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カテゴリー: 生物

小さき生物たちの大いなる新技術

カテゴリー:生物

著者  今泉 忠明 、 出版  ベスト新書
 バイオテクノロジー(生物工学)というのは、よく聞かれる言葉ですが、バイオミミクリー(生物模倣)という言葉は聞いたことがありませんでした。自然をよく観察してヒントを得て、その優れた点を真似することで効率のいい進んだ技術を生み出すというものです。
 新幹線の先頭車両の形状は、カワセミのくちばしから頭部にかけての形状に似せている。
 フクロウが音を立てずに飛ぶことのできる秘密は風切羽にある。端が綿毛のようにほつれているため、翼を羽ばたいて飛ぶときにも音がほとんど出ない。そこで、新幹線のパンタグラフの支持装置に風切羽をまねたギザギザを付け、30%の騒音削減に成功した。
 フンコロガシは、糞球の頂上にのぼって「ダンス」をすることによって、どの方向から光が来ているのかを認識して自分の進むべき方向を定めている。
 暗い夜には、脳は小さく、視力の弱いフンコロガシは、天の河の星々の光を頼りにまっすぐに糞をころがして進んでいく。これが、自動車の夜間運転支援システムのヒントになった。赤外線カメラでとらえた映像をディスプレイに表示し、夜間の視界を拡大することによって安全走行に寄与しようというもの。
 カメレオンの体色が代わるのは、皮膚細胞に白・赤・青・黄・黒の粒があり、紫外線を浴びると、その粒の大きさに変化が生じて、体色が変化する。
 温度によって光る色が変わる染料を開発した北大チームは、紫外線をあてると光る希土類(レアアース)に着目した。温度によって色が変わる「カメレオン発光体」は、宇宙船の開発に大いに役立っている。この塗料を機体表面に塗って、その色の変化によって温度を正確に検知できるというわけである。
 ガラガラヘビは、ピット器官における温度センサーが、0.002度の変化を感じるほど敏感なため、狙った動物の体温によって捕まえることができる。この熱追尾装置が追突空ミサイル「サイドワインダー」に応用されている。
 クモの糸を鳥もちの代用品として使うのが紹介されていますが、私も実際、鳥もちの代わりにクモの糸を二又の枝先にからませて、子どものころセミを捕まえていました。
 クモの糸(縦糸)は、同じ重量で比べたら、鋼鉄の5倍もの強度をもつ。人間の毛髪の10分の1の太さしかないのに、時速30キロをこえる速さでハチが飛んできても破れることなく捕まえる強度がある。
 ヤモリが窓ガラスに張り付いているのは、ヤモリの足の裏の微細な毛の先端と壁面の凹凸が分子レベルで吸い付いて、粘着力が生まれるから。
 カタツムリの殻がいつも汚れずにきれいなのは、その殻にとても細かいミクロの「溝」が刻まれているから。その溝に水が入り込んで、殻の表面にごく薄い水の膜が張られている。汚水は、殻の本体には付着せず、水にくっついているから、簡単に流れ落ちる。
 そこで、空気中の水分になじみやすい外壁タイルを開発し、雨が降ったら自動的に汚れが落ちる外壁システム「ナノ親水」をつくった。
 知らないことがたくさんあり、生物の隠れた能力を人間が少しずつ生かしていることも教えられました。生物の多様性を尊重したくなる本でもあります。
 ということは、自然をむやみに破壊してはいけないということです。大型公共工事、辺野古の埋め立てなんて、とんでもありませんよね。
(2014年2月刊。819円+税)

生命の惑星・青島

カテゴリー:生物

著者  芥川 仁 、 出版  鉱脈社
 8月の初めに久しぶりに宮崎の青島に行ってきました。ところが、あいにくの大雨で、飛行機すら引き返すかもしれないという事前アナウンスが流れる始末でした。少しばかり揺れたものの、宮崎には無事に到着しました。しかし、青島のホテルについても、雨はやむことなく、せっかくデジカメを持参していったのですが、あえなく断念してしまいました。
 そんな悔しい思いを吐露していたところ、先輩の成見弁護士夫妻から送られてきたのが、この写真集です。
 宮崎日日新聞の文化欄に連載された写真と文章を本にまとめたものです。さすがに20年以上も宮崎に住んでいる写真家によるものですので、写真の質が違います。
 青島にすみつく小動物、そして植生が生き生きと紹介されています。写真の説明がまた克明です。青島が隅々まで手にとるように分かります。
 私の中学校の修学旅行先の一つが宮崎・青島でした。かつては、日本中の新婚旅行客があこがれ、集中していた、宮崎・青島は、今では見る影もなく衰退しています。それでも、気候温暖な宮崎、そして風土豊かな青島の魅力をたっぷり楽しめる写真集です。
 成見正毅・幸子の両先生、ありがとうございました。
(2014年5月刊。760円+税)

