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新・戦国史

カテゴリー:日本史(戦国)

(霧山昴)

著者 NHKスペシャル取材班 、 出版 NHK出版

私は一般にテレビはまったく見ません。相撲も野球も、そしてサッカーもスケート、ゴルフもまったく関心がありません。好きな人たちがやってることなので、お好きにどうぞ。私は好きにやってますから、どうぞ放っておいてください。こんなスタンスです。

ところが、歴史発掘みたいな番組があると、見ないわけにはいきません。先日は、犬山城を「ぶらタモリ」が紹介していました。熊本城も欠かせません。そして、あの安土城がテーマだと知ると、見逃せません。

つい先日、安土城に久しぶりに登ってきました。まだ発掘途上のようですね。なにしろキリスト教宣教師のルイス・フロイス(「日本史」が有名です)は、信長に18回も会って話したというのです。そのルイス・フロイスも安土城にのぼっているはずなのです。

私は、安土城にのぼるのに「伝大手道」を行きました。幅8メートル、全長約180メートルほどの巨大な道です。ところが、この本によると、一般的に登城するのは「百々橋(どどばし)口道(くちみち)」であって、「伝大手道」は、特別な(天皇のような)貴客が来たときに使う儀礼的性格の道だったとのことです。まあ、私も特別待遇を受けたということにしておきましょう。

安土城の特色はなんといっても、見せるお城だということです。安土城の頂上に天主がありましたが、その屋根には、青色の軒丸瓦がふかれ、その前面部分には、金色に輝く瓦がふかれていたというのです。

安土城天主には、中国に由来する「三皇五帝」という絵や、柱には上り龍・下り龍が描かれていた。そして、屋根瓦も、中国の宮殿と同じく青瓦であった。

織田信長は、安土城の当初から、「見せる」ことを意識して城をつくっている。山の下から見上げると、石垣が一つにつながって、まるで高い石垣がそそり立っているように見える。そんな仕掛けを小牧山城や岐阜城もしたし、安土城はさらにそれを華美にしたということのようです。

信長の「天下布武(てんかふぶ)」という有名な印文(印章に刻まれた文字)にある「天下」とは、日本(戦国)全土を指すのではなく、畿内を指すと理解されている。

安土城の天主跡には大きな礎石が今も残っています。「信長公記」によると、天主は地下1階、地上6階の7階建てだというのです。度肝を抜くとは、このことでしょうね。

安土城はほかより一つ小高い山ですので、その頂上に地上6階建て、屋根瓦は青や赤そして金色に輝いていたというのですから、まさしく神様の御殿ですよね。

私は、安土城駅まで電動自転車をレンタルして行動しました。歩いてまわったら優に半日コースになります。2時間以上の強行軍でした。

安土城に行きましたので、その意義をしっかり勉強することのできた本です。

(2026年3月刊。1078円)

70歳の法学者が、なぜロマンス詐欺に騙されたのか

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 高倉良一 、 出版 さくら舎

ロマンス詐欺などの特殊詐欺の被害にあった人の相談を受けるのは、しばしばです。残念なことに、手も足も出ません。だって、詐欺集団の素性がまったく分かりませんので、誰を相手に闘ったらいいのか、何の手がかりもないからです。

カンボジアに詐欺集団の拠点となる「町」があるという報道があります。でも、かけ子は国外にいても、受け子と出し子は間違いなく国内にいます。恐らく、その頂上には暴力団のトップが君臨していると思います。それこそ警察はもっと本腰を入れて取り組み、検挙すべきです。

今の警察上層部は、どうせ騙されるのは「欲に目のくらんだ馬鹿な連中」などとしかみていないのではないでしょうか。でも、それは明らかな間違いです。たちの悪い詐欺集団がいて、巨額の不法利得を得ているのですから、それを見逃したら、何のための警察か…ということになると思います。日本の警察は世界一だと自負しているはずなんですが…。

