弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2025年5月19日

散歩の愉しみ

生物


(霧山昴)
著者 出井 得正 、 出版 本の泉社

 カワセミと里山の仲間たち。こんなサブタイトルのついた、気軽に楽しめる写真集です。
カワセミはわが家から歩いて5分ほど、少し離れたところを流れる小川でも見かけます。もう少ししたらホタルが飛びかう小さな清流です。鮮やかなブルーがすぐに目を惹きつけます。
わが家の庭の常連客は、冬のジョウビタキ、そして春のメジロ、ちょっと忌々しいのはヒヨドリです。サクランボの木があったときは、もう少しで食べられると思った矢先にヒヨドリ軍団に先に食べられてしまいました。一度や二度ではありません。
 著者の自宅は茨城。公園に出かけ遊歩道やため池で野鳥たちに出会う。なかでもエメラルドブルーのカワセミに出会うと、うれしくなる。
 カワセミはばたばたとは飛ばない。矢のように、機(俊)敏に飛ぶ。その飛ぶ姿はいつだって優雅だ。寒いときのほうがカワセミをよく見かける。
 カワセミのオスとメスの見分け方は、下くちばしの色が赤いのがメス。
背中全体が青紺色で、背中のまん中はエメラルドブルーの光沢のある帯。そして、お腹まわりは赤褐色で、脚は短くて赤い。カワセミは俳句の季語では夏。
 主食は小魚で、水中にダイビングして捕らえる。いったん水中に全身が潜ってしまい、すぐに水の中から小魚を口にくわえて出てくる。
 ティーティーと鋭く鳴く。ふだんは単独行動しているが、繁殖時はペアで縄張りをもち、水辺の崖に穴を掘って、そこで子育てする。卵は4~7個も産んで、20日ほどで孵化する。年に2回繁殖する。
 平均の寿命は2年。生まれてわずか数か月内に半数は死ぬ。成鳥になる前に死亡することが多い。無事だと7~8年は生きる。
 カワセミの飛ぶテクニックは見事。狭いところも、縦横無尽にコントロールして飛び回る。空中に、ホバリングして、一気に時速100キロで急降下する。狙った獲物は逃さない。
 大きなくちばしに短い尾を持つ、愛らしい姿。
 新幹線の先頭車両のデザインは、カワセミの長いくちばしを参考にして設計されている。
カワセミが糞を飛ばしている写真まであります。カワセミはお尻を上げて白い糞を勢いよく飛ばすのです。
私がジョウビタキが大好きなのは、この小鳥は、庭仕事をしていると、すぐそばまでやってきて、チョンチョンと尻っぽを下げて、「何してんの?」という仕草をしてくれるからです。可愛いったらありゃしません。
 カワセミのいろんなポーズの写真が満載の、ブックレットのような本です。
(2025年2月刊。1500円)

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