(霧山昴)
著者 五十嵐 隆幸 、 出版 中公私書
中国が台湾を支配下に置くために武力侵攻する。これが台湾有事。
2025年11月7日.高市首相は国会で、「戦艦を使って、そして武力の行使を伴うものであれば、存立危機 事になりうる」と答弁した。そのとき、日本は防衛出動する、つまり中国を敵として戦争状態に入ることになると宣言したようなものです。
当然、中国政府は激しく反発し、それ以来、中国人の 日本渡航を自粛するように呼びかけ、実際、激減して今日に至っています。日本産水産物も中国は輸入を停止したままですので、日本の漁業は大打撃を受けています。それでも、鉄面皮の高市 首相は自分の発言を撤回しようとしません。
トランプ大統領が習近平と仲良くしているのに、高市首相は「平気」を装っています。
高市首相の外交手腕は、 先日のG7のウェブ会議に欠席したことにもあらわれています。この時間、高市首相は公邸にいました。その前まで麻生副総裁と会食していたことも判明しています。平野啓一郎氏は高市首相は会食で酔っぱらった ので欠席したのではないかと疑問を投げかけていますが、高市首相はいつものように、自分の都合の悪いことは「黙して語らず」で、逃げ切るつもりです。許せません。
アメリカ軍の高官は、2027年までに中国が台湾を侵攻 する可能性があると言いましたが、中国自身が「台湾を侵攻する」と明言したことはありません。
台湾政府が戒厳令を解除したのは、なんと1987年7月のことです。そこから台湾は民主化が一気に進みました。
中国にとって、「一つの中国」は主張の原則であり、生命線そのもの。ところが、アメリカにとってそれは外交政策の一部であり、運用の枠組みにすぎない。
アメリカの1979年の台湾関係法は台湾と断交した直後 に制定された、国内法。台湾関係法は、台湾を国家として承認する法律でも、台湾防衛を約束する条約でもない。台湾が十分な自衛能力を維持できるよう、武器供与を可能としている。台湾の地位を確定しない まま、武力による現状変更を抑止する構造がある。アメリカは、「戦略的あいまいさ」政策をとっている。
中国にとって、制海権と制空権は、「獲得」よりも「維持」する方が、はるかに難しい。台湾の地理的条件は、 短期決戦ではなく、高い消耗を伴う持久戦になる可能性が高い。そして、アメリカ軍が介入する可能性もある。
中国の人民解放軍が台湾本島の全面的な制圧を目指す作戦の 維持を可能にする条件は、きわめて厳しい。台湾侵攻するには数十万人規模の兵力を輸送する能力が必要とされる。そのうえ、上陸したあと、大量の兵力を支える兵站の持続性が問題(ネック)となる。
台湾側は、台湾東部の山中に造られたトンネル格納庫にすべての「作戦機」を避難させることにしている。
日本が台湾を「助けるか、助けないか」という二分法は、現実論をあまりに単純化している。
熊本に進出してきた台湾の一私企業であるTSMCのため、高市政権は5000億円も投資しています。
日本国民が安心して次世代へ、同じく安全・安心の社会を残し、伝えていく必要があります。戦争に向けて準備するのではなく、政治家も国も戦争にならないよう努力すべきなのです。大変勉強になる本でした。
(2026年7月刊。1320円)