このタイトルで本を書いた著者は勇気があります。大したものです。70歳で一人暮らしのようです。離婚して寂しいところにつけ込まれたのです。

「自分だけは絶対に大丈夫」「騙されることなんて、ありえない」。そんな過信が崩されてしまったのです。

ちなみに、私はスマホは利用していませんし、見知らぬ電話に出ることもありませんので、「大丈夫だ」と確信しています。

詐欺師が狙うのは頭ではなく、心だ。

著者はわずかな期間で、1000万円近い大金を騙しとられてしまいました。

ささやかなプライドがズタズタにされ、人を信じるという当たり前の気持ちを奪った。

「この話は、私たちの未来に関わる大切な話なので、誰にも言わないでください」、そう言うんです。誰にも相談させないように仕向けます。そして、「愛情たっぷり」のささやきに身も心もうっとり、とろけさせられるのです。

フランス人もロマンス詐欺でやられています。騙すのはナイジェリア人の学生たち。格好のアルバイトになっているのだそうです。

大金を巻き上げるのには、投資という舞台がつきものです。どんどんもうけてはふくれ上がっていきます。なんと、著者は1億円ももうかったことになっていました。女性の伯父という人の指南で投資を始めたのです。すると、次々に投資のお金をすすめられます。1億円もあるのなら、それをまわせばいいはずなんですが…。

著者は法学部教授を定年退職し、静かすぎる日々を送っていたのです。女性とのメールの交換のみが生き甲斐になっていました。頼られていることの「心地良さ」に浸り切っていました。著者も、心のどこかで、おかしいんじゃないか、これって…と疑ってはいた。でも、真実から目をそむけ、気づかないふりをした。甘い夢の心地良さに浸り、現実を見ないようにした。

送金先は、見知らぬ男の口座。おかしい。胸騒ぎがする。でも送金した。

「今すぐ決断しないと、このチャンスは二度とありません」、今すぐとせかし、ゆっくり考えるヒマを与えない。これは、昔からの常套的な騙しのテクニックです。

「さすがですね」と、心をくすぐられます。

小さな要求から始め、次第に大きな要求へ導かれていく。最初に、ちょっとした成功体験を味わうことによって、次の大きな「投資」への心理的な抵抗を減らす。

ロマンス詐欺では、可愛らしい女性の写真が送られてくる。実は、男のことが多いのに…。

声を聞いたこともない。彼女の言葉(メールの文章)は暗闇の中の一筋の光。

「君がいないと、彼女は生きていけない」という。自尊心がゆさぶられる。

手持ちのお金がなくなると、友人・知人から借金するようすすめられる。そのときの方便の嘘も教えられます。

友人が騙されているんじゃないの…と言っても、著者はまだ目が覚めない。そして、結局、1000万円もの大金が詐欺集団に渡ってしまいました。

いやはや、本当にこんな詐欺集団を野放しにしてはいけません。「優秀」なはずの日本の警察はいったい何をしているのでしょうか…。

(2026年6月刊。1760円)

希土類磁石

カテゴリー:社会

(霧山昴)

著者 佐川眞人、浜野正昭 、 出版 日刊工業新聞社

希土類磁石とは、希土類(レアアース)金属と鉄やコバルトに代表される3d遷移金属との金属間化合物を主成分とする永久磁石のこと。

今や、希土類原料の生産は中国一国にほぼ独占されている。

ネオジム磁石は、地球温暖化対策のため、省エネと再生可能エネルギーの増大に貢献している。ネオジム磁石が活躍しているのは、省エネを目的とした、次世代自動車用駆動用モータおよび発電機、電動パワステ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、そして新エネルギーを目的とした風力発電、小水力発電、コージェネがある。

ネオジム磁石は、2003年にアメリカの生産はなくなり、ヨーロッパでは1社のみ、かつて中国は日本と拮抗していたが、今や日本をはるかに上回る。

医療用のMRIにもネオジム磁石が使われている。新幹線にも地下鉄電車にも使用される。プリウス(電気自動車のハイブリッド車)にも使われている。

風力発電にもネオジム磁石が使われているが、日本は風力発電の開発が遅れている。これは電力会社も政府も原子力発電に今なお血道をあげているからです。風力発電はコストが低い、重大な危険性がまったくないので、世界的にはすすめられているのに、日本は育成されていない。スペインでは総発電量の16%にもなっている。

著者は、日本列島が海に囲まれているので、浮体式洋上風力発電をすすめています。原発よりも真剣に取り組むべきだと私も思います。

エレベータにもネオジム磁石が使われている。かつてのエレベータには、上部に機械室があったけれど、今はないそうです。初めて知りました。

産業用ロボットにもネオジム磁石が使われている。このロボットに内蔵されるサーボモータには高性能な希土類磁石が搭載されている。

中国には豊富な埋蔵資源があるうえ、安価な労働力が豊富で、設備も安いことから、生産コストが他に比して極端に低く、他国は競争力を失ってしまった。2005年時点で、中国は世界の生産量の90%を占めた。

