法律相談センター検索 弁護士検索

付着生物のはなし

カテゴリー:生物

(霧山昴)

著者 日本付着生物学会(編) 、 出版 朝倉書店

 付着生物とはフジツボのようなもの。コンブやワカメといった海藻類、カキなどの付着性二枚貝も含まれる。

 捕食者からすると動かないのでたやすく食べられるけれど、実は自分自身を守る特殊な術(物質)を身につけていて、それが抗がん剤として利用されてもいる。

 付着生物は、付着しないと、生きていけない。しかし、付着する前は浮遊生活を過ごすことが多い。

 フジツボは、岩礁だけでなく、船舶漁網、発電所冷却水路系などさまざまな海洋構造物に固着して、深刻な問題を引き起こす。そこで、フジツボのキプリス幼生や生体が付着しにくい材料や構造物を開発する目的での研究が進められている。フジツボのキプリス幼生は、遊泳と付着をくり返し(一時付着)、適切な付着場所を探す(探索行動)。

 ナメクジは、体から粘液(主成分はムチン)を分泌し、くねくねと体を動かすこと(這行(はこう)運動)により、体についた泥を取り除く、実はきれい好きの生き物である。ナメクジは地面をたえず移動しているにも拘わらず、体が泥で汚れていることはない。

 船舶バラスト水は、貨物船やタンカーなどが空荷時に船舶の安定性を確保する目的で船内に積載している海水淡水のこと。バラスト水量は、年内2億5000万トンが国内港湾から持ち出され、日本に持ち込まれるのは、わずか830万トン。そのため、日本にいる生物が国外に分布を広げる機会のほうが、国外から生物侵入を受ける機会よりも多いと考えられる。

 カキの養殖は年々増大していて、2021年には、中国(582万トン)、韓国(33万トン9、アメリカ(19万トン)、日本(16万トン)、フランス(9万トン)で、合計681万トンとなっている。

 日本では、瀬戸内海と東北地域で生産量の9割を占める。カキの養殖中、人間がエサを与えることはなく(無給餌養殖)、採苗後1年~3年かけて成長していく。広島の養殖カキ生産量は全国1位(国内シェア58.5%)、岡山県は全国3位(国内シェア9.3%)で、兵庫県もあわせると、国内シェアは7割以上となる。

 今年はカキが不作のようですね。心配です。私はカキフライが大好物なのです。これも地球温暖化のせいでしょうか…。トランプはフェイクだといっていますが、トランプの話はいつだってまったくあてになりません。

 フジツボ(エボシガイ)を観察しているうちに、「握手したい」と思って訓練すると、最終的にはエサがなくても指は近づけると、そっと握り返してくれるようになったという体験談が紹介されています。やっぱり意思ある生物なのですね…。

 

(2024年11月刊。3300円+税)

 高市首相はトランプ大統領の求めに応じて軍事費をどんどん増やしていきます。

 そして、台湾で紛争が起きたときには、日本の自衛隊も出動させかねないような危ない発言を繰り返しています。

 現に、熊本でも大分でも、中国にまで届く新型ミサイルを配備する計画が進んでいます。ミサイルの撃ちあいを想定した計画です。それって、まさに戦争です。

 国営の弾薬製造工場をつくることも高市首相は発表しました。継戦能力を向上させるためです。

 でも、日本の食料自給率は38%しかありません。ミサイルの撃ちあいになったら、電気も水道も止まってしまいます。ウクライナは、マイナス25度の寒いなか、ロシアの攻撃によって停電しているそうです。攻められたらどうする…、そのためには軍備を増強するしかない…。

 待って下さい。戦争にならないようにするのが政治家の第一の仕事ですよ。日本が軍備をいくら増やしても、中国の軍備に追いつくことは出来ません。

 アメリカの軍需産業をもうけさせ、日本の一部の軍事企業がもうかるだけです。

 自衛隊を軍隊にするため憲法改正が必要だと高市首相は強調していますが、怖い話です。そんなことより、もっと外交に取り組んでほしいです。戦争にならないよう、友好関係を取り戻してほしいものです。

