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カテゴリー: 生物

オキノタユウの島で

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  長谷川 博 、 出版  偕成社
 アホウドリという名前は、人間がいかに無知で馬鹿な存在であるかを意味しています。
 実際の鳥は、賢く、優雅です。ですから、著者は、昔のようにオキノタユウと呼ぶことを提唱しています。これには私もまったく同感です。
 著者は私とまったく同じ年に生まれ、長く20年以上も無人島に渡って、一人で1ヵ月に及ぶ生活をしながらオキノタユウの繁殖を手助けし、観察を続けてきました。
 その苦労には、心より敬意をささげます。すごいです。
 オキノタユウは、長く一夫多妻で連れ添う。片方が亡くなると、しばらくして再婚はする。
 オキノタユウは、荒れくるう海をものともせず、悠然と飛翔する。きっと、荒れる海が好きなのだ。
 火山島の鳥島には、沢など淡水の流れはない。雨水をためて生活用水を確保する。雨水を飲料水にはしない。生息しているクマネズミのふんが貯水槽に入り込んでいるかもしれないから。
 着陸の不得手なオキノタユウは、けっして無理に着陸することなく、何回も慎重に進入を試みて、安全を確信したときに初めて着陸する。
 オキノタユウを近づいて観察するときには、なるべく低い姿勢をとり、すこしずつ、ゆっくりとコロニーの縁に近づく。そこにすわってじっとしていると、鳥たちは次第にこちらを気にしなくなる。
 オキノタユウのコロニーには病気を媒介するダニやツツガムシなどが生息している。そこで、コロニーの中を歩いたあとは、全身を石けんで洗い、着換えをするほうが安全だ。
 はじめのうち、島には、オキノタユウを招き寄せるため、デコイや音声装置を設置していた。しかし、2006年5月に撤去し、今はない。
今や成鳥と若鳥の数は200羽をこえ、ひなは80羽いる。長年の苦労がついに報われたのです。大きな心からの拍手を送りたいと思います。
(2015年5月刊。1800円+税)
シルバーウィーク、久しぶりに近くの小山にのぼりました。ところが、ちょっと前に直撃した台風のために至るところ倒木だらけで、いつものコースがのぼれず、危く道を間違えそうになりました。といっても間違えたからといって遭難するような状況ではありません。汗びっしょりになって頂上にたどり着きました。
秋の終わりを告げるツクツク法師の声を聞きながら、山頂でおにぎりを美味しくいただきます。山では梅干しおにぎりが最高です。360度のパノラマ光景で下界を見おろして英気を養います。黄金色のススキの穂が風に揺れています。山頂のコスモス畑は、まだ花がちらほらとしか咲いていません。山をおりる途中のミカン畑は、まだ青いミカンが鈴なりです。今年は台風直撃によって梨は8割も落果してしまったと聞いて心配です。
ふもとまでおりてくると、見渡す限り緑のじゅうたんです。いえ、黄色の稲穂が垂れはじめていますので、黄色の混じった緑色が広がっています。それを縁取っているのが紅い蔓珠沙華です。空をカラスの群れが飛びかい、アオサギが一羽、悠々と飛んで行きます。
いかにものどかな田園風景。心が和みます。

ウルフ・ウォーズ

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  ハンク・フィッシャー 、 出版  白水社
 アメリカのイエローストーン公園にオオカミを復活させる取り組みをたどった本です。
 オオカミは、かつては嫌われものの筆頭でした。赤ずきんちゃんの話でも、オオカミは悪い奴として登場します。なので、オオカミを打ち殺すのは当然という風潮がしっかり社会に定着していました。同じようにピューマが家畜を襲っても、ピューマを根絶やしにしろという声が起きたことはありません。ピューマを見た人が少ないこともありましょうが・・・。
 アメリカ北部のオオカミの回復は軌道に乗っている。そのための一つは、家畜生産者がオオカミの被害にあったとき、民間の基金によって補償金を支払うという制度をつくったことです。その二は、自分の土地でオオカミが子を産んだとき、その土地の所有者に5000ドルを提供するようにした。
 オオカミを復活させるためには、やはり、このような経済的手当も必要なのですね・・・。
 1930年、アメリカのほとんどの州からオオカミの姿は消えてしまった。かつて、イエローストーン地域だけでも、オオカミは3万5000頭以上いると推定されていた。オオカミがいなくなると、シカが急速に増えはじめた。
 1995年1月、アメリカの魚類野生生物局は、カナダから空輸してきたオオカミ4頭を原生地域に放した。
 いま、イエローストーン公園には、年間350万人もの観光客が押し寄せる。そして、その相当部分がオオカミ目当てだ、ここではオオカミによる人身事故は起きていない。オオカミ目あての観光客は、地域経済をうるおし、オオカミの復帰で回復した自然は世界中から来る観光客を魅了するだけでなく、教育の場として、多くの親子連れや学生たちでにぎわっている。
 オオカミの大半は、発信機なしの野生のままの状態で生息している。人々は、それを見て、当たりまえのことと思っている。
日本でも、北海道でエゾシカやキタキツネが増えすぎていることが以前から問題になっています。それもオオカミがいないことによる現象の一つです。
 日本でオオカミを復活させるのはできないのでしょうか?
 ちなみに、オオカミが人を襲う心配は、ほとんどないということです。
            (2015年4月刊。2600円+税)

