(霧山昴)
著者 佐藤 勝彦 、 出版 角川新書
宇宙の年齢は少し前まで137億年とされていたのが人工衛星による観測が飛躍的に進歩した結果、1億年のびて138億年となった。うひゃあ、知りませんでした。人間はわずか100年という一生ですから、1億年のびたといっても、まるで実感が湧きませんよね…。前の本のタイトルには、たしかに「宇宙137億年の歴史」となっていました。
著者とはまったく面識ありませんが、著者の弟は東大で同学年で、駒場寮では同じサークル(部室)でしたから、よく知っています。顔つきはそっくりです。やはり兄弟ですね。
宇宙の真空には何もないかというと、そうではなく、正体不明のエネルギーを隠し持っている。宇宙全体のエネルギーの7割を占めている。すべての約73%を占めている。そこでは素粒子が沸き立っていて、素粒子が生まれては消えている。真空は「絶対的無」というものではない。
宇宙誕生から1万分の1秒後はばらばらなクォークたちが2〜3個の単位でくっつき始める。宇宙が誕生して3分後、急激な膨張によって宇宙内部の温度は10億度にまで下がり、陽子と中性子が集まって、水素などの軽い原子核をつくり始める。
宇宙が誕生して38万年後、それまで散乱していた光が進みはじめる。そして、原子核と電子から成る原子がつくりあげられた。
2億年後、核融合によって輝く、最初の星が誕生する。
人類は、宇宙という巨大な生態系の中で、星くずを原料として生まれた。
宇宙は、まるで蜂の巣のような分布をしていて、蜂の巣の縁にあたるところに銀河が集中していて、真ん中の穴にあたる部分には銀河はほとんど存在しない。
人間の身体は、おもに炭素化合物からできている。骨にはカルシウムやカリウム、血液中には鉄分が含まれている。これらの元素のほとんどは超新星爆発によってつくられ、あるいは、星のなかでの核融合反応によってつくられ、爆発時に放出されたもの。
強い力は、電磁気力よりも1桁から2桁強く、重力は磁気力よりも40桁も弱い。ミクロな世界ではなく宇宙レベルになると、支配的なのは4番目の動力(重力)が効いている。というのは、強い力や弱い力は、力の届く範囲が極端に短いため。電磁気力は遠くまで届くけれど、宇宙全体で見ると、ほぼ同数なので、打ち消しあってしまう。引きあう力である、重力だけが宇宙の主役になる。強い力は、原子核の内部の力。
太陽のエネルギーは、核の反応(核融合)がその源。世界のエネルギーのほとんどは、この「強い力」がもとになっている。
今ある物質の世界は、ビッグバンに先立つ宇宙創生の瞬間に存在した、ほんのちょっとした「対称性の破れ」から生まれた。もし、宇宙が完全な対称性をもっていたら、物質とその鏡像の性質をもつ反物質は同量だけ生まれて、すべてが打ち消しあって光だけが残ったはず。しかし、この微妙な対称性の破れのおかげで、物質だけがわずかに生き残り、星や銀河そして人間が存在する。
宇宙が誕生した真空のエネルギーは、体積が100倍、1000倍になろうが、エネルギー密度としては一定。ほとんど無に近いようなごくわずかの真空のエネルギーさえあれば、それを巨大な宇宙のエネルギーの源にすることも可能になる。
なぜ宇宙の空間の形は、138億年たった現在も、限りなく平坦な状態を保ち続けているのか…。これを平坦性問題と呼ぶ。この平坦性問題がインフレーション宇宙論で解決できるのは、宇宙が急激に膨張するから。
素粒子の一つである光子は質量がゼロなので、秒速30万キロの光速で飛べる。ところが、電子やアップ・クォーク、W粒子など、ほとんどの素粒子は光速では進めない。質量をもっているからだ。
分からないなりに、なんとか宇宙の成り立ちを知りたくて読みすすめました。
(2026年6月刊。1320円)


