弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年4月 1日

シェイクスピアの妻

著者:熊井明子、出版社:春秋社
 すこし前に『恋に落ちたシェイクスピア』という映画を見ました。ワラ屋根のグローブ座が主な舞台となっていましたが、なかなか見ごたえのあるいい映画でした。
 シェイクスピアが恋におちるのですから、てっきり独身かと思うと、さにあらず。郷里に年上の妻がいて、3人の子どもまでいたのです。
 この本は、その妻が主人公です。文才のあるシェイクスピアをロンドンに送り出しながら、主のいない一家を切り盛りしていく苦労など、身につまされる場面があります。それはともかく、この本が読みごたえのあるのは、シェイクスピアの作品の裏話が妻との会話を通じて「明らかに」されていくところです。逆に言うと、シェイクスピアの作品をもとに、家庭での「会話」を創作していったのでしょう。作家の創造力ときめこまやかな描写に感嘆してしまいました。
 参考文献をみると、シェイクスピアを本当によく知り抜いているからこそ書ける小説だと改めて敬服した次第です。

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