弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年9月 1日

江戸の旅文化

著者:神崎宣武、出版社:岩波新書
 江戸時代の日本は、世界に冠たる旅行大国でありました。伊勢参宮ひとつをとっても、現代の海外旅行の人口比に匹敵するほどの人出があったのです。
 女性も盛んに旅をしていました。40歳代から50歳代の女性が何ヶ月も夫と家庭を放り出して全国を旅していました。それだけではありません。なんと20歳前の若い女性も、自分たちだけで旅をしていたのです。それほど道中は安全でした。
 温泉へ、男も女も出かけました。お風呂は混浴です。そう言えば、父の出身地(大川市)では、昭和30年代はじめまで、共同風呂は混浴でした。そのうち、男女を区切るしきりがつきましたが・・・。ですから、日本古来の淳風美浴とは、男女混浴が平気だということなのです。風紀紊乱は、古代から日本のお得意とするところなのです。
 日本人は昔から団体旅行が好きで、おみやげを大量に買って帰ることも、江戸時代からありました。旅のガイドブックが相次いで出版され、いずれもベストセラーになっていました。昔から日本人は好奇心が強く、「異国の地」への憧れを実行せずにはおれなかったのです。

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