象にささやく男

カテゴリー:生物

著者  ローレンス・アンソニー 、 出版  築地書館
 アフリカで野生のゾウの保護のために奮闘した男性の話です。
 残念なことに、1950年生まれの著者は、2012年に心臓発作のために亡くなっています。
 そのとき、ゾウたちが長い道のりを後進して、「弔問」にやって来たそうです。ゾウは超能力をもっているのです。
アフリカ象は40万頭から65万頭ほど。ところが、2011年だけで2万5000頭が殺された。象牙のために密漁団が暗躍している。日本も印鑑のために、その象牙の密輸入国です。
 オスのゾウはメスよりも人間に近づかれても平気だ。その理由は簡単。大きなオスは、自分を守る能力に大変自信をもっているから、人間が近づいても、その分、大丈夫なのだ。ゾウが小さくなればなるほど、自信がなくなるので、より大きな空間を要求する。ゾウは、自分のことを皇帝のように偉い存在だと思っている。
 野生のゾウとつきあいたいのなら、こちらから近づいていってはならない。ゾウのほうから近づいて来るのを待つべきだ。ゾウが近づいてこないのなら、あきらめるしかない。
 ゾウにとっての不変の原則は、すべての生き物は、自分たちに譲るべきだということ。
 アフリカの野生の生き物は、最初はぐらつくにしても、生後すぐに歩き始める。地面に赤ん坊が横たわっているのでは、どうぞ召し上がってくださいとお願いしているようなもの。捕食動物の格好のおやつになってしまう。身体の大きいゾウにしても、生まれたら、出来るだけ早くその場をあとにする。胎盤の臭いで、肉食動物が集まってくるから。
 ゾウの仲間(家族)が死ぬと、ゾウたちが周囲をぐるりと取り囲む。そして、遺骨になってしまったあとも、近くを通りかかると歩みを止め、臭いをかぎながらその骨を突っつきまわし、おもちゃのようにして戯れる。それは、ゾウの亡き者を偲ぶ一つに儀式だった。
ゾウは、地球上で唯一、飛び跳ねることのできない動物である。だから、飛びおりることもできない。
 ゾウは人間の可聴周波数帯よりはるかに低いゴロゴロという音を胃のあたりで発し、数キロ離れた先からもそれを聞きとることができる。
 ゾウは金属の肌触りが好きらしく、放っておくと、何時間も自動車の車体に触り続けている。エンジンの発する熱も大好きで、とくに寒いときがそうだが、鼻をボンネットの上に長いことくっつけたままにしている。
 ゾウは、人間のゆっくりした落ち着いた動きを好む。人間が近づくときには、わざとらしく草を手で折ったり、止まって木の様を調べたりして、時間をかせぎながら、ゆっくり近づいていく。すると、鼻が伸びてきて、人間の身体に優しく触れる。
 ゾウと心を通わせるまでの苦労、そして、ゾウたちの集団との関わりが、てらいなく紹介されています。仔ゾウに、一度は触ってみたいものだと思いました。
ゾウの賢さを改めて認識させられる本でもあります。
(2014年2月刊。2600円+税)

