弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2025年5月 5日
ひろい海にぼくたちは生きている
人間
(霧山昴)
著者 長倉 洋海 、 出版 ありす館
この著者(写真家)の写真と文章には、いつも感服しています。子どもたちの目がキラキラ輝いているのに心が惹かれます。
今回の子どもたちは基本的に一日中、海上で生活しています。東南アジアにスールー海というのがあるそうです。初めて知りました。インドネシアでしょうか、ボルネオでしょうか...。フィリピンではなさそうです。
陸に上がるのは、とった魚を売りに行くときだけ。固い地面を歩くのは不思議な感じがするというほど、海上生活が中心です。舟の上にすべてがある。料理も食事も、みんな舟の上。
赤ん坊が生まれると、すぐ海に入れる。まず、泳ぎを覚えるため。とれた魚を町で売って、また海に戻っていく。
島に生えるヤシの木と魚で、自給自足の生活を営む人々。ヤシの木は、実だけでなく、殻も葉も幹も、すべて役に立つ。ヤシ殻からロープをつくる。とった魚は、みんなで分けあう。
島には、電気もガスも、水道もない。冷蔵庫もない。足りなくなったら魚もヤシもまた取ればいい。水は、雨水を水槽に貯めておく。
子どもたちは、学校に通う。ヤシガニは青色で、手の平よりも大きい。ヤシの実は、ラグビーボールの大きさだ。
青い空と広い海のなかで、子どもたちが屈託のない笑顔を見せている。この素敵な笑顔がずっとずっと続いていくことを願うばかりです。
今回も素晴らしい写真を見せてもらって、ありがとうと著者に声をかけたい気持ちで一杯になりました。
(2024年12月刊。1980円)