弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2025年4月26日

宇宙のおしごと図鑑

宇宙


(霧山昴)
著者 林 公代 、 出版 KADOKAWA

 この本を読むと、すでに宇宙をめぐるビジネスが日本にもあるんですね。そして、宇宙弁護士までいるというのに驚かされました。たとえば、宇宙空間を漂流しているスペースデブリ(ゴミ)の回収がビジネスになっています。いったい、誰が費用負担してくれるのでしょうか...。
 宇宙食といえば、このコーナーでも前に紹介しました若狭高校の高校生たちがサバの缶づめを宇宙食として納入しています。同じように、小学4年生のときから宇宙食「みかんゼリー」を開発を試みて成功した若い女性が登場します。ほどよい「とろみ」にするのが大変だったとのこと。無重力状態では、血液が頭のほうにのぼって、鼻が詰まったように感じるので、濃い味つけが好まれるそうです。すでにISSではラーメンを食べることが出来ています。
宇宙コスメ(化粧品)では、アルコール成分は発火する危険があるので、使えないそうです。宇宙船のなかでは乾燥しやすいので、肌がしっとりする成分の入ったクリームが喜ばれるとのこと。
 ISSには風呂もシャワーもない。そのため、シャンプーをしみこませた突起型のシートでマッサージしながら、洗髪する。飲みこめる歯みがき粉。汗を取り除いてさっぱり感が得られるボディ用ペーパー、水を使わず選択できる製品...。いやあ、どれもすごく工夫しているんですね。
惑星防衛隊というのは、地球に小惑星が衝突したことは何回もあるわけですので、必要ですよね。恐竜大絶滅ならぬ、人類大絶滅は回避してほしいです。
 宇宙飛行士を選抜する試験は5年に1回しかないそうです。これまで宇宙飛行士として活動した同じ人が何回も行っているのは、不思議です。どんどん新人を送り出して世代交代していけないものかと思うのですが...。
 宇宙飛行士の選抜試験は1年かけるそうです。そのなかには、1週間も閉鎖空間に缶詰め状態になって、数人が共同生活しながら、外にいる試験官と面接テストを受けるそうです。これは大変です。4千人をこえる応募者から2人が選ばれたとのこと。ぜひ、がんばってください。
宇宙空間まで、あのインチキで高慢、そして超富豪のイーロン・マスクに牛耳られたら大変です。超大金持ちが宇宙を大もうけの材料にするのは絶対に許せません。
宇宙のおしごと図鑑とあるだけに、多方面の仕事ぶりを垣間見た思いがする本です。
(2025年3月刊。1650円)

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