弁護士会の読書

※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。

2025年8月23日

新プロジェクトX④

社会


(霧山昴)
著者 NHK新プロジェクトX制作班 、 出版 NHK出版新書

 電動アシスト自転車には、日頃から大変お世話になっています。私の事務所の下に自転車屋があったとき、その店主から「これはいいですよ。一度、乗ってみんですか」と誘われました。でも、たかが自転車、しかも何十万円もするのが気になって試乗はしませんでした。それから時期がたち、中古の電動アシスト自転車を安く譲ってくれるというので、その好意に甘えてもらい受け、乗ってみました。びっくりしました。裁判所までの坂道を、なんとすいすい軽々と登っていくではありませんか...。一回で気に入りました。なにより自転車なのがいいです。免許が必要ありません(自動車の免許は持っている私ですが、免許の有無を気にしなくていいのはやはり気軽です)。そして、自分でもペダルをこいでいますので、間違いなく自転車です。それに加勢してくれる心地良さが、うれしい。
 今や電動アシスト自転車は、一般の自転車を上回る年間80万台が販売されている。
この電動アシスト自転車を開発したのはオートバイで有名な浜松本社のヤマハ発動機。ちなみに、ライバルのホンダも創業の地は同じ浜松市。なぜ、なんでしょうか...。ヤマハは1位のホンダに続く、いつも2番目。
 ヤマハが秘密のうちに電動アシスト自転車を開発するとき、テスト走行したのは、茶畑の私道だった。ここなら、人目を気にせず自由にテスト走行ができる。しかし、問題がある。原付自転車なら既に存在している。しかし、それは免許が必要なので、誰でも気軽に乗って走行はできない。原付自転車なのか、自転車なのか...。
 人の力とモーターの力が1対1ならどうか...。モーターが先で人力が後ではダメ。人が先。人が力を加えると、モーターも一緒になって動いてお手伝いする。人力がなければモーターは回らない。あくまでも人が主役。
 では、国(運輸省と警察)がそれを認めてくれるのか...。テストがあったのは、1991年6月28日のこと。結果は...。
 「電動アシスト自転車は、自転車ではある」。ヤッターですね。
 ヤマハは特許を独占しないと決めた。これまた、すごいことですよね。
 1993年7月、ヤマハが売り出し、当初1000台を売りだしたら、たちまち3000台が売れた。そして、ヤマハは再び「2位」の座にある。でもでも、いいことをしましたよね、ヤマハって...。
 ほかにも紹介したいプロジェクトがありますが、私が実際利用している電動アシスト自転車の便利さが生まれる過程を紹介してくる話を優先しました。
(2025年3月刊。1155円)

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