 みんな投票に行きましょう。

彼女たちの戦争

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 小林 エリカ 、 出版 筑摩書房

 いま、私の生きているこの世界で、戦争が起きている。著者は本書の冒頭で、このように書いています。戦後生まれで、平和になってからのベビーブーム時代に生まれた団魂の世代である私にとって、戦争は体験したことのない、遠い世界の、過去、つまり歴史として学ぶべきものでした。

 ところが、今まさに世界各地で戦争が起きていて、いつ止むのか分からないまま、ずるずると続いていて、すでに6万人以上(ガザ地区)、50万人(ロシアのウクライナ侵略戦争)もの戦死者が出ています。つい先日のアメリカ軍によるベネズエラ大統領夫妻の拉致事件も戦争のあらわれでしょう。

 そして、日本は今や「戦争に備える」と称して大々的に軍備を拡張しています。高市首相は、中国の脅威を声高にあげつらうばかりで、国際法違反が明らかなトランプの暴挙を批判することもなく、ひたすら戦争必至と煽り立てるばかりです。怖い、とんでもない首相です。戦争のない平和な社会を守るのが政治家の第一の使命だということをすっかり忘れ去っています。そして、それに拍手する国民が少なくないのも残念な現実です。

 戦争を始めたのは、本書に登場してくる女性ではない。しかし、彼女たちは、戦争の中で、戦争と関わりをもちながら生きていた。一番最初に登場するのは、ユダヤ人姉妹です。

マルゴー・フランクとアンネ・フランク姉妹。19歳と15歳のとき、ナチスのユダヤ人絶滅作戦のなかで生命を絶たれました。姉はパレスチナで助産婦になることを夢見ていて、妹は作家がジャーナリストになるつもりでした。妹は、「私の望みは、死んでからもなお生き続けること」と日記に書き、それは生かされました。

 今、妹が生きていたら97歳です。100歳以上の日本人は今1万人以上いると思います。アンネ・フランクは決して遠い歴史上の人物ではありません。

 次は、伊藤野枝。福岡出身でしたよね。1923年に起きた関東大震災のとき、28歳にして甘粕正彦の率いる憲兵隊に虐殺され、同じく殺された大杉栄そして、6歳の甥とともに井戸に投げ込まれました。政府に逆らう主義者は殺せという憲兵隊の妄念によるものです。

 今、参政党はスパイ防止法の制定を声高に叫んでいます。政府に盾つくものは、みんな「スパイ」として処罰しようとする、あまりにも物騒な考えに身が震えます。

 そのあと、私の知らない、聞いたこともない女性が続きます。23人目の女性は81歳で亡くなった高井としをです。細井和喜蔵の『女工哀史』の執筆を手伝い、戦後もたくましく生き抜いた女性。このコーナーでも少し前に紹介しました。

世の中には知らないことがあまりにも多いこと、しかし、知るべきこともまた多いことを改めて思い知らせてくれる、120頁ほどの薄い本です。かと言って、手にもつとズシリとした重さを感じます。

(2024年2月刊。870円)

 いま、外国人を排斥し、規制しろとか声高に主張している政党がいます。

 アメリカではトランプ大統領が移民取締のためのICEという組織が市民2人を射殺して、大問題になっています。1日3千人の逮捕を目標として掲げているそうです。ひどい話です。

 でも、外国人労働者を増やし、外国人観光客を4000万人に増やそうというのは自民党政府がやってきたことです。

 外国人労働者が増えたから、日本人労働者の賃金が下がったのではありません。大企業は大儲けしているのに、賃金は上げず、内部留保をためこんでいます。工場も店も、介護施設でも、人手不足で困っています。建築現場も農業も人手が足りません。コンビニに外国人店員が多いのは、日本政府が呼び寄せたからです。