日本の森・列伝

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  米倉 久邦 、 出版  ヤマケイ新書
 私は、秋田県の白神山地のブナを見学に行ったことがあります。見事なブナの木でした。
 日本のブナの北限は北海道。
 ブナという種が地球上に誕生したのは150万年前のこと。そしてブナの森は、今よりずっと北側にまであった。しかし、地球が氷河期に入ると、ずっと南へ生息域を移していった。
 地球が再び温暖化して、1万2000年前に、ブナは反転攻勢して北上していった。本州の北端にブナがたどり着いたのは9000年前のこと。
 ブナが北上するといっても、根があるから、タネを誰かが運んで芽を出すという方法しかない。ブナは発芽してからタネをつけるまでに50年かかる。だから100年で100メートルしか北上できない。ブナのタネを運んだのは鳥だ。ホシガラスやカケスが「犯人」として考えられる。
 北海道において、道南のブナは、アイヌの人々の暮らしとともに栄えてきた。
 北海道のブナは、葉が大きい。その代わり、葉の枚数が少ない。ブナの若木は、ミズナラやホオノキが葉をつける前に太陽の光を独占しようとして、早く太り、背を伸ばして大きな葉を広げる。
 北限のブナは、まっすぐに幹を伸ばし、高いところに枝葉を広げる。下枝もない。
ブナの寿命は一般には250年。しかし、北限のブナは170年で枯死する。
 ブナは雪の申し子だ。冷温で、たっぷりの水を供給してくれる土地が好き。でも、湿地は好まない。水はけがよくないと困る。
 ブナが実生で、発芽してから育つのは10%未満でしかない。ブナの実は、ヒグマの大好物だ。
 ブナは、保水力のある土壌が好きだ。ブナの森の土壌は、スポンジのようになっている。ブナの葉は、とても固い。そこで、まずは菌類が分解する。そして、ミミズやダニが食べられるようになり、フカフカの土壌になる。
 ブナは保水力があるところが好きだ。ブナがあるところは、さらに保水力がアップする。
 東北地方に、もともとクロマツはなかった。海岸防災に一番適した木だと分かって、クロマツの評価が一挙に高まった。クロマツが海岸林として形を成すまでに20年以上もかかった。
 動くことのできないブナは、水を寄せ集める仕組みを、木全体でつくり上げている。雨も霧も、樹幹流といって、水を見事に誘導するシステムがある。
 ブナの次は、スギ。スギにもいろいろな形があるのですね・・・。
佐渡には一度だけ行ったことがあります。あまりに人間にとって劣悪な自然の環境のためにスギの天然林があるといいます。樹齢500年の大木まであるそうです。
 木も動いていく生物なのですよね。楽しい、不思議な話が満載でした。
(2015年6月刊。880円+税)
大刀洗町に今村天主堂という立派なカトリックの教会堂があります。この地域は江戸時代を通じて潜伏キリシタンがいて、明治になって「発見」されたのでした。
 江戸時代の直前、1600年ころ筑後地方のキリシタン人口は7000人、1605年には8000人をこえていた。現在、筑後地方のカトリック信者は2900人ほどなので、当時のほうがはるかに多い。
 この今村地域は、今もほとんどがキリスト教信者です。
 なぜ、陸の孤島でもないのに大量の潜伏キリシタンがなぜ可能だったのか。秘密が厳守されていたこと、全村が潜伏キリシタンだったこと、年貢を確保するためには藩としても農民を殺すわけにはいかなかったこと、そのため村役人は「見ざる、言わざる、聞かざる」を通していたことが理由として考えられるとされています。
 私の個人ブログに、その堂々たる教会堂の写真を紹介していますので、のぞいてみてください。

