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見えない恐怖におびえるアメリカ人

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著者:矢部 武、出版社:PHP研究所
 アメリカこそ全世界にテロの恐怖を輸出しているならず者国家の典型だ。私は、そう考えています。そのアメリカ国内で何が進行しているのかを暴いた本です。
 全米で離婚に率の高い州はブッシュ大統領が勝利した州が占める。アーカンソー、ミシシッピー、ケンタッキーなど。もっとも離婚率の低いのはケリー候補の地元のマサチューセッツ州。
 ブッシュ大統領は福音主義者であるが、福音主義者が多い州では、プロテスタントの個人主義的な信仰が人々に、“我が道を行く”的な生き方を奨励し、また、結婚前の性的関係を禁止する禁欲主義の風潮が強い。もし家族などに結婚前の性的関係を慎むように強く言われ、それに従って結婚したカップルは離婚する可能性が高い。福音主義者の方が、それ以外のキリスト教徒よりも離婚しやすい。うーん、なんだか常識に反する気もしますが、抑えつけすぎると必ず反動があるということなんでしょうね。
 アメリカでは成人の64%が太り過ぎ、31%が肥満だ。そこで、最後の手段として、胃を小さくするバイパス手術を受ける人が増えている。これは、患者の胃の最上部5センチぐらいのたるみ部分(小袋のような)と小腸をつなぐ手術だ。こうすると、食べたものは胃の大きな部分ではなく、小さなたるみ部分を通って小腸へ送られる。ここで持ちこたえられるのは、わずか60グラムぐらいなので、少量しか食べられず、だんだんやせていく。問題なのは、この手術には大きなリスクが伴うということです。もっとも深刻なのは、胃と小腸をつないだ部分が破れて、食べたものが体内に漏れ、感染症など、合併症をおこすこと。手術後、2ヶ月以内に20人に1人の割合で深刻な合併症をおこし、患者の50人に1人から200人に1人の割合で死亡している。ところが、胃バイパス手術を受けた人は2005年には17万人に達する見こみだ。
 実は、私も中年太りに悩んでいます。鏡に自分の裸身をうつすたびに、小腹の出ているのが、わが身体ながら嫌になってしまいます。若いころはスリムなボデーを誇っていたのですが・・・。それでも、ダイエットは今でも続けているのですよ。朝はニンジン・リンゴのジュースと青汁としょうが紅茶のみです。そのあと昼12時までは一切何も口にしません。胃腸を休めるのです。
 驚いたことに、アメリカではペニス拡大手術が流行しています。信じられません。
 アメリカでは、女らしさの象徴は性器のほかに胸、かわいい顔があるが、男性はペニスだけという考え方が強い。男のパワーの象徴としてのペニスへの異常なほどのこだわりがある。問題は実物のサイズではなく、精神的な不安、恐れなのである。死人の皮膚をつかって、ペニスを拡大させる。料金は6000〜7000ドル。高度なものだと1万4000ドルもする。これには驚きました。なんとも言いようがありません。
 さらに、男性がシリコン筋内豊胸手術を受けているというのです。なんということでしょうか・・・。
 アメリカには2億数千万丁の銃が氾濫しているため、その銃によって年間3万人の生命が奪われているのです。
 この本の最終章のタイトルは、日本はいつまでアメリカに盲従するのか、というものです。ホントにそうですよね。日本の景気がちっとも良くならないというのに、グアムにアメリカ軍が移転する費用の大半(なんと9,000億円にものぼるのですよ)は日本が負担してあげるというんですから、そのバカバカしさには、開いた口がふさがりません。
 私は昔からヤンキーゴーホームでしたが、いま一度ここで叫びたい気がします。といっても、ここでいうヤンキーとはアメリカ軍人のことです。念のため・・・。