 オーバーツーリズム(観光公害)といっていますが、「迷惑だ、迷惑だ」と言うだけでは観光地に人が来なくなります。

 外国人も日本人も人権を守って労働条件を良くしていくしかありません。

 観光地だって、地元で生活している人との共生ができるように工夫すればいいのです。

 外国人による刑法犯罪が増えているという事実はありません。また、若い外国人が多いのですから、税金で「不法外国人」を養っていることもありません。むしろ外国人は働いて税金を負担しているのに、選挙権はないのです。

 足元の現実をしっかり見つめてほしいです。

弁護士という仕事

カテゴリー:司法

(霧山昴)

著者 中村 真 、 出版 有斐閣

 著者は弁護士生活20年を経て、若い人に弁護士を志望してほしいという気持ちから本書を書いたとしています。私も、まったく同感です。

今もなお、弁護士は多すぎる、増やし過ぎた、弁護士増のため過当競争になって食えない弁護士が増えていると声高に主張する弁護士がいますが、私には信じられません。いったい、市民の中で弁護士は多すぎるから減らしたほうが良いと考えている人がいるでしょうか…。私は、そんな人はまずいないと思います。食えない弁護士がいるといいますが、私の身の回りにはいませんし、むしろそれなりの生活をしている弁護士がほとんどです。ただし、努力しなければ、食えなくなるというのはどんな職業でも、そのとおりです。むしろ、初任給が1200万円という、東京の大事務所に200人以上も就職しているという現実こそ重視されるべきでしょう。

 私は企業法務を担う弁護士は必要だし、そこにはやり甲斐も十分あると考えています。それでも、弁護士の仕事が企業法務だけというのは勘弁してほしい、いやいやもっとたくさん活躍している、すべき分野があるんだよ、初任給が1000万円以下であってもいいじゃないの、自分の能力を発揮でき、生活していけるのなら、一般民事を扱うマチ弁だって、田舎でがんばる弁護士でも大いに結構だと思うのです。

 いま、日本の弁護士は全国に4万7千人いる。裁判官:検察官:弁護士の人口比は3:2:41。もちろん圧倒的に弁護士が多い。

 この本ではありませんが、瀬木比呂志元裁判官は、日本も韓国と同じように、弁護士経験者が裁判官になっていく制度にすべきだと提唱しています。法曹一元制度です。大賛成です。ところが、現実には弁護士から裁判官になるコースは「風前の灯」状態です。

 裁判官のなかには、当事者の主張に真剣に耳を貸さず、自分の価値判断をもとに法律構成を組み立てて、バッサリ切ってしまうという人が少なくありません。いったい、この人は何を目ざして裁判官になったんだろうかと疑問を感じる「ことが、たびたびというのが現実です。

 弁護士は、他人の紛争にわざわざ飛び込んでいく仕事です。そこで、多くの関係者の喜怒哀楽に接します。それがいいのです。もちろん、お金も扱いますが、何より人間の多様な感情の営みに、もっとも多く、直接かつ頻繁に触れられるのが、弁護士の仕事の魅力なのです。ですから私は、法理論に興味と関心はあるけれど、生身(なまみ)の人間には興味も関心もないという人は弁護士には向いていないと思います。そんな人は、公務員になったらいいと私は思うのです。

たくさん役に立つ本を書いてきた著者の最新刊です。すぐれたマンガカットもあってすらすら読める内容なので、高校生や大学生に本書を読んで弁護士って、けっこう面白い仕事をしているんだなと思って、法曹そして弁護士を志望してもらいたいものです。

 

(2025年12月刊。2420円+税)

 アメリカにはトランプ大統領のように大金持ち優先・力の支配の信奉者がいる一方、ニューヨークのマムダニ市長のような人もいて、懐(ふところ)が深い国だと思います。

 マムダニ市長の公約は大金持ちに最適に課税をして、貧しい人のために使うというものです。この公約に共感した人が10万人もボランティアの運動員となって無名の候補者だったのが当選するに至りました。

