弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2025年5月 2日
永遠の化学物質、水のPFAS汚染
社会
(霧山昴)
著者 ジョン・ミッチェル ・ 小泉 昭夫 ・ 島袋 夏子 、 出版 岩波ブックレット
日本にある米軍基地から有害物質PFAS(ピーファス)が大量にたれ流されています。いつものとおり日本政府は厳しく取り締まろうともしません。本当に情けない限りです。まるで植民地政府です。
トランプ大統領は石破政権に対して、これまで以上に日本の負担を増やせと要求しています。「思いやり予算」というのは、何の法的根拠もなく、ひたすら奴隷が御主人様に差し出している大金のことです。おかげでアメリカ人(とくに軍人)はパスポートなしで自由に日本への入出国ができ、タダで優雅な邸宅に住んでいます。
テフロン化工のフライパンがかつて大流行しました。このテフロンのもとがPFASです。
PFASは化学的に安定しているので、自然界で分解するのに数千年もかかる。まるで、放射能みたいです。この科学的安定性が危険性につながっている。
ごくわずかな量でも、PFASは深刻な健康被害につながる恐れがある。ところが、日本では危険性の認識がゼロに近い。たしかに、私もアメリカ映画「ダーク・ウォーターズ」を観るまで、PFASの毒性を気にしたことなんてありませんでした。
この映画では、デュポン社がテフロンの危険性を承知のうえで、もうかるからという一点で、販売規制することなく、大々的に売り出していたこと、その真実(危険性)が明らかにならないよう、あの手この手を使っていたこと、これをアメリカの企業弁護士が被害者側に立って地道な膨大な作業の末に、勝訴したという実話にもとづいています。
アメリカではデュポン社と3M。日本では、ダイキン工業と旭硝子などがPFASを製造し、使用していた(いる)。PFASは、アメリカの主要産業に莫大な利益をもたらした。
日本でPFAS汚染がもっとも深刻なのは、東京の横田米軍基地。多摩川のPFAS汚染に関連している。そして、沖縄。米軍基地から大量のPFAS汚染が広がっている。
通常のフィルターでは、PFAS汚染は取り除けない。なので、処理施設に堆積する。
アメリカでは、排水溝の汚泥を肥料として農家に販売しているため、そんなところで飼育された家畜の食肉や牛乳がPFAS汚染にさらされ、拡大している。
そして、鳥類はテフロンの煙の影響を受けやすい。
瞬時に消火できるというPFASを含む泡消火剤を米軍基地は大々的に使ってきたし、今も使っている。2019年9月時点で、全国にPFASを含む泡消火剤が39万リットル以上あると公表されている。PFASによる発がん性、そして発達への悪影も心配されている。
いやはや、なんということでしょうか...。アメリカ様の前では、国民の生命と健康さえも保障されていないということです。そんなの嫌です。かのトランプの奴隷になんか、絶対になりたくありません。
(2024年8月刊。680円+税)