弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年7月 1日

無限気流

著者:井上文夫、出版社:光陽出版社
 『沈まぬ太陽』(山崎豊子、新潮社)は日本航空の労務政策を厳しく問いかける側面をもつ長編感動作でした。その主人公のモデル役になられた小倉寛太郎氏と生前に立ち話しをする機会がありましたが、その慈愛にみちたまなざしを忘れることができません。
 この本は、同じ日本航空福岡支店内の労務管理と真正面からたたかった人々の様子を小説化したものです。企業内で地道に労働者の権利を守る取りくみをすすめるというのが、いかに大変なことなのか、よく分かります。長いものには巻かれろ。事なかれ主義で、場あたり的に生きていくだけでは人生だめなんじゃないのか・・・。人生の生き方を、子ども時代に身につけた弱い者いじめをしない、正義と道理を貫くようにがんばるというまっとうな心をふまえて描かれています。そうなんだ、つい大事なことを忘れようとしていた。ふと反省されられました。

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