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ガザ ある戦争の物語

カテゴリー:中東

(霧山昴)

著者 ディーナー・ホサーム・アブールバイア 、 出版 地平社

イスラエルのガザ侵攻によって ガザは大変なことになりましたし、今も続いています。

イスラエルの国防大臣は次のように高言しました。

「我々は人間動物(ヒューマンアニマルズ)と戦っている」

ガザに住む人々を、自分たちと同じ人間だとは認めていないのです。この人は、ユダヤ教を信じているのでしょうか…。ユダヤ教って、そんな宗教なのでしょうか、私にはとても信じられません。

200万人以上の人々が暮らしていた土地で、建物の8割が破壊され、これまでに7万人以上の人々が殺されています。ガザでは、戦闘員と民間人との区別はない。そこに残る人々は、すべてテロリストかその支持者とみなされている。

殺された人には、すべて家族があって名前があり、生活がありました。それを12の小さな物語にまとめた80頁ほどの本です。

5歳のヒンド・ラジャブは、車で避難中に家族を皆殺しにされ、一人車内に残されたヒンドが赤新月社(日本の赤十字に相当)に電話で助けを求めます。それが報道され、国際的なニュースとなり、救出を求める声が上がるなか、ヒンドは12日後に遺体として発見されました。

ヒンドが乗っていた車には335発もの弾痕が残っていた。ヒンドの救出に向かっていた救急車の残骸も見つかり、救急隊員2人の遺体がそこにあった。

このヒンドの物語は、殺された7万人のうち2万人は子どもであり、その悲劇のシンボルとなった。記憶されるべきことです。

ヒンドは、おじ一家とともに安全な場所へ車で避難しようとしていた。しかし、途中でイスラエル軍の戦車と鉢合わせした。砲弾を浴びせられ、ヒンドといとこのラヤーンの2人だけが生き残り、ほかの者はみな死んだ。救助機関から電話があり、ラヤーンが代表して話した。しかし、再び車は攻撃され、ラヤーンは死んだ。5歳のヒンドは独り生き残り、助けてくれる人を待った。待っていると、親戚から電話があった。ヒンドは震える声で言った。「お願い、迎えに来て」。そして、ヒンドは赤新月社と通話した。救急車がヒンドの救助に向かったが、イスラエル軍はその救急車を狙い撃ちにした。それでもヒンドは待った。怪我を負い、水も食べ物もないなか、ヒンドはずっと助けてくれる人を待っていた。そして、ヒンドの頭はイスラエル軍の兵士によって撃ち抜かれた。

5歳のヒンドは、残忍な蛮行を目撃した。ヒンドは生きて家族のもとに帰れる、母や父や兄のもとに帰れる、また友達とのささやかな暮らしに戻れると信じながら耐えた。だが、イスラエル軍は、その権利をヒンドから奪った。

かつてホロコーストの被害にあったユダヤ人が、今や加害者として同じことをしているのです。暴力の連鎖は一刻も早く止める必要があります。

それにしても、今の日本の国会は異常すぎます。物価高で苦しむ国民生活をそっちのけにして、女性天皇を認めない皇室典範の改正を急ぐなんて、何を考えてるんでしょうか。数の力でなんでも押し通そうとするのは暴力一辺倒のネタニヤフと同じではありませんか…。

読みながら、涙が止まらない本でした。

(2026年4月刊。1540円)

 フランス語検定試験(1級)の結果が分かりました。もちろん不合格なのですが、自己採点で50点だったところ49点でした。仏作文とか書き取りがありますので、どうなるかなあと心配していたので、ちょっぴり安心しました。合格するには80点ですから、あと30点も足りません。トホホ…です。

 庭にブルーベリーがなりはじめました。とても酸っぱいので、ヨーグルトをかけハチミツをたらして、美味しく食べました。

 このところツバメが空をたくさん飛んでいるのを見かけます。きっと、子どもたちがもう飛べるようになったのでしょうね。

 セミの鳴き声がほどんど聞かれません。38度にもなる猛暑に負けているのでしょう、きっと…。

 腰が痛くて、毎週ハリに通っています。まだ動けはするのですが、いろいろ大変です。

「日本人の体質」

カテゴリー:人間

(霧山昴)

著者 奥田昌子 、 出版 講談社ブルーバックス新書

日本人の体質って、欧米人とは、こんなにも違うのですね。興味深い内容でした。

といっても、日本人が欧米で生活すると、その地の食習慣によって大きく左右されるとのことですので、遺伝的な体質ですべてが決まるということではなく、環境も大事なようです。

白髪がはじまる年齢は人種によって違う。欧米系は30代なかば、アジア系は30代後半、アフリカ系は40代なかば。タバコを吸うは白髪の発生率が2倍高い。私は真っ白な頭にならないよう、育毛剤を1日2回ふりかけています。

東アジアは世界でもっとも近視の発生率が高い地域。中国は日本に次いで近視率が高い。中国人の子供が移住したとき、シンガポールに住む子どもは29%、オーストラリアに移った子どもは3%となった。これほど違うなんて、信じられません。

