弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2013年6月13日

逆転無罪の事実認定

司法

著者  原田 國男 、 出版  勁草書房

私より少し先輩になる元裁判官による刑事裁判のあり方を世に問う本です。
 私などは、この本を読みながら、いかにも底の浅い弁護活動をしてきたか、深い反省を迫られました。いえいえ、これまで手抜き弁護してきたつもりではありません。もっと複眼的思考で掘り下げて考えるべきだったという意味です。
 なにしろ、著者は最後につとめた東京高裁の8年間になんと20件以上の逆転無罪判決を言い渡したと言うのです。信じられません。年に2件もの無罪判決なんて、ありえません・・・。そして、いずれも検察官による上告がなくて、無罪判決は確定したというのです。いやはや、なんということでしょうか・・・。すごいです。著者は次のように述懐します。
 これほど、警察・検察の捜査や第一判決に問題があるなど、初めのうちは考えてもいなかった。ここには刑事裁判のおそろしさがある。人が人を裁くという本質的な難しさだ。
 著者は、ありきたりのような人定質問も大切にしているとのこと。
この段階こそ、相互の人間関係ができる、もっとも重要な瞬間なのである。
 そして、起訴状の朗読で地名を正しく読みあげるのは大切なこと。
証人尋問のとき、ウソを見抜くのは、なかなか難しい。韓国では、偽証罪の被疑者は138人、うち起訴されたのは9人のみ。
裁判官は、法廷で時間を気にしてはいけない。気にしていることが見抜かれ、被告人はいろいろムダな抵抗をしてくる。
 裁判官が被告人に判決を言い渡したあと控訴をすすめることがあることにも一理ある。
 判決は自信をもって言い渡すべきである。しかし、誤っている可能性は常にあるから謙虚な気持ちを失ってはならないのだから、ありうる説示なのだ。なーるほど、ですね・・・。
 とても本当とは思えないことも、一度は本当かもしれないと思ってみることだ。勘というのは非常に大切。人間の知恵の集積なのだ。冤罪を見抜く力は、いわば総合的な人間力だから、社会での経験や個々の人生経験がものを言う。毎日の新聞を読んでいないのは論外・・・。
 以下、無罪判決がコメント付きで紹介されています。いずれも、とても実践的な内容であり、明日といわず今日からの本格的な弁護活動にすぐに役立つものばかりです。
 多くの弁護士に一読を強くおすすめします。
(2012年11月刊。2800円+税)
 仏検(一級)が近づいてきました。過去問をやっています。仏作文はとても難しくて、まるで歯がたちません。いえ、文法も難問です。
 毎朝の書き取りに加えて、フランス語の勘を身につけるために仏和大辞典で類似語を調べたりもします。
 こうやって努力していても、語学力の上達はあまりなく、せいぜい低下するのを喰いとめるのに役立つくらいです。トホホ...。

  • URL

カテゴリー

Backnumber

最近のエントリー