 日本でも、大金持ちや内部留保をためこんでいる超大企業に適正な課税をしたら、消費税を減税する十分な財源になります。

 それを主張しているのが共産党だけというのに私は不思議でなりません。

 「1億円の壁」というものがあり、1億円以上の所得がある人は、かえって税率が下がるというのも信じられません。

 円安のおかげで輸出企業はウハウハという高市首相の発言は円安のための物価高に泣かされている私たち庶民の生活がまったく頭にないことを意味しています。許せません。

取調室のハシビロコウ

カテゴリー:司法

(霧山昴)

著者 江口 大和 、 出版 時事通信社

 ハシビロコウは、先日、NHKの「ダーウィンが来た」でも紹介されましたが、アフリカにいる絶滅寸前の大型の鳥です。その特徴は、なんといっても餌となる魚(ナマズなどの大型魚)を捕まえるため、1時間ほども不動の姿勢でいることです。

 私は著者が狭い取調室で検察官から、いたぶるような取調を受けている映像を前に見ていましたので、この本の題名がまさしくしっくりきました。どんなに人格を侮辱することを検察官が言っても、著者は「黙して語らず」で、不動の姿勢を貫いている様子が録画されているのです。まさしく取調室のハシビロコウそのものでした。この取調の様子が活字になって再現されています。

「あなたの弁護士観っていうのはね、全然大間違いですよ。ガキだよね、あなたって。なんかね、子どもなんだよね。子どもが大きくなっちゃったみたいだね」

「本はたくさん読んでたみたいだけど。なんか、ちょっと、論理性がさあ、なんか、ずれてんだよなあ」 

「誰が、そんなあなたのことを信用するんだ、今後、そんな態度で。嘘に嘘を重ねることになりますよ。もともと嘘つきやすい体質なんだから、あなた。こんなにはっきり、取調においてね、明確な嘘をつくのって、ちょっとやっぱ特殊な人が多いですよね。やっぱ詐欺師的な類型の人たちですよ。あなたも、そこに片足つっ込んでると思うな」

「あなたのやっていることは空回りなんですよ。すべてが場当たり的。しかも、ゆがんじゃってるわけですよね。ちょっと考えると間違えちゃう。超、筋悪ですね。あなたの発想っていうのが、お子ちゃま的。残念ながら、物事を客観視できないっていうのは非常に悲しいですよね」

「完全に自己満足にしか見えないんだけどね、この黙秘」

「どこに逃げる余地があるんですか、1%もないんですよ。ゼロ%ですよ、あなたが逃げられるのは」。

これは横浜地検特別刑事部所属の川村政史検事の取調室のコトバです。私が恐ろしいと思うのは、この川村検事は55期なので、検事生活20年以上のキャリアがあります。取調状況が録画されていることを知ったうえで、弁護士に対して言っていること、しかも黙秘権という正当な権利行使をしている被疑者に対して一方的にまくしたてている。これは本当に怖いです。

検察官が被疑者である弁護士に向かって、これほど人格侮辱的コトバを数限りなく操り出しているのは、日頃から、こういう強圧的な取調をしていることの何よりの証明だと思います。

結局、著者は保釈がずっと認められず、250日間も勾留されました(裁判官もひどいと思います。大川原工機事件での、重病の被告人の保釈請求を却下した東京地裁の裁判官と同罪です)。そして、黙秘しているのに、57時間11分も取調べしたのでした。

 江口弁護士が逮捕された罪名は、犯人隠避教唆。関係者から聞いた話を書面にしただけで、代理人にも弁護人にもなっておらず、相談料も着手金ももらっていない。しかも、2年前のこと。ええっ、こんなことで逮捕・起訴され250日間も勾留のうえ、有罪となり、弁護士資格を奪われるなんて、理不尽な話だと私は思いました。

 黙秘を貫くことは、想像以上に苦しいもの。そのとおりです。私は弁護人として、完全黙秘を勧めたことは、警察による政治的な不当弾圧事件(共産党の選挙ポスターを電柱に貼っているところを現行犯逮捕しました)の被疑者に対しての1回しか記憶にありません。たいていの人はしゃべりたがりますので、それを止めるのはまず無理です。

