弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2003年6月 1日

女のいない世の中なんて

著者:藪田貫、出版社:フォーラム・A
 著者は私と同じ年齢の大学教授です。近世史・女性史が専門なので、江戸時代のことにも詳しくて、眼を見開かされました。
 たとえば『女大学』です。婦人は別に主君なし。夫を主人と思い、敬い慎みてつかうべし。こんな教えばかりが有名ですが、これは『世事見聞録』にあるように、現実にはそうじゃなかったので、そうしてほしいという願望がこめられているのだと(私は)思います。ところで、この著者は別のことを言っています。実は『女大学』は、江戸版の『婦人画報』『婦人の友』あるいは『アンアン』『ノンノン』だったのだ、ということです。
 なるほど、地理・歴史があり、医学のこと、文学のこと美術など、教養全般が絵入りでとりあげられていて、「徳目」13条を骨抜きにしてしまうような内容のオンパレードなのです。私は、そっかー、なにごとも一面的に見てはいけないんだ、と反省させられました。
 江戸時代に女性が一人旅や集団での旅を楽しんでいたこと、たくさんの旅日記がのこされていることは、私もいくつか本を読んで知っていました。
 「女のいない世の中なんて」という挑発的な表題ですが、中味は真面目な話ばかりです。あなたも、どうぞ読んでみてください。

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