弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年10月 1日

暇つぶしの時代

著者:橘川幸夫、出版社:平凡社
 40歳をすぎてから、無性に自分の時間が欲しくなった。世のため、人のために生きることが苦になったわけではない。でも、自分のためにつかう時間だってあっていいはずだ。なにしろ一回限りの人生なんだから・・・。日曜日の朝、家の外に広がる青空を仰ぎみて、さあ、今日一日は自分の時間だ、自由につかえるぞと心のうちで叫ぶ。家中を雑巾がけして汗をかき、シャワーで身体を冷やす。フランス語の勉強にたっぷり一時間はかける。仏和大辞典を隅から隅まで少しずつ読んでいく。赤エンピツでアンダーラインをひき、頁がどんどん赤くなっていくのを見ると心が躍る。まだ何かしら、これまでと違った人生が切り拓ける気がしてくるのだ。
 この本は、日本がもうモノづくり大国であるのは止めよう。それよりコトづくりでいこうと呼びかけている。なんだか分かったような分からない考えであり、ノドにつかえるものがあって共感しにくい。しかし、いくつか大いに共感する指摘もある。子どもと大人の違いは何か。それは時間に対するとらえ方の違いだ。自分の時間を生きる者が子ども。社会の時間を生きる者が大人だ。子どもは、自由に時間を使うことによって、現実の枠組みに支配されない可能性を発想することができた。私は、これからも自分の時間を生きる者、つまり「子ども」であり続けたいと願っている。

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