弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年1月 1日

動物たちの自然健康法

著者:シンディ・エンジェル、出版社:紀伊國屋書店
 キリンがアカシアの木を食べると、アカシアは揮発性の化学物質(メチル・ジャスモネート)を発散する。近隣のアカシアの木はそれを警戒信号として感知し、自分の葉に渋いタンニンを送りこんで防御対策をとる。キリンは食べはじめてしばらくするとアカシアの葉がまずくなるので、遠くへ移動していく。
 タンニンによって植物が身を守っているのは、恐竜が生存していた当時からのこと。非常に渋く、舌を萎縮させ、口内の粘膜と喉を乾燥させる。ただし、タンニンは下痢止め、化膿止め、抗菌剤、駆虫剤でもある。
 ゾウやインコそしてサルもイヌも粘土や土を食べる。粘土はマイコトキシン、内毒素、人工の有毒な化学物質、バクテリアなどを包みこむ。また、腸の内側を保護し、胃酸を抑える制酸剤であり、余分な水分を吸収して下痢を防ぐ。だから、家畜のウシの餌にベントナイト粘土を加えると、ウシは下痢することがほとんどなく、胃腸病が少なくなる。
 健康な人間の尿は無菌で、冷却作用と殺菌作用がある。切り傷、水膨れ、霜焼けの救急医療として使われてきた。アメリカ北西部の先住民は、毎朝、自分の尿で全身を洗い、スキンケアにも使っていた。今の日本でも、朝起きがけの自分の尿をコップ一杯のむという健康法があります。
 自然界には、まだまだ知らないことがたくさんあります。野生動物の智恵に人間はもっと謙虚に学ぶべきだと、つくづく思います。

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