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カテゴリー: 生物

金魚

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  岡本信明・川田洋之助 、 出版  角川ソフィア文庫
可愛い金魚がオンパレード。写真満載の文庫本です。
熊本県長洲町には有名な金魚の館があります。筑後地方のみやま市も金魚産地のようです。知りませんでした。
日本産金魚は33品種。金魚はフナ。学名は金色のフナ。室町時代(1502年)に中国から渡来した。それから今日まで500年余にわたって、日本の文化的背景や美意識によって改良され、愛玩されてきた。金魚は日本が世界に誇る平和の象徴の一つ。金魚は、まさしく生きた伝統工芸品とも言える。
金魚の祖先であるフナは、現在も盛んに変異を生み出す進化途上にある生きもの。 
改良された金魚は、特段に目立つ色やゆったり泳ぐ体形になっているため、厳しい自然の中では淘汰され、生きていけない。
すきあれば、金魚はフナの色や形に戻ろうとする。それで、品種の維持・管理に手を抜けば、どんどん先祖返りしようとする摂理が常に働いている。
金魚の起源は、古代の中国。晋(265~420年)の時代にフナの中に赤い色をしたフナを見つけたという文献がある。金魚が中国より日本に渡来したのは室町時代の1502年(文亀2年)、大坂の堺。ワキン(和金)。その後、別に琉球を経由した琉金も渡来した。
明治38年に開かれた金魚の品評大会の番付表が写真で紹介されています。大相撲そっくりの番付表です。当時の金魚人気のすごさを表しています。
当初、金魚は特権階級のステータスシンボルだった。しかし、やがて、庶民にも広く愛される存在になった。
金魚のオスとメスの見分けかたが写真で紹介されています。肛門の形が丸ければメス、細いだ円形ならオスなのです。素人にも見分けられるのでしょうか・・・。
金魚の寿命は毎日きちんと世話していたら15年ほど。犬や猫と同じ。ギネスブックに記録されているのは43年。なんという長寿の金魚でしょう・・・。
そして、なんとなんと、「どんぶり」でも金魚を飼えるというのです。意外に生命力があるのですね、金魚って・・・。
楽しい金魚の話が満載の文庫本です。
(2015年7月刊。920円+税)
 日曜日、大雪のため交通機関が大きく乱れているなかで、フランス語の口頭試問を受けてきました。この一週間は、ずっとそれが頭にあり、緊張していました。思うように単語が出てきませんので、頭の中をフランス語モードにするため、3日間は車中で本を読まず、アイフォンでCDを聴いていました。NHKラジオ講座のCDです。
 本番は3分前に2問を渡され、1問を選んで3分間スピーチをします。日本は亡命者をもっと受け入れるべきかを選択しました。私は賛成なのですが、いったいこれをフランス語で3分間どう話せばいいのでしょうか。日本語を考えて頭の中がまとまらないうちに、3分間たってしまいました。あと4分間、フランス人の質問を受けて答えます。本当にいつも冷や汗をかいてしまいます。ぐったり疲れました。

