(霧山昴)
著者 エミール・ギメ 、 出版 角川ソフィア文庫
明治9(1876)年に日本にやってきたフランス人実業家の旅行記です。
ギメはリヨンの実業家で大量の日本で収集した美術品がフランス国立ギメ東洋美術館として残っています。
ギメは8月末から11月初めまで2ヶ月間、日本にいました。そして、神仏の像600点以上、宗教画300点以上、書籍1000冊以上、陶磁器類多数を収集し、フランスに送りました。当初は、リヨンに私立美術館をつくり、あとでパリに移転して現在に至っています。
ギメの旅行記を読んで、ギメも、ギメと一緒に旅行して画を描いたレガメも、二人とも日本人をまったく侮蔑(ぶべつ)的に見ていないことを強く感じます。日本固有の文化や習俗に対する冷やかな視線もありません。
日本人の好みの衣装は暗い色。
日本人女性は、よく知る屏風絵そのものである。膝を閉じた歩き方で歩き、上半身で平衡を保つためのあらゆる動きをして、一歩ごとに肩と逆方向に方を回す。これって、どういう姿勢なんでしょうか……。歌舞伎に出てきますか……。
日本人女性の特徴は、老いも若きも、出会うすべての女性が子どもを背負っていること。赤ん坊とほとんど変わらないほど、年端(としは)もゆかない幼児まで背負っている。他国のどこでこれほどたくさんの子どもが見られるだろうか……。日本は人口の増加がうまくいっているようだ。
少子化が一層進行している現在の日本では、とても信じられない光景です。
氷屋に、小銭をもった子どもや女性が冷たい香料入りシロップを飲みにやってくる。みながほほえみ、優雅で、とにかく感じがいい。こんな記事を読みよむと、読み手までうれしくなりますよね……。
日本人女性が自らも裸になって裸の子どもたちと一緒に庭でたわむれている絵があります。一日に少なくとも一度は入浴するのが習わしで、そのとき男性も女性も裸になることを、たとえ旅行者がいなくても気にしませんでした。
日本人は、イスラム教徒のような、気だるい無表情にならず、生き生きとして開放的である。
日本人は、物事の楽しみを抑制できる洗練された人たちだ。
車夫たちは、とにかく朗らかで、日本語を教えようとしてくれる。うち一人は、とくに好意的で、愛想がいい。とても聡明に見えるし、日本語教師として優れている。
日本人はみな、芸術的感性を持ち、だれもが描き書きするように筆を走らせる術を、学校で学んでいる。学校で書道を教えているということですよね、きっと、これは……。
日本では、家の戸締りをしないといってよい。じっさい必要がないのだ。というのも泥棒が出るのはまれだし、物乞いにいたっては一切出会わない。うむむ、そうだったんですね……。そして、それは、3世紀にわたる無料の公共初等教育のおかげだと解説されています。寺子屋教育が行き届いていたということでしょうか。
女性と子どもがよく旅をしている。家具のほとんどない日本の家は留守にしやすく、地方を見たり、学んだり、気晴らししたりするために、何かにつけて一家総出で巡礼に出かけているのだ。
日本には、旅行者向けの絵入りガイドブックが昔からある。真面目なガイドブックがあると思えばユーモアにあふれたものがあり、版画を使った淫(みだら)なガイドブックまである。
芝居小屋の観客はとても多く、活気がある。あらゆる年齢の女性たちと子どもが多くいる。家族連れでここに来ている。家族総出で娯楽を享受できるということは、日本という国の倫理感は高いものだ。
明治初めの日本って、こんなにいいところがあったんですね……。明治9年というのは、西南戦争の前年にあたります。
(2026年4月刊。1386円)
私の事務所では市民向けの連続講座を45年間続けています。毎回、民法・刑法・憲法の3つのテーマで6月から7月にかけて2週間おきに開催します。今年の参加者は毎回30人前後でした。
1回目は1981年6月です。この4月に、今は福岡で活躍している堀良一弁護士を迎え入れたので、この年は、少年法・刑法・サラ金問題・民法・憲法と、欲張って5回もしました。まだ有料にしていました(今は無料)。1回300円、5回通しだと1000円です。新聞に案内記事を載せてもらい、5回の累計は180人の参加がありました。
翌年からは民法・刑法・憲法の3回としました。参加者は多いときには100人近くなりましたが、だいたい50~60人です。
さすがに、コロナ禍のときは休みました。2020年と21年は中止し、2022年から復活して、今年は44回目でした。
新聞に案内記事は載せてもらえなくなりました。新鮮味がなくなったからだと思います。
この連続講座に向けて事務所ニュースを年に1回発行して依頼者などへ送り、また新聞折り込みなどもしています。


