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放射線物質汚染廃棄物問題とは何か

(霧山昴)

著者 鴫原 敦子 、 出版 みやぎ震災復興センター

 2011年3月の東日本大震災から、もう15年もたってしまいました。でも、福島原発(フクイチ)の処理はまったく進んでいません。なにしろ、原発建屋内のデブリは何百トンもあるのに、15年たって1グラムも取り出せていないのです。そして、もしデブリという強烈な放射性物質を取り出すことが出来たとし、それをいったい、そこでどうやって「処理」するというのでしょうか……。まったく見通しがありません。

それなのに、高市政権は「原発再活用」を打ち出しています。「臭い物にフタ」どころではありません。「臭い物」どころか、人類の手に負えないものを日本全国にまき散らそうとしているのです。

福島では、牧草も稲わらから放射性物質が検出されました。肥育牛も出荷停止です。

福島第一原発周辺の広大な森林が放射性物質の拡散によって汚染されたため、木材を燃やすと、灰に放射性物質が濃縮されてしまいます。

放射性物質の半減期は放射性核種によって異なります。ヨウ素は80日ですが、セシウムは2年、セシウム137に至っては30年です。

3.11原発事故当時、日本の法律では、放射性物質が環境中に放出されるなんて想定されていなかったため、原発事故によって生じた汚染廃棄物をどのように取り扱うのかを定める法律も存在していなかった(「法の空白状態」があった)。そこで、特措法が制定された。

その施行規則は、指定基準を8千ベクレル/kgとした。これは脱水汚泥や焼却灰の処分に際し、管理型最終処分場で埋立可能な放射性物質の濃度の規制値。そして、その指定基準の汚染廃棄物は自治体で処理することになった。

宮城県では指定廃棄物の保有量は3,381.5トン。その3分の2を農林学系の廃棄物が占めた。宮城県は、通常の一般ごみとの「混焼」とし、生じた焼却灰は管理型最終処分場に埋立することにした。そのほかには、堆肥化やすき込みもある。

住民は焼却処理に反対し公害差し止め裁判を起こした(大崎住民訴訟)。しかし、最高裁まで行ったものの、住民側は敗訴した。

焼却灰を埋立する管理型最終処分場の遮水シートの耐用年数は15年。とても放射性物質を閉じ込めておくことは不可能。

また、バグフィルターで99.9%の放射性セシウムが除去できると環境省は説明するが、その科学的根拠は怪しく、信用できない。何より、放射線への感受性の高い子どもとその内部被ばくがまったく考慮されていない。

ところで、宮城県は汚染廃棄物の「県外焼却」を進めているが、その「県外」地域を明らかにしていない。「風評被害」を恐れてのことと説明している。しかし、住民の健康影響への心配を「風評被害」として無視するなんて許されていいはずはありません。

そもそも原発は、たとえ3.11のような事故を起こさないとしても、高レベルの放射性廃棄物は10万年にもおよぶ管理(地震王国の)を必要とするものです。しかし、日本列島のどこにも「10万年」も安心に管理できる地域があるはずもありません。原発は人類と共存できない悪魔の「兵器」でしかないのです。

アメリカで、トランプ大統領は、最悪の原発事故を起こしたスリーマイル原発を再稼働させると言っているそうです。これもまた、とんでもないことです。仙台で開かれた日弁連人権擁護大会でしっかり勉強してきました。

(2026年5月刊。660円)

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