山と河が僕の仕事場

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  牧 浩之 、 出版  フライの雑誌社
  宮崎県高原(たかはる)町で、猟師であり毛鉤釣り職人として生活する著者の素敵な日々を写真とともに紹介する本です。とても面白く、一心に読みふけりました。
  神奈川県川崎市に生まれ育ったシティボーイが南九州の山地でシカやイノシシを狩り(ワナと鉄砲)、川や海で釣りをし、また、フライフィッシングの毛鉤を手づくりするのです。
  都会っ子なのに、すごい才能があるんですね、驚嘆しました。
  フライフィッシング用の毛鉤の材料としては、キユウシュウシカの毛皮が大変良い。
  罠にかかったシカを殺すとき・・・。いざ止め刺しをしようというとき、ものすごい罪悪感に襲われた。生きている獣を自らの手で殺そうとしているのだ。それでも意を決し、長柄の剣鉈を構えてシカとの間合いを始める。シカの胸元に狙いを定め心臓を一刺ししようとした瞬間、シカは殺気を感じて激しく逃げ回った。油断すると、こちらが怪我をする。「ごめん」シカの心臓に狙いを定めて剣鉈で一気に突いた。
  シカは足をばたつかせたかと思いと、そのまま眠るように動かなくなった。剣鉈を抜くと、真っ赤な血が湯気を立てながら流れ出した。
  捕獲した獲物は素早く適切な処理を施さないと、肉に臭みが生じて美味しくいただけなくなる。血液は時間とともに凝固するので、仕留めた獲物はすぐに血抜きする。血抜き処理が遅れると、肉の中に血液が残留し、臭みが残って、鉄臭い味が出てしまう。血抜きが終われば、自宅の作業場へ運んで、内臓の摘出にとりかかる。
  シカは作業場の梁から頭を下にして吊るし、内臓が傷つかないように注意しながら腹部を開いていく。肛門と膀胱を剥離するときは、とくに慎重に行う。内臓を摘出したら、腹腔内を冷たい水道水で冷やしながら、血液などの汚れをしっかり落とす。
  血抜きから内臓摘出までは30分以内、遅くても1時間以内には終わらせる。
  肉を食べるというのは、本来、このようにとても大変なことなのだ。しっかり、血抜きしたシカの心臓を、にんにくと一緒に炒めたハツ焼き。猟師の特権とも言うべく、酒のあてに最高。
  ストーブの上で、イノシシのカシラを焼く。これだけは誰にもあげたことがない。
  カラー写真があります。本当においしそうです。
  シカもイノシシも畑を荒らす害獣なのです。一定の駆除はやむえません。
  山と川を駆けめぐる生活は、とても充実していて、うらやましい限りです。でも、私にはとてもマネできそうにもありません。それで、本を読み、写真を眺めて想像に浸ることにします。
  山と川と人がつながる暮らし。それは、人生で今が一番楽しいと思える毎日。
  著者のこの言葉が素直にうなずけます。奥さんの弘子さんが写真に登場してこないのが残念でした。
  山と川好きのみなさんに、ぜひ読んでほしい本です。
  
(2015年12月刊。1600円+税)

はしっこに、馬といる

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  河田 桟 、 出版  カディブックス
 沖縄県にある与那国島にウマと暮らす女性の話です。
 馬語を話せるというのです。すごいですね。この本を読んでいると、なぜだか不思議に心がほんわり、温まってきます。詩を読んでいるような気分で、とても分かりやすい文章でウマの生態がやさしく描かれています。 
 ウマと一緒に暮らすと言っても、ウマは夜は森の中で仲間の野生馬たちと過ごします。
 与那国島には野生のようにして生きている与那国馬という体高120センチほどの小さなウマたちがいる。与那国馬は、数百年ものあいだ、この島の草を食べ、この島の水を飲み、台風の暴風雨に耐え、冬の雨や強風にもまけずに生きてきた。
 この本には、ウマ百態とも言うべきウマのスケッチがたくさんあって、ほのぼのとした雰囲気に包まれています。
ウマたちは、順位をはっきりつけることによって群れとして平和に暮らしている。
 著者はウマと一緒に暮らすといっても、ごはんの青草をあげ、手入れをする以外には、何もせず、ただそばにいるだけ。動きもゆっくりで、ぼうっとしていて、空気みたいな存在。だから、ウマたちも「なにもないヒト」と認知している。
 このヒトは身内だというウマに認めてもらうために一番大切なのは、毎日、そばにいること。
 ウマは、「なにも起こらない」おだやかな状況に幸福を感じる生き物。
 ウマは、警戒心の強い、群れで生きる動物。身内なのか、そうでないのかによって、相手にたいする反応はずいぶん違う。
 ウマは変化に敏感な生き物。いつもと違う感じが何かあると、すぐに気がついて緊張する。そして嫌そうな顔をする。
ウマは、からだをぴったりくっつけあうことに心地よさを感じない動物。いつでも逃げられるように、からだを自由に動かせるように、ある程度の距離があるほうが安心する。
ウマは、常にこころとからだの言葉が一致している。
ウマは、群れから離れたくない、ひとりで前にすすみたくない不安なことがあったら逃げ出したい生き物。
ヒトが馬語を話そうと思ったら、何をするかより、はるかに大切なのは、タイミング。
ウマに馬語で話しかけると、必ず何か答えてくれる。
カディと名づけられた与那国馬の写真をみてみたいものです。心安まる、いい本でした。ありがとうございます。
(2015年5月刊。1700円+税)