オーストラリア、マレーシア、ベトナムなどでも開発しようとしている。

日本は工程内リサイクルを進めている。「都市鉱山」とも呼ばれる使用済み製品から希土類磁石を回収し、再利用する。年間400トンのネオジム磁石を回収する。磁石の中には希土類が120トンも資源として埋蔵されている。

ネオジウム磁石を開発するにあたって、日本人学者、研究者は多大の貢献をしたようです。その開発にあたった著者らはその体験を踏まえて、研究者は権威に盲従するなと強調しています。

恐れを知らずに進む。トップ研究者に洗脳されていないので、自由な発想で取り組めた。あとは、持続の体力とやる気で爆進する。若い研究者よ、権威に取り込まれないようにしよう。ブームの研究分野に入っても、一通り勉強のつもりでついていったら、今度はトップの研究者たちが見ている方向と反対側を見よう。反対側にはいいものがあるかも知れない。

現代社会の現実の一端を知ることができました。

(2012年7月刊。2860円)

未完の中国文化大革命

カテゴリー:中国

(霧山昴)

著者 楊海英、 出版PHP新書

この本は、いいかげんな本です。モンゴル生まれで、現在は静岡大学の教授をしているそうですが、日本敗戦時の中国東北部(旧満州)にいた日本軍将兵10万人が人民解放軍に参加したことから国民党軍に勝利したなど、とんでもない嘘を堂々と(恥ずかしくもなく)書いています。

私の叔父(父の弟)が関東軍の兵士として満州にひっぱられて敗戦時は後は、国共内戦のなか満州各地を転々としていた状況を調べて本 (『八路軍とともに』花伝社)にまとめていますので、私はそれなりに事情に詳しいのです。

「実際には、日本の敗退後、ソ連軍が人民解放軍を招き入れて勝利を得ているだけだ」というのは、まったく事実に反します。スターリンの支配するソ連軍は中国共産党よりも国民党を重視していました。中国共産党は、国民党軍よりも早く日本軍のいなくなった満州に進出していきました。蒋介石の国民党軍はもたもたしていて出遅れたのです。

ソ連は満州にあった工場その他の設備と備品をどんどん接収してシベリア鉄道に載せてソ連へ送り出しました。略奪したのです。叔父はその下働きをさせられました。日本軍が残した武器・弾薬はソ連軍が管理していたので、中共軍は交渉してなんとか相当部分を確保しています。これに対して国民党軍にはアメリカが最新鋭の兵器・装備を提供しています。

「このとき、日本軍の敗残兵が多数、人民解放軍に参加した。一説には10万人もの日本兵が林彪部隊に入ったといわれている」。学者ともあろう者がよくも、こんないいかげんなことを書けるものです。旧日本兵をソ連が何十万人もシベリアに連行していたのも忘れています。

「日本軍の武器はすべて人民解放軍に渡った。解放軍が操縦法の分からない戦闘機などの操縦法を日本兵が教えた」

日本軍の武器のすべてではありません。アメリカが支援する国民党軍が満州を優勢に支配していた時期もあります。

中共軍は八路軍(パーロ)とも呼ばれていて、叔父はパーロと一緒に満州各地を転戦(逃げまわった)したのです。日本人将兵が戦闘機の操縦を八路軍に教えたのは事実です。その状況を紹介している本もあります。

「場合によっては、日本兵が最前線に立った」。これも事実に反します。八路軍は基本的に旧日本兵は最前線に立てませんでした。信用していなかったからかもしれません。補給兵や看護兵などの後方支援を主としています。叔父の場合は、工場技術者として重宝されました。というのも、八路軍は幹部でも識字能力がそれほどではなかったのです。いわば農民集団だったようです。

「そのため満州で人民解放軍は勝利を得た」。これも嘘です。人民解放軍が勝利したのは、汚職腐敗のひどい国民党軍に対して、規律正しく(「三大規律八項注意」が厳正に守られていました)、土地解放によって、人々を惹きつけたからです。それでも、国共内戦は一進一退の攻防が長期にわたって続いて、長春など各地で深刻な悲劇が続いています。

