弁護士会の読書
※本欄の記述はあくまで会員の個人的意見です。
2025年7月19日
中国手仕事紀行
中国
(霧山昴)
著者 奥村 忍 、 出版 青幻舎
中国各地に行って民芸品を買い付け、日本で売るのを仕事をしている著者が、中国での買い付けに至る状況をルポしています。30年以上も中国に渡って、民芸品を買い付けているのです。すごいですね。各地の言葉を話せるのでしょうか...。
どの町にも路地裏があり、そこにはおだやかな暮らしの時間がある。この本で見られる写真は、その光景をまざまざと伝えてくれています。
この本では、中国のなかでも秘境・絶景と呼ばれる場所がそこかしこにある雲南省、そして最貧の省とも呼ばれ、独自の文化を今なお残す貴州省の2省が紹介されています。
土地を歩き回りながら、五感で感じとる。たくさんの刺激をかつて手仕事を探して旅をした先人たちも感じてきたのだろう。
雲南省は中国も南の方に位置する。南の低地はプーアル茶の産地として知られる。雲南省には25の少数民族の居住区がある(全国で55の少数民族がいる)。
省都の昆明は日本読みで「コンメイ」、現地読みは「クンミン」。
雲南省には、銅鍋がある。たとえば、ごはん鍋。
プーアル茶は、生茶と熟茶の二つに大別される。生茶は本来のお茶。熟茶は、最近つくられるようになったお茶。日本で飲むのは、大量生産しやすい熟茶。
雲南省のタイ族やシャン族には入れ墨の文化があり、蛇、虎、龍といった信仰のモチーフを彫り込む。
雲南省の人は麺をよく食べる。それも米でつくった麺が主流。
チベット族の人々は、チベット自治区だけでなく、雲南省、四川省、青海省と、かなり広い範囲に及んでいる。
ヤク肉は普通に煮ると硬くて食べられたものじゃない。一度冷凍して細胞を壊して柔らかくするのがポイント。
昆明には世界最大と言われる野生菌市場があり、24時間、絶えずどこからかキノコが届き、またそれを求める人たちでにぎわっている。シロアリの巣の上に生えてくるキノコがあり、とにかく食感が良い。まあ、私はあまり食べようという気になりませんでした。
貴州省には、太陽が貴重なので貴陽という名前がついた町がある。
「天に三日の晴れなし、地に三里の平地なし、民に三分の銀もなし」と言われるほど、曇りと雨が多い。
中国映画『山の郵便配達』は、私も観ましたが、映画に出てくる風景がここかしこに見られるところがあるそうです。
トン族伝統の食材はウシやヤギの胃の消化液から成る。草を食べる動物の胃の消化液なので草が溶けたドロドロの汁。苦くて変わった味だけど、食べ慣れると、クセになる味。
貴州省では、闘鳥が盛ん。鳥かごで小鳥を飼うが、そのエサでありこおろぎを入れておくために古くから使われているのが、こおろぎかご。竹細工の工芸品。ベトナムでは、まるまると太ったこおろぎの唐揚げは、レモングラスと一緒に食べると、最高にうまい。ところが貴州省は虫食は盛んなのに、なぜかこおろぎは食べない。
貴州省のたれは独特。ドクダミの根と焦がし唐辛子が入っているのがスタンダード。クセの強い香りに驚くが、慣れてしまうと、これ抜きでは物足りなさを感じるようになる。
中国の最奥地まで足をのばして民芸品を買い付けているわけです。たいした度胸がありますよね...。
(2025年1月刊。2700円+税)
「日本人ファースト」を掲げる参政党は外国人排斥です。外国人の犯罪が増えているというのですが、私たちは、アメリカの軍人がとりわけ沖縄で重大犯罪(強姦殺人など)をしても、実は多くの事件で冤罪されている現実があります。さっさとアメリカに帰ってしまうのです。そして、民事賠償責任を負っても本人は負担せず、日本政府が肩代わり負担している現実もあります。そもそもアメリカの軍人や政府要人は横田基地から入国して、入管のチェックを受けていないのです。信じられない現実です。
外国人の犯罪を問題にするのなら、まずはアメリカ軍人の犯罪が沖縄で繰り返されていること、そしてそれは、あたかも治外法権のようになっているアメリカ軍基地があるからだという現実を直視すべきだと思います。そもそも日本にアメリカ軍の基地は必要なのですか?アメリカ軍の基地と軍人の維持のための「思いやり予算」って、全廃していいのではありませんか?日本の国の根本に関わることは問題とせず、身近な人を敵視するような参政党はまったく信用できません。