弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年5月 1日

驚異の耳をもつイルカ

著者:森満 保、出版社:岩波科学ライブラリー
 少し前に、下関の水族館でイルカのショーを見ました。イルカって、本当に頭がいい動物ですね。感心しました。イルカは水面から出した頭を、体ごと左右、上下に振る。その仕草がイヤイヤ、ハイハイと返事しているようで、なんとも愛らしい。しかし、その仕草は真正面からの反射音を良く聞き取るために、左右の下顎によく反射音が当たるように左右に振ったりしているだけのこと。人間がイヤイヤとかハイハイと勝手に思いこんでいる。
 著者は、イルカがときどき集団で浜に乗りあげて死んでしまう現象について、次のように謎ときをしています。イルカは泳がない限り溺れる。眠っているときでも泳いでいなければならない。ところが、集団上陸したイルカを調べてみると、みな耳が聞こえない状態だった。得意のエコロケーションによるエサ取りができなくなったイルカたちは、極度の飢餓・脱水状態となり、泳ぐだけの体力を失ってしまう。そして、沖合いでの溺死を避け、憩いを求めて波静かな入り江の砂浜を目ざし、一斉に上陸する。上陸したイルカを調べてみると、胃も腸も完全に空っぽであり、体重も軽くなっている。
 そうだったのか・・・。ナゾがひとつ解けた気がしました。

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