なぜ、いま代用監獄か

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著者:小池振一郎、出版社:岩波ブックレット
 著者はテレビのワイドショーのコメンテーターに長く出演していました。「ワイドショーに弁護士が出演する理由」(平凡社新書)と言う本があります。司法試験の受験勉強を一緒にした仲間です。コメンテーターとして一言いうのもなかなか難しいと語っていました。ときの政府をあまりコテンパンにやっつけてしまうと、次から座敷がかかってこないというのです。さしずめ、今だったら小泉首相を弱者いじめの極悪人だと決めつけるような言い方をすると、次には間違いなくお呼びはかからなくなるのでしょうね。
 著者は世界の刑事拘禁施設について調べています。日本の留置場がどんなに警察にとって都合のよいものか、取調べの便宜のために正義が犠牲にされていることを強調しています。私も、自白している被疑者が面倒みてもらっていることを何回となく体験しました。否認している被疑者とは雲泥の差があります。
 たとえば、煙草、そして差し入れの食事です。これまで愛人と面会でき、しかも、密室になることが許されたケースも報告されています。その面会のときの写真まであるというのですから、信じられません。
 オウム事件の主任弁護人だった安田好弘弁護士は10ヶ月近くも拘置所に勾留されてしまいました。安田弁護士のこの逮捕は、まさに不当逮捕の典型だと思いますが、体験談のなかに次のようなくだりがあり、驚きました。
 留置場ではもちろん、拘置所の中にあってもフセンを使うこともできない。カラーマーカーもない。ホチキスもない。えーっ、本当でしょうか・・・。私は、記録を読むとき、カラーマーカーをつかいながら、いくつもの色のフセンをつけていくようにしています。後で読み返すときの便宜のためです。もし、こんな制限が本当にあるのなら、まったくもって不当な制限だと思います。
 警察の留置場の規則は厳しい。しかし、これは破られている。消灯時間の夜9時までに房に戻しておくことになっている。ところが、取調べのために、消灯時間を2時間も過ぎた夜11時に戻すことがある。それでも、その時間は夜9時に戻ったことになっている。被疑者は時計をもたされていないし、留置場や取調室には時計はない。だから、被疑者が何時まで取り調べられたか客観的には分からない。うーん、そうなんですね・・・。
 警察の留置場に被疑者がいる限り、取調べ官の便宜が最優先してしまうのはあたりまえのことです。ここは、どうしても留置場とは別の拘留場所を確保すべきなのです。
 わずか63頁の薄いパンフレットですが、今まさに時宜にかなった内容になっています。

地球遺産、巨樹バオバブ

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著者:吉田 繁、出版社:講談社
 バオバブの見事な写真集です。一度はホンモノを見てみたいと思うのですが・・・。
 この4月から、NHKラジオのフランス語講座の応用編は有名な「星の王子さま」です。そのなかにバオバブが星を食べつくすという話が出てきます。もちろん、そんなことはありません。それどころか、バオバブは人間にとって大変役に立つ木なのです。
 樹皮はロープやカゴに、花や葉は食料に、種子は食用油に。樹皮は薬としても優秀で、マラリアや下痢止め、解毒、腰痛などに、葉はぜん息、利尿剤、結膜炎、根はマラリアや強壮剤に、果肉は火傷や結核、果皮は傷、手指は虫歯、はしか、胃炎、バオバブはほとんど万能薬。葉は食用にもなる。若葉は少し粘り気のあるオクラのよう。バオバブの果肉は子どものおやつ。少し酸っぱいサツマイモのような味がする。果肉をとったあとの実の外側も容器として使う。これでビールを飲むと美味しい。そうなんですか・・・。ちっとも知りませんでした。
 マダガスカルの人口は、30年前に600万人だったのが、今や1800万人。お米を主食としているので、水田をつくる。この水田開発のおかげで、バオバブの巨木がバタバタと倒れはじめている。いやー、困ったものですね・・・。
 バオバブの木は神さまが逆さまに植えた木とも言われている。内部の木材繊維が極端にやわらかい。桐の木は軽いと言われているが0.28gの比重に対して、バオバブは  0.15しかない。四季がないため、内部に年輪がなく、スポンジのような幹のなかにたくさんの水分をためている。ちょっとした水がめのような構造なのだ。そのかわり、樹皮がすごく発達していて、大木では15センチにもなっている。根も肥大化している。根にも貯水できるようにするため、葉の数を減らすので、あんな格好になっている。
 葉が少ないので、光合成は、樹皮の下を葉緑素で緑色にして解決している。いわば、サングラスをかけて効率的に光合成をしている。
 ゾウがバオバブの樹皮を、マントヒヒが実を食べている。幹の洞にはコウモリ、根元にはヘビが棲んでいる。ゾウはバオバブの内部を食べて、乾期のときの水分補給をしている。だから、バオバブの天敵は、ゾウとカミナリだ。
 バオバブの木は1000年以上は生きるとみられています。
 マダガスカルもアフリカも行けそうもありません。せめて、オーストラリアに行ってみてみたいと思っています。幹回りが45メートルとか、54メートルなんて、その大きさは、とても信じられません。でも、なんとなく見ただけで、なつかしさを覚える木ですよね。ところで、バオバブの木って分かりますよね。ほら、航空会社の大きなポスターにうつっている太った木があるじゃないですか、あの木のことですよ。