コロナの感染率はアジア系は低かった。日本人の感染率はアメリカの100分の1だそうです。

お酒に弱い人は、コロナウィルスに強い。本当ですか……。お酒に弱い人は、有害なアセトアルデヒドが血液に多く溶けているため、病原体が体内に侵入しても活発に活動できない。そのため、お酒に弱い人のほうが生きのびやすくなる。うひゃあ……。

健康な日本人の遺伝子に起きている変異のうち、欧米系の人と共通なのは半分で、残りは日本人に固有の変異。

日本人は穀物から食物繊維と植物性タンパク質をとるよう心がけるのが大切。

日本人をふくむ東アジア人は、ただでさえ内臓脂肪がつきやすい。

日本人は欧米人と違って簡単に筋肉がつかない。それは、日本人は70%が赤筋で、アフリカ系は70%が白筋。鍛えることで太くなるのは白筋がほとんど。

外国人と比べて、日本人の腸にはビフィズス菌をはじめとする善玉菌が多く、炭水化物とアミノ酸の代謝に適した腸内環境。

日本人を含むアジア人は、カフェインで不快な症状が起きやすいタイプの遺伝子をもつ人が半分。

動物性食品の摂取量が増加するにつれ、男性の前立腺がんと肺がん、女性の乳がんが増えた。

花粉症は、20年間で患者が2.5倍に増えた。国民の4割4800万人が苦しむ国民病。

日本人は、本来は、免疫系に強い人種。

糖尿病の増加が、日本で免疫疾患が増えている最大の原因。日本人をふくむ東アジア人は、もともとインスリンの分泌量が欧米系の人の半分から4分の1しかない。少ないインスリンがきちんと働いて、効率良く生きてきたのがアジア人。

糖尿病のなかった時代の日本人は、よく歩き、玄米や雑穀米もしっかり食べ、定番のおかずは日本近海に多いサンマ、サバ、イワシなどの背中の青い魚、旬と大豆製品、そして野菜と海藻だった。

メタボリック症候群が危険なのは、動脈硬化が急速に進むから。

コレステロールは1種類しかなく、悪玉と善玉の2種類があるのではない。

いろいろ日本人の体質の特長、そしてそれを踏まえた対策を知ることができました。歩いたり泳いだりして身体を動かし、青背の魚とたっぷりの野菜をとることにします。まあ、これまでと同じということですけどね……。

(2026年4月刊。1210円)

太陽光発電マジわからん

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 峰六 高志 、 出版 オーム社

今や、あちこちに太陽光発電のパネルを見かけます。 山に登るとメガソーラーというんですか、広大なパネルが広がっていますし、街中でも、ちょっとした空地に もパネルが敷きつめられています。 民家の屋根にソーラーパネルが張られているのはフツーの光景です。

この本のタイトルは、「太陽光発電マジわからんと思ったときに読む本」というものです。

政府は原発推進ばかりに熱を入れていますが、再生エネルギーにこそ力を入れるべきです。 太陽光、風力、地熱発電いろいろあります。 原発なんて、後始末問題の処理費用を考えたら、とんでもない金食い虫です し、ミサイル一発で日本列島 はおしまいに至るという危険きわまりないものです。 日本国民を守るというんだったら、まずは原発完全閉鎖のはずなのです。

太陽光パネルの発電単価は14円/kWhなので、電力会社の電気料金 よりも明らかに低く、安上がりです。

太陽光発電システムの寿命は30年。 原発と違って、災害にも強いという利点があります。

太陽光の総エネルギーは 年間340万EJ(エクサジュール)。 世界全体の年間エネルギー消費量は450EJ。 つまり、太陽がもたらすエネルギーは、地球の総需要量の7500倍の規模。 そりゃあ、もったいないですよね。 使わしてもらうのが一番です。

太陽電池モジュールの生産は中国が8〜9割を占めている。日本も、2000年代初めは太陽光発電分野では世界をリードしていたが、今や中国が圧倒している。これは政府の再生エネルギー軽視政策の 帰結です。

太陽電池が光を受けると、その光エネルギーがシリコンの中で、マイナスの電荷をもつ電子とプラスの電荷をもつ正孔を発生させ、この電子をマイナス電極に、正孔をプラス電極へと選択的に 移動させることによって電流が生まれ、電気として取り出すことができるというもの。 つまり、半導体の性質を利用して、電子と正孔を発生、分離させるのが太陽電池の核心メカニズム。

太陽光発電は熱エネルギーではなく、あくまで光子のエネルギーを直接に電気エネルギーに変換するしくみ。

暑い日差しでパネルの温度が上がると、性能は少し低下する。 太陽光発電は、大きさを増やしても効率は変わらない。

この本によると、営農型太陽光発電というのもすすめられているそうです。 農地と共存するのです。

また、海上や湖の上にパネルを置いたり、ビルの壁に貼りつけたり、透明な窓ガラス太陽光であったもののままパネルとするというのもあるようです。 さすがに自動車を太陽光発電で走らせるのは、まだまだ実用化は先のようです。

太陽光発電について深く知ることのできる本でした。

(2026年5月刊。1980円)

