弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2025年9月22日

農作物のひみつ

生物


(霧山昴)
著者 日本作物学会 、 出版 化学同人

 そもそも、「のうさくもつ」と読むのか、それとも「のうさくぶつ」なのか?多くの国語辞典やNHKは「ぶつ」だそうです。でも、私は断乎として「もつ」派です。だいたい「作物」は「さくもつ」ですよね...。ところが、「工作物」「著作物」は、「ぶつ」と読むじゃないか、この反撃は手強いですね。まあ、どちらでもいいですけどね...。園芸作物、エネルギー作物、食用作物はみんな「もつ」です。いやあ、日本語って難しいものなんですね。
 この本で初めて知ったのは「キノア」です。今や空前のキノアブームだというのですが、まったく知りませんでした。葉酸をたくさん含み、栄養学的価値が高いそうです。
 カリフラワーとブロッコリーは、どちらも「青汁」の元、ケールが先祖。カリフラワーはブロッコリーの変異したもの。
コーヒーのブルーマウンテンは、ジャマイカの地名による。モカは、アラビア半島イエメンの港町の名前。インスタントコーヒーの原料のロブスタ種はインドネシア産。
 濃いお茶にはカフェインが多く含まれ、玉露は0.16g(コーヒー0.06g、煎茶0.02g、紅茶0.03g)。
 イネ(稲)は1年生植物とは限らず、多年生植物でもある。日本の水田では、1ヘクタールで6000kgの米がとれる。タイでは、その半分の3000kg。
日本の小麦粉はタンパク質含有率が低いので、パン用ではなく、うどんや菓子の原料として使われる。
 じゃがいもは茎(くき)。「塊茎(かいけい)」と呼ばれる。サツマイモは根の一部が肥大したもので、「塊根(かいこん)」と呼ぶ。ジャガイモはナス科で、サツマイモはヒルガオ科。
 レンコンの穴は10個が基本で、左右対称。
 私は、ながいあいだ、竹の子は裏山から自然に生えてくるのを探して採ってくるものとばかり思っていました。しかし、美味しい竹の子をつくり育てるには、古い竹を切って竹林をいつも若返らせたり、竹の間隔をあけたり、発生する前に肥料を与えたり、稲わらを敷いた上に土をかぶせて土壌の環境を良くするなどの作業をしているのです。なーるほど、と思いました。 
サツマイモの焼きいもは、東日本ではほくほく感が、西日本ではしっとり感が好まれる。
 安納(あんのう)芋の甘さは格別です。いま、わが家のサツマイモは地上部は大いに茂っていますが、果たして地中でも大いに成長しているでしょうか...。
地球の温暖化で、フランスのワイン土壌が変化してワインがとれなくなる心配があるそうです。それは大変です...。
 農作物について深く楽しく知ることができる本でした。
(2025年3月刊。1980円)

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