弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2004年1月 1日

ヒンドゥー教

著者:森本達雄、出版社:中央新書
 中国とならんで、世界最大人口を擁するインドは私にとって興味津々の反面、伝え聞く雑踏のすさまじさなどから敬遠したくもある国です。そのインドで人口の80%以上が信じているヒンドゥー教について、日本人向けに分かりやすく書かれた解説本です。
 読書三昧は私の理想とするところですが、この三昧(さんまい)という言葉はヒンディー語の「サマーディ」から来ているそうです。サマーディとは、「最高我への深い精神集中」「瞑想による心の統一・安定」を意味する語です(ほかに、三昧と同じく、墓地という意味もあります)。
 ヒンドゥー教最高の聖典といわれる『バガヴァッド・ギーター』(主神の歌)には、
 たとい極悪人であっても、ひたすら私を信愛するならば、彼はまさしく善人であるとみなされるべきである。彼は正しく決意した人であるから。
 という文章があります。親鸞が『歎異抄』も「善人なをもて住生をとぐ、いはんや悪人をや」というのと同じ思想ではないでしょうか。
 宗教のことは深くは分かりませんが、真理を究めた達人の言葉には本当に含蓄があります。

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