弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年3月 1日

人生後半戦のポートフォリオ

著者:水木楊、出版社:文春新書
 主婦が家事につかう時間は、この40年間で2時間以上も減ったそうです。全自動洗濯機や冷凍冷蔵庫、電子レンジなどの普及によります。その代わり、主婦は文化的な活動に進出しています。私もあちこちのカルチャーセンターなどに呼ばれて講師をすることが多いのですが、受講生は圧倒的に女性です。男性はいったい何をしているのでしょうか。
 ところが、夫の方の忙しさは変わりません。むしろ、前よりひどくなっているようです。1979年当時、夜8時までに帰宅する夫は39%でした。ところが2003年には、28%と、10%以上も減っているのです。
 この本には、ローマの哲学者セネカの言葉が紹介されています。人々は時間をタダ同然に惜しみなく使う。髪が白いとか、皺が寄っているからといって、その人が長く生きたことにはならない。それは単に長くあったというのにすぎない。長く航海したというより、長く翻弄されただけのこと。
 「自分時間」と「他人時間」という分類が紹介されています。「他人時間」とは、他人に自分の行動を制約されている時間のこと。「自分時間」が貴重なものであることを実感するための時給の算出方法も紹介されています。要するに年収を2000で割るという、きわめてシンプルなものです。それによると、私は時給2万円ほどになります。時間は有限であり、代替性もなくとても貴重な存在であることを、このように金額で表示するというのは、時間管理のために役立つ発想だと思いました。

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