「毎日パンダ」

カテゴリー:生物

著者  高氏 貴博 、 出版  平凡社
 いま、私のブログでも和歌山・白浜のパンダを連続して紹介しています。
 パンダって、本当に不思議な生き物ですよね。熊なのに、竹を主食とするなんて・・・。そして、黒と白のツートンカラーで、白い顔に黒いフチ取りの大きな目。とても愛らしくて、ついなでなでしたくなります。でも、子どもパンダはともかくとして、大人パンダだと、飼育員も同室にいるのは危険なので禁じられているそうです。
 白浜では、1時間ほどじっくりパンダを観察させてもらいました。
 小さな池に半身つかって眠りこけているパンダ。岩にもたれかかって爆睡中のパンダ。そして、やおら動きまわったかと思うと、青竹をバリバリとかみくだいて食べるパンダ。
青竹なんて、美味しいとも思えないのに、ひたすら食べるパンダの姿を見て、とてもクマの仲間だとは思えませんでした。
 初めてパンダを見た都会人は、なかに人間が入っているとばかり思ったとのこと。さもありなんですね・・・。
 この本は、なんと、上野動物園に毎日通っているという、物好きなおじさんのとったパンダの写真集です。
 パンダって、眠りながらもいろんなポーズをするのですね。それがまた、面白いのです。
通いはじめのうちは、二等のパンダの見分けがつかなかったのが、次第に即座にオスのリーリートメスのシンシンを見分けることができるようになったのでした。といっても、両者を並べてくれないと、ちょっと見分けるなんて、できませんね。
 動物園生活のパンダをいじめに来るのがカラスだというのを知り、なるほど、と思いました。パンダの背中の毛を抜いて巣材にしたりするのです。
 パンダの肩にとまったり、カラスは遊びたい放題。それでもパンダは相手にしません。別に殺し合いに発展するわけではありませんから、いいか・・・。
 パンダは、大胆のように見えて、実はとてもデリケートな動物だ。といっても、人がたくさんいても、あまり気にすることはない。
「毎日パンダ」はブログでも見られるとのことで、私も眺めてみました。
 著者は、よほどヒマな年寄りかと思うと、仕事で忙しいとのこと。青年というより壮年のようです。それでも、3時間の行列に並んでまでパンダの写真を毎日とるなんて、見上げた根性をしていますね。この著者は・・・。
(2013年6月刊。1100円+税)

オオカミ

カテゴリー:生物

著者  ギャリー・マーヴィン 、 出版  白水社
 日本は西欧諸国に比較すると、オオカミへの親和性の高い国だということです。
 なるほど、そうかもしれません。日本のオオカミはとっくに絶滅してしまっていますし・・・。
 オオカミは、1日あたり、3.3キロの肉を必要とする。獲物があるとき、食べられるだけ食べておく。獲物が大きいときは、大量に食べる。オオカミの成獣の胃の容量は7~9キロで、大きな獲物を食べるときには、体重の25%も詰め込む。
 オオカミの群れは、平均して3~11頭のあいだ。みな、夫婦と兄弟姉妹だ。
 仔オオカミは、1年から3年のあいだ、何をするにも両親と一緒に過ごす。
典型的な巣穴は、体高よりも広い入り口と、長さ4メートルにも及ぶトンネル。入り口は水が侵入しないように上向きのことが多い。
 繁殖するのは両親だけで、最初の年に育てた仔が、新たに生まれた仔オオカミをさまざまな方法で世話する。
仔オオカミは成獣のオオカミに遊んでもらい、その鼻面をなめて餌をせがむ。
 オオカミの遠吠えは、オオカミ自身にとって大事なことを伝えあうためのもの。たとえば、競合関係にある群れ同志が互いに遭遇してしまうのを避けるための仕組みになっている。
 群れのメンバーは、個体それぞれの感情の状態や物理的な存在を他の個体に伝える複雑なシグナルを通じて、また他の個体からの合図に対する自身の応答を通じて、その社会生活を営んでいる。
 ヒトラーは、個体的にも軍事的にも、オオカミを思わせる用語で、自らを包んでいた。自分の名前が古ドイツ語で「高貴なオオカミ」を表すコトバに語源があることを誇りに思っていた。
 ヒトラーは、お気に入りのジャーマンシェパード犬のブロンティの仔犬の一匹をヴォルフと名付けた。それは、彼が触れることを許した唯一の生き物だった。
 1930年代から、狼などの補食動物を殺戮することに疑問を感じる人々があらわれた。
 自然のバランスという視点で物事をとらえる発想が生まれた。オオカミは貴重であるだけでなく、捕食を通じて野生の草食獣の群れが健全に生存していく能力を維持するのに欠かせない役割すら演じる存在だと理解されるようになった。
 アメリカでもオオカミをよみがえらせる取り組みがすすんでいる。
日本では、もう無理なのでしょうか・・・。オオカミを見直すことも必要だと思ったことでした。
(2014年5月刊。2500円+税)

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