 この本のオビに「人質司法のリアル」とありますが、まさしく、そのとおりです。

川村検事の著者に対する取調状況の録画はネットで閲覧できます。必見だと思います。あわせて本書の一読をおすすめします。

(2026年1月刊。2200円)

 日曜日のNHKの討論会に高市首相が直前ドタキャンしたのは大問題です。「逃げた」と言われても仕方ないと思います。だって、高市首相は直後の地方での演説会には行って演説しているのですからね。

 高市首相は、その前のテレビ討論会で統一協会との深いつながりを追及されたとき顔色が変わりました。ニセモノでないことは明らかな文書なのにインチキ文書だ、名誉毀損で訴えると開き直ったのです。その点をさらに追及されるのがよほど怖かったのでしょう。でも、今回の選挙は「信を問うもの」と言っていたのですから、逃げるのは、やはり卑怯としか言いようがありません。

 若い人に、「高市さんは何かやってくれそう」という人気があるとのこと。でも、「円安で輸出企業はウハウハもうかってます」なんて言われても、物価高に苦しんでいる私たちのことなんか何も考えていないんだなとしか思えません。

 アメリカのトランプ大統領の言いなりに高市首相は軍事予算をどんどん増やしています。すると、福祉・教育予算が削られるのは必然です。

 「何かやってくれそう」といっても、アメリカのために軍事費を増やしているだけです。そんなの止めましょう。

 それにしても、「自民党大勝」という選挙予測を出すばかりのマスコミって、ひどくありませんか。自民党政治が続いたら、国民生活がどうなっていくのか、もっと、足を地につけて、冷静かつ批判的な報道をしてほしいと思います。

イスラエルの変革とパレスチナの解放

カテゴリー:中東

(霧山昴)

著者 木村 公一 、 出版 自治研究社

 ユダヤ人が「先祖の地」に戻って建国したのがイスラエルだというのは科学的な根拠がないことを知りました。

また、ナチス・ドイツがユダヤ人を大量に虐殺したのに手を貸したユダヤ人評議会が、実はユダヤ人を区分していて、殺されても仕方のないユダヤ人がいるとしていたという驚きの事実が指摘されています。

著者は私と同じ団塊世代の牧師です。神学大学の教授でもありましたので、聖書に詳しいのも当然です。大変勉強になりました。

イスラエルのガザ侵攻はまだ終わっておらず、ガザ地区に完全な平和はありません。何よりガザ地区の住民が7万人も殺されたという痛ましい事実を忘れるわけにはいきません。このことから導かれる教訓として、ナチスのガス室で幾百万の同胞の犠牲を経験した被害者の子孫であっても、ひとたび大量破壊兵器をもつ国をつくれば、ユダヤ人国家の邪魔になる異民族は虐殺、追放する冷酷な加害者に転化しうるという、人間の悲しい経験則がある。

「父祖たちの地」というが、それは血族関係における父祖たちというのではなく、精神的な関係における「父祖たちの地」のこと。

シオニストは、タルムードの教えに反してユダヤ人国家をつくった。「メシアの到来」の前に、人間の軍事力でユダヤ人国家を建設するのは、神の教えに反している。

伝承によれば、アブラハムは故郷であるバビロニア(カルデアのウル)を旅立ち、メソポタミア北部のハラニに一時滞在し、パレスチナに移住してきた。つまり、アブラハムはシュメール人。アブラハムの子孫たちは「ヘブライ人」と呼ばれる。この「ヘブライ人」とは、「メソポタミアの川の向こうからやってきた人たち」という意味。アブラハム一族は、さらにヨルダン川を西へと超えて、パレスチナに定着した。

ヘブライ人(ユダヤ人)の父祖となったアブラハムはシュメール人であった。ユダヤ人の父祖であるアブラハムはユダヤ人ではなく、カルデア(バビロニア)人やアラム(シリアとメソポタミア北部一帯の)人なのであり、パレスチナはヘブライ人発祥の地ではない。

