、多くの銀行が名前を変えた。合併した銀行内では、旧行の行員がグループをつくって醜い派閥争いをくりひろげた。先日、専門家の講演を聞いたところ、いずれも既に大勢は決着がついたという。勝ち組、負け組に区分されて一緒に仕事をするのも嫌な気分だろうと思うが、それも仕方のないことかもしれない。
 銀行は、昔も今も、暴力団を育てている最大の温床のような気がしてならない。これも資本主義ニッポンの仕方のないことなのだろうか・・・。

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