愛の平壌冷麺

カテゴリー:北朝鮮

(霧山昴)

著者 ムン・ヨンヒ 、 出版 徳間書店

苦労して北朝鮮を脱出し、今は千葉市で平壌冷麺「ソルヌン」の店を営み、繁盛させている女性の話です。

私は、まだ一度も平壌冷麺なるものを、残念ながら食べたことがありません。韓国の冷麺とは一味違うんだそうです。そう言えば、韓国と北朝鮮にあったとき、平壌から韓国に味、材料も器までも持ち込んできたことがありましたよね。それほど違いがあるようです。

主人公のヨンヒは北朝鮮の名門大学を卒業しています。

北朝鮮と中国との国境を流れる濁流の鴨緑江をヨンヒが渡ったのは、2015年、29歳のとき。翌年、母と弟も脱北させた。2019年には韓国ソウルの江南エリアに平壌冷麺の店「ソルヌン」をオープン。平壌の一流ホテル「高麗ホテル」仕込みとして売り出し、人気を集めた。

ヨンヒのルーツは、済州島。あの四・三事件があった島です。母方の祖母は、海女(あま)だった。日本に来て、大阪で結婚した。1965年に北朝鮮へ渡る。

その祖母は、北朝鮮の海辺で食堂を開き、繁盛した。

ヨンヒの祖父は朝鮮総連の幹部だった。そして、北朝鮮でもエリートとして処遇され、元山のマンションで生活する。

父親は人民軍総政治局に所属するエリート軍人。ヨンヒは猛勉強して、平壌商業大学に入学。これには組織秘書とのコネとお金も動いたとのこと。北朝鮮では、やはりお金かモノを言うのです。

この大学は8割を女性が占め、残る2割の男性もほぼ既婚者。若い男女の出会いは国家のイベントのとき。

ヨンヒは北朝鮮で公開処刑を2回、目撃させられています。2度目は、アダルトビデオを見ていたという平壌外国語大学の学生など8人。高射砲を使っての処刑。あっという間に人体はこっぱみじん。形もわからなくなり、地面は真っ赤な血の海。金正恩が叔父の張成沢を処刑したときもそうでしたね…。恐ろしい国です。むご過ぎます。

脱北するにはブローカーに大金を支払いますが、ブローカーから騙されることもあります。そして、濁流を乗りこえたり、中国の警察に見つからないようにというのは本人の運が試されるのです。

中国に入ってラオス経由で韓国にたどり着きました。

「ソルヌン」のソルは正月、ヌンは雪。なので、「正月の雪」。

北朝鮮から来た女性のたくましさに圧倒されてしまいました

(2026年3月刊。1980円)

平家物語と太平記

カテゴリー:日本史(鎌倉)

 

(霧山昴) 

著者 足立勇一 、 出版 朝日カルチャー 

源義経が源頼朝より圧倒された経緯が、この本を読んでよく理解できました。

一の谷合戦において、源義経は「ひよどりごえ」の逆落としという奇襲によって勝利したとされていますが、それは単なる伝説であって、史実ではないとしています。まず、一の谷の背後の崖が「ひよどりごえ」というけれど、現地の地形と合致しない。源義経は「ひよどりごえ」を多田行綱にまかせ、自分は一の谷を攻めたというのが実際。

屋島の戦いのとき、源範頼軍が主力で、こちらは九州に向かって進軍した。源義経は遅れて京都を出発し、瀬戸内海の現地の豪族、武士たちを統合して、屋島に進撃した。

そして、引き続いて、壇ノ浦の合戦にのぞんだ。このとき、大きかったのは、熊野三山を統率する田辺別当の湛増を引き込み、熊野水軍を率いて壇の浦に進撃した。

義経水軍の中核は熊野水軍と阿波水軍なので、平家軍よりはるかに強大だった。まず源義経は瀬戸内海の制海権を掌握した。他方、平家のほうは食料も武器も補給がままならない状況で、明らかに劣勢。勝負は始まる前からついていた。

敗北を悟った平家一門は次々に入水した。このとき、二位尼は安徳天皇を抱いて、「海の底にも都はありましょう」と言い聞かせながら入水した。

これは源頼朝にとっては大きな誤算だった。三種の神器のうち宝剣と神璽(しんじ)をもっての入水だった。神璽は回収されたが、宝剣は海の底に沈んだ。

義経が平家に降伏の機会をあたえず、性急に攻撃した結果、頼朝の終戦構想(三種の神器の回収)とはまったく異なる形で源平合戦は終結した。これが頼朝と義経の対立の伏線となった。

また、戦功を立てる機会を奪われた源範頼下の東国武士たちから義経は恨まれることになった。その意味で、義経の孤立と没落は必然だった。

頼朝は、義経が鎌倉に入るのを禁じて待機を命じた。頼朝は、自分の許しをえずに勝手な行動を繰り返す義経に深い怒りを覚えていた。なるほど、そういうことだったのですか……。

平家物語、そして太平記の生い立ちと位置づけをしっかり理解することができる本でした。

(2026年1月刊。990円)

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