心地いい里山暮らし

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  今森 光彦 、 出版  世界文化社
 うらやましい里山生活の日々を写真で紹介している楽しい本です。
 著者は高名な写真家です。生物や自然をたくさん撮ってきました。そして、ペーパーカット作家でもあり、この本にも見事な作品が紹介されています。
 琵琶湖の西岸、大津市の郊外に居を構えたのです。近くには棚田があります。アトリエをつくり、雑木林があり、ガーデニングエリアをもうけました。近くには水田環境もあります。四季折々の花や蝶そして小鳥たちの素敵な写真が紹介されています。私も花の名前を前よりは知っていますが、著者は知識は数段上回ります。
アトリエの庭先にテーブルを出して休憩中の著者の写真が紹介されています。緑ふかいなかで、時間がゆったり流れていくのです。うらやましいほど、ぜいたくなひとときです。
 ガーデニングをも、私とは違って、明確な目的があります。たとえば、チョウの集まる庭づくりです。
幼虫のエサになる食草も、チョウによって異なる。そして成虫となったチョウの好む花も異なっている。アゲハチョウは、ミカン類が好き。カラタチに目がない。エノキは、オオムラサキ、ゴマダラチョウ、ヒオドシチョウに欠かせない。
 そして土づくりにも精を出します。これは私も及ばずながら努力しています。我が家の庭も、黒づんで、ふかふかしています。おかげで、ミミズも大盛況。そして、モグラが生活しています。
著者が私と違うもののひとつが料理です。いかにも美味しそうな料理に挑戦します。もちろん、地元産の食材をつかうのです。
 里山生活には、いろんな不便も実際にはあると思うのですが、こんな素晴らしい四季折々の風景写真を眺めると、里山生活を誰だって堪能したくなりますよね・・・。といっても、私自身も自然のすぐ近くで生活する楽しみを、日々、実感しています。
(2015年4月刊。2000円+税)

先生、洞窟でコウモリとマナグマが同居しています

カテゴリー:生物

                                (霧山昴)
著者  小林 朋道 、 出版  築地書館
 なんと、この先生シリーズも9冊目です。第1刷は2007年3月に出た『先生、巨大コウモリが廊下を飛んでいます』でした。それからの8冊は、このコーナーで全部を紹介させていただきました。
 鳥取環境大学の教授がキャンパスの内外での自然観察を軽妙なタッチで面白く紹介しています。この大学にはヤギ部があります。今や7頭ものヤギが飼われていますので、世話をする学生は大変だろうと推察します。
 ちなみに、ヤギは1歳で成熟し、メスなら子どもを産めるそうです。
 ヤギが出産した状況は、なるほど、人間とはまるで違います。ヤギの赤ちゃんはうまれて1日か2日は母乳を吸わないで生きているようなのです。ええっ、そ、そうなの・・・。おどろきました。そして、赤ちゃんヤギには乳母が登場します。なんと、出産していないのに、乳母のヤギに乳が出るようになるというのです。本当に不思議な現象です。
 先生は、洞窟探検に出かけます。勇気がありますね。私なんか、とてもダメです。お化けが出てきたら、どうしますか・・・。そして、ヘビがいたら、どうするのでしょう。実際、洞窟内には、とぐろをまいたアオダイショウがいました。うひゃあ、こ、怖い・・・。
 そして、洞窟内にいるコウモリを種別に観察するのです。コウモリの顔って、はっきり言ってグロテスクですよね。よくよく見たら、案外、可愛いのかもしれませんが、あまり好きになれそうもありません。
 私が小学校の低学年のころは、なぜかコウモリが夕方になると、家のまわりを何匹も低空飛行していました。長い物干し竿をもって、コウモリをはたき落として遊んでいました。今思えば無用の殺生の典型ですが、子どもの私にとっては単なる面白い遊びの一つでしかありませんでした。
コウモリは、犬のような格好で水を飲む。
 コウモリは、紙にしがみつき、引きちぎり、紙を食べる。
 「先生」は、ヘビは何ともないのです。平気です。ところが、なんとヘビに比べようもない無害そのものの大ミミズが怖いというのです。なんという逆転現象でしょうか。信じられません。
 サルには、ヘビだけに特別強く反応する神経が見つかっている。人の脳も同じような神経を指定する遺伝子があるのではないか・・・。私も、きっとあると確信しています。だって、本能的反応なのですから・・・。
 いつものように写真がたっぷりありますので、生きものたちの自然な姿がよく見え、素直な文章によって理解が深まります。
 「先生」のますますのご健筆を祈念します。
(2015年6月刊。1600円+税)

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