チャター

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著者:パトリック・ラーデン・キーフ、出版社:NHK出版
 チャターとは、もともとは罪のないおしゃべりという意味の単語だった。
 チャターを監視するアメリカの機関はいくつかある。CIAの職員は2万人、年間の予算は30億ドル。NSAは6万人の職員を擁し、年間60億ドルをつかっている。
 アメリカが世界に放っているスパイは5000人以下。しかし、盗聴に関わっているのは3万人。CIAには4000人の職員がいて、海外で活動している工作員は1500人。NSAは数万人の盗聴要員をもっている。
 短波無線は簡単に傍受できる。NSAは実際、さまざまな規模の無線傍受基地を世界各地にもっている。ハワイ、アラスカ、カリフォルニア、日本、グアム、フィリピンに。
 コンピューターのキーボードのキーの間に、極小のマイクロフォンを潜ませておき、キーを叩く際の音を特別集合サービスで録音し、各キーの打鍵の際に起きる音の波形から、タイプされたメッセージを復元する。うへーっ、こんなこともできるんだー・・・。おどろきました。
 アメリカは100基ほどの偵察衛星を打ち上げている。過去40年間に、アメリカは 2000億ドルを偵察衛星に費やしてきた。
 1990年代初めに多くの国が光ファイバーへ移行するにつれて、NSAは42あった無線傍受基地のうち20を縮小・廃止した。しかし、光ファイバーが傍受不可能というのは言いすぎ。アメリカはUSSシーウルフという攻撃型原潜を改造して、海底での光ファイバー盗聴工作ができるようにした。そのため6億ドルの予算をつかった。このように光ファイバーの技術は、いったんは盗聴を困難にしたが、NSAや他のUK・USA諸国の機関が巨額の予算をつかって研究して、それを克服しつつある。
 今や、中東の人々は電話ではすべてを語らなくなった。大事なことは、会って話す。ビンラディンは、一切電話をつかうのをやめた。頭上の写真撮影衛星に察知されるのを恐れ、疑念をもたれるような車輌の隊列を組んで移動するのもやめた。洞窟や安全な家屋から外出しなくてはいけないときには、必ず徒歩でいく。ビンラディンは、あらゆる電気的な通信を絶ち、何ものにも接続していないことが自分の身を隠すための次善の策だということに気がついた。
 エシュロン基地は1時間に200万件の通信を傍受し、そのなかから4件についてレポートを書く。30分おきに、ある基地が100万件の盗聴をしたとして、電子フィルターで識別されるのは6500件。そのうち1000件を残して、あとは捨てられる。この 1000件がもう少し詳しく検討され、そのうち10件に絞って、最終的には1件となる。
 1994年にスリー・ストライク法がカリフォルニア州で成立してから、刑務所人口は25%増加した。受刑者の4人に1人、4万2000人がこの法によって終身刑を科されている。過去10年間にこの法律にもとづく受刑者の増加分として、80億ドルのコストがかさんでいる。そのうちの50億ドルのコストは、3回目の犯罪は凶悪犯ではない。 2003年までに、400ドル相当以下の窃盗によって25年から終身刑となっている受刑者がカリフォルニアには344人いる。ええっ、ウッソー。思わず叫んでしまいました。 スリー・ストライク法は、やはり悪法としか言いようがありませんね。