この本ではありませんが、中国共産党は日本軍とひそかに意を通じていた、だから国民党軍に勝ったとする本もあります。むしろ、旧日本軍が師団丸ごと国民党軍に参加して戦った事実があります。「蟻の兵隊」として知られています。これは個々の兵隊が自発的にという扱いになったためです。まだ国民党軍が大陸において国共内戦をしているときに、共産党軍の威信低下をねらってまき散らしたデマ宣伝に乗せられているだけです。国共内戦当時の共産党軍に日本軍と内通するほどの余裕はありませんでしたし、当時の日本軍を共闘相手として共産党軍が考えるなど、まったくありえません。こんな嘘が堂々と活字になると信じてしまう人も出てくるので、あえて紹介しました。

(2026年1月刊。1250円+税)

税と権力

カテゴリー:日本史(中世)

(霧山昴)

著者 似鳥 雄一 、 出版 早稲田新書

中世人はどうして税を払うのか、というサブタイトルのついた新書です。

私の事務所は消費税に苦しめられています。10%を一律5%に引き下げてほしいというのが、目下の私の切なる要望です。だって、 消費税は不公平です。トヨタのような輸出企業は戻し税として消費税は支払うものではなくて、もらうものです。そして、消費税の目的が福祉の充実だなんて嘘っぱちです。健康保険の自己負担割合は1割から2割、そして3割に上がりましたし、介護保険料もどんどん値上がりしています。やめてほしいです。こんなムチャクチャな税は……。タックス・ザ・リッチ。大金持ちの税率をもっと引き上げるべきです。税金と聞くと、私はすぐに興奮してしまうのです。

そして、この本は、中世人はなんで税を払っていくのかと問いかけています。なるほど、考えてみれば、不思議ですよね。今は税務署があって、目を光らせていますが、中世にそんな役所はなかったのに、それなのに税を支払ったのは、なぜなのか……。

中世には荘園というものがあった。まずは開発し、人々の生活を安定させ、そこから税を取り、うまく運ばせることで荘園の目的が果たされる。その達成と挫折の歴史が中世という時代だ。すなわち、荘園は、中世において税を取り、税を払う最大の場である。

税は、支払った者への対価として財・サービスをその場ですぐに提供するものではなく、徴収されたあとに運用され、再分配されることがうたわれていなくてはならないもの。

8世紀前半の日本の総人口は450万人ほど。そのうち20万人が兵士として登録されていた。ちなみに、現代日本の自衛官も22万人ほど(定員25万人を満たしていない)。

荘園と言っても庄園としても、どちらも間違いではない。

律令国家では、皇室領・公領、寺社の官田・御厨(みくりや)・御田(みた)・御園(みその)。 位田(いでん)・職田(しきでん)・勅旨田(ちょくしでん)・親王賜田(しんのうしでん)・神田(しんでん)・寺田(じでん)など、多様な名称のもとで土地を所有していた。

受領は一族とともに郎等を任国へ引きつれていった。受領の秘書官・代理人として 「目代」(もくだい)が活躍した。

百姓は安堵を求め、領主はそれに応えて撫民に努めなければならない。

「地頭」には、現地という意味がある。荘園の現地を任される荘官の呼称の一つが地頭。 地頭たちを国ごとに統率する役割を負ったのが守護。

源頼朝が到達した最高の官職は、権大納言・右近衛大将で、大臣には届いていない。

中世には、無償の忠誠などという一方的なものは存在しなかった。

中世という世の中を、税という側面から眺めてみる本です。勉強になりました。

(2026年4月刊。1320円)

日曜日に仏検(フランス語検定試験)1級を受けました。福岡の会場の受験者は16人でした。仏検は、もう30年来、受けています。準1級には10回、合格しましたが1級のほうは、とてもとてもです。6割とらないといけませんが、今回の自己採点は50点(150点満点)なので、4割もとれません。でも、ボケ防止ですので、年2回の受験に向けて、朝、晩、1ヶ月間は集中して準備します。なにしろ過去に受けた問題冊子だけでも30枚もありますので、振り返るのも大変です。残念なことに、毎回、新鮮な気持ちです。つまり、どんどん単語を忘れているということなんです。

 でも、くじけず、ひき続き、がんばります。

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