イスラエルという名は、アブラハムの孫にあたるヤコブと彼の12人の息子たちを祖とするに部族に始原を有する。

旧約聖書の伝承によれば、アブラハムと側女(そばめ)ハガルのあいだに長男イシュマエルが生まれ、サラとの間に次男(二男)イサクが生まれた。長男のイシュマエルはアラブ人の父祖とされ、次男のイサクがユダヤ(ヘブライ)人の父祖となった。

「イスラエル民族」が共通の祖先をもつ血族集団であるという概念は、現代の歴史批評学では否定されている。なぜなら、歴史的にイスラエルが民族として成立するのは、カナン侵入後のことであり、それ以外の部族時代までは、民族としてのイスラエルは成立していなかった。アブラハム、イサク、ヤコブからして部族へと続く系図はひとつの伝承であって、歴史ではない。

「イスラエル」とは、ヘブライ語で、「神は支配する」あるいは、「神の支配」を意味する。

「ユダヤ民族は、かの地から強制的に追放された」というのは伝承であって、歴史ではない。

ナチスが「ユダヤ人問題の最終的な解決」を実行に移すまで、シオニズム運動は、ユダヤ人のあいだで人気がなく、移住するとしたら、迫害のないアメリカかイギリスだった。それが、ナチスのユダヤ人弾圧によってパレスチナ入植にはずみがついた。シオニスト指導者たちは、ナチスを歓迎こそしないものの、運動のために利用した。

国家権力と領土を得たイスラエルは、第二次大戦後のフランスから余った大量の近代的兵器を周到に密輸入して、1948年5月14日の建国宣言の翌日、「自衛権」を盾(たて)に、「第一次中東戦争」を始め、アラブ軍を圧倒した。

全世界のユダヤ人の3分の1がイスラエル国に暮らしている。そのなかには「自分は神を信じない」というシオニストが多い。

ユダヤ人にも2種類いる。「強制収容所に送られても仕方のないユダヤ人」と、「パレスチナでユダヤ人国家の建設に貢献できる優秀なユダヤ人」と。ユダヤ人評議会は、ナチスの単純な協力者ではなく、ナチスの巧妙な支配戦略と、それに翻弄されたユダヤ人社会な複雑な状況を理解する必要がある。

世界中がヒトラー・ドイツの製品ボイコットしているとき、ユダヤ人評議会はドイツの優れた製品を欧米に輸出して大儲けしていた。この収益が世界シオニスト機構の運動資金として活用されていた。圧倒的多数の貧しいユダヤ人が強制収容所で死を待っているとき、エルサレムはバブル景気に沸いていた。彼らユダヤ人たちは、金持ちユダヤ人の富をナチスと分けあっていたのだ。エルサレムの検察が本気でブタペストのアイヒマンの屋敷とその巨万の裏金の出どころを調べたら、独立したばかりのイスラエル国は完全に崩壊していたことだろう。

アンナ・ハーレントも、アイヒマン裁判を傍聴していて、同じような感想をもち、それを文字にしましたが、直ちに、ユダヤ人社会から徹底的に非難、攻撃されたと聞いています。この点は、もっと詳細かつ具体的に明らかにしてほしいと私も思います。

大変本当に勉強になりました。とても貴重な労作です。

 

(2026年1月刊。1430円+税) 

 高市首相は、今度の解散・総選挙について、私(高市)が首相であっていいのかというのを選択する選挙だと言いました。

 では、高市首相は統一協会から何度も応援されていること、献金も受けていることを堂々と明らかにすべきです。そのうえで、国民に信を問うべきです。

 また、今回の選挙で高額の裏金をもらっていた議員を自民党は公認しています。企業献金はいくらもらってもいいんだということでしょう。それをはっきり言ってから、国民に信を問うべきです。

 この選挙は855億円もかかるそうです。

 こんな大金は、福祉や教育予算にまわしたら、みんなが喜ぶのです。政治の私物化を許してはいけません。

福岡県弁護士会 〒810-0044 福岡市中央区六本松4丁目2番5号 TEL:092-741-6416

Copyright©2011-2025 FukuokakenBengoshikai. All rights reserved.