クルクス大戦車戦

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著者:デイヴィッド・L・ロビンズ、出版社:新潮文庫
 第二次世界大戦最大の戦車戦がくりひろげられたクルクスの戦いを、ソ連とナチドイツの両方の将兵の動きを通して明らかにした小説です。
 第二次世界大戦の最優秀戦車との呼び声も高いTー34戦車をあやつるソ連の戦車兵親子が、強力無比の88ミリ砲と貫通不能の装甲をもつドイツの無敵ティーガー戦車に戦いを挑むのです。
 クルクスの戦いは1943年7月、ソ連中央部でくりひろげられた。同年2月のスターリングラードの敗北後、ドイツ軍は攻勢に転じたソ連軍に押し返され、ウクライナの重要な工業都市ハリコフを失ってしまう。しかし、マンシュタイン元帥はハリコフを奪還し、ドイツ軍は東武戦線の崩壊をまぬかれた。このソ連軍の攻勢とドイツ軍の反攻の結果、ハリコフ北方の戦線が一部、ドイツ軍側に突出して残された。そこでヒットラーはクルクス突出部を包囲殲滅する攻勢をかけた。これがツィタデレ作戦である。しかし、この作戦はソ連軍に読まれていた。「ルーシー」と呼ばれるスパイ組織によってドイツ軍の糸はソ連上層部に筒抜けになっていた。
 ドイツ軍は戦域をヨーロッパ中に拡大していたため、ソ連軍に対して戦車の数ではかなりの劣勢にあった。ヒトラーは、戦車の数的劣勢を質でおぎなうべく、新型のティーガー戦車とパンター戦車という高性能戦車に大いに期待し、この新型戦車がそろうまで作戦の実施を遅らせた。しかし、この延期策はソ連軍の防御を固め、さらに戦車の生産に拍車をかけることができた。
 ドイツ軍は3号戦車、4号戦車、5号戦車パンター、6号戦車ティーガーの混成部隊。こんなにたくさんの種類の戦車にどうやって予備部品を供給できるというのか。キャタピラ、変速機、エンジン、車輪。これに対してソ連軍の戦車は一種類のみ。コンパクトで高速のTー34だけ。もしどこかが故障しても、部品はそこらじゅうにころがっている。そして、修理法はみんなが知っている。ぜんまい仕掛けのおもちゃと同じくらい単純だから。ソ連は1種類のTー34戦車だけを1ヶ月に何千輌もつくる。だが、ティーガー戦車を1車輌つくるのには、のべ30万時間以上もかかる。
 ティーガー戦車はヒトラーが88ミリ砲を所望した結果だ。この燃費は路上でリッター0.2マイル。不整地ではリッター0.1マイル。燃料搭載量は530リットル。戦闘状態で4、5時間は走れるが、それ以上ではない。
 強固な防御陣地を幾重にもはりめぐらせて待ち構えるソ連軍に対して、結集できるだけの機甲兵力をかき集めたドイツ軍が南北から猛攻撃を仕掛けてクルクスの戦いは始まった。プロホロスカで展開された独ソ両軍の激闘は、あわせて1500両もの戦車が入り乱れたものとなった。
 2週間にわたった戦いで、ソ連軍は当初の150万人の兵力から17万人の死傷者を出した。5000両の戦車のうちの3分の1を失った。75万人のドイツ軍は5万人を失い、3300両あった戦車のうち、少なくとも1000両を失った。
 アメリカ軍がイタリアのシシリー島へ上陸したことから、ドイツ軍の一部は転戦を命じられ、ツィタデレ作戦は失敗のうちに終了した。
 戦場では、スターリンのオルガンと恐れられるカチューシャ・ロケット弾の一斉射撃があった。カチューシャ・ロケット弾は乱打する心臓の速さで降りそそいだ。ドイツ兵たちは、ただその場で腹ばいになって耳をふさいだ。しかし、カチューシャは精密兵器ではない。大混乱と恐怖をまき散らすために考案されている。ただ、もちろん命中したものを破壊することはできる。ロケット弾は恐ろしいが、効果の方はそれほどでもない。
 私は小学生のころ、父に連れられて何回か戦争映画を見に行ったことがあります。ドイツ軍が砂漠でアメリカ軍と戦うシーンだったことを今でも覚えています。戦車の前には防御陣地は無力だと思い知らされる場面です。
 私の父は会社勤めしているところを応召し、中国大陸に2等兵として動員されました。幸か不幸か、戦場にしばらくいたものの、マラリアにかかって、傷病兵として台湾へ後送され、やがて内地に無事に帰還して召集解除となりました。
 戦争っちゃ、やっぱり、えすかった(怖かった)ばい。鉄砲の弾丸(たま)がびゅんびゅん飛んできて、まわりの兵隊にあたって次々に死んでいくんじゃけん。
 このように述懐していました。
 戦争で倒れた人々の気持ちを偲ぶことのできる小説でもありました。

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