動物翻訳家

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  片野 ゆか 、 出版  集英社
 日本の動物園がリニューアルしつつあり、そのなかでの飼育担当者の奮闘ぶりを描いた傑作です。登場する動物は、ペンギン、チンパンジー、アフリカハゲコウそしてキリンです。
 動物園は旭山動物園ではなく、埼玉県こども動物自然公園、日立市かみね動物園、秋吉台自然動物公園サファリランド、そして、京都市動物園です。
 かつて動物園は絶大な人気を集めるスポットの一つだった。ところが、1990年ころ、転機が訪れた。退屈そうな動物の姿を見るのに人々が飽きてしまったのです。入場者が激減して、存続の危機にさらされるのでした。
 ペンギンは、ほとんど絶滅を危惧されている。ところが、日本では、動物園での繁殖に成功し、全国に2600羽のフンボルトペンギンがいて、世界の半数を占めている。
ペンギンは大食い。一日に体重とほぼ同じだけの魚が必要。
 ペンギンは、夫婦とその子どもたちで成り立っている。ペンギンの社会にボスはいない。
ペンギンのクチバシはナイフ並みの切れ味。ペンギンが人間になつくことはないし、またその必要もない。ペンギンは、強く、賢く、環境適応能力の高い動物だ。
ペンギンキャンプ。1人2食付で8000円。定員20人。5月末の土曜日に、テントでペンギンヒルズで一晩を過ごす。午前3時すぎがもっとも面白い。うひゃあ、そんな企画があるのですね。
 チンパンジーは、人間の言葉を確実に理解している。チンパンジーは50年ほど生きる。
ジョーに出演しているチンパンジーの子どもも、5歳か6歳になると人間への反抗心が芽生えてきて、人間による制御が難しくなり、ショーを引退する。
 飼育員は、朝夕、必ずリーダー以下、全員に声かけする。かならず一対一でコミュニケーションをとるのだ。不公平間を与えない。そして、仲間の前で叱ってはいけない。ささいなことでも、ともかく褒める。
 アフリカハゲコウは自分で狩りをする鳥ではない。大空を自由に飛べるようにしたところ、エスケープして、和歌山まで飛んで行った。どうやって連れ戻すのか・・・。すごい忍耐です。
 キリンは、1頭につき1000万円以上もして、海外から譲り受けることが不可能になっている。
 キリンはとくに怖がりの動物。細心の注意が求められえる。
動物園には子どもが大きくなって久しく行っていません。今度、孫が大きくなったら行きたいと思います。大変興味深い話が満載の本でした。
 
       (2015年10月刊。1500円+税)

時を刻む湖

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  中川毅 、 出版  岩波書店
「レイク・スイゲツ」というのが世界に有名なのだそうです。福井県にある水月湖のことです。いった何のことでしょうか・・・。
  「世界一精密な年代目盛り。福井・水月湖。堆積物5万年分。誤差は170年。考古学の標準時に」
  水月湖は、日本海の若狭海岸に位置している。水月湖には直接流入する河川がなく、水深も30メートル以上と深い。水月湖の年縞は、氷河期の寒い時代には1枚が0.6ミリ、その後の暖かい時代には1,2ミリ。これが厚さにして45メートル、時間にして7万年分たまっている。
縞模様は、1枚が1ミリにも満たない薄い地層。この薄い地層は1年に1枚ずつ、きわめて規則正しく堆積したもの。年縞と呼ばれる。
水月湖の底にたまる物質は、春は、珪藻が大繁殖したあと死滅して湖底にたまったもの。夏は、植物プランクトンが死んで湖底に沈んだもの。これは、比較的厚い有機物の層となる。秋から冬にかけては、鉄の炭酸塩が析出して湖底にたまる。このように水月湖の湖底には、季節ごとに違う物質が堆積している。
  水月湖は、周囲を高い山に囲まれているため、日本海の強風が直接吹き付けることがない。多少の風が吹いても、水深34メートルと深いため、湖底の水までかき混ぜることはない。だから、波や風によって湖底に酸素を供給することはない。
  水月湖の湖底には、セ氏4度の水があり、湖底から浮かび上がれないので、湖底は大気から切り離されて酸欠状態になる。そのため、年縞が生物によってかき乱されることもなかった。
水月湖にある活断層は水月湖を深くする方向に作用している。このスピードは、水月湖に堆積物がたまるスピードよりわずかに速い。この絶妙なバランスのおかげで、水月湖は埋積によって浅くなることもなく、7万年もの長いあいだ年縞を形成し続けることができた。
  学者たちは、土の縞模様をひたすら数え、葉っぱの年代をひたすら測り、それらを組み合わせていった。単純だが、それだけに根気のいる作業を何年にもわたって続けたのです。偉いですよね。木の年輪と同じものを垂直の土の縞で明らかにしたというのです。しかも7万年分も・・・。その多大なご苦労に対して心からなる拍手を贈ります。
(2015年9月刊。1200円+税)

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