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「レクサス」

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著者:チェスター・ドーソン、出版社:東洋経済新報社
 アメリカで売れていた最高級車レクサスを今年からトヨタは日本でも売りはじめた。なぜか・・・。
 レクサスはこれまでに世界中で200万台が売れた。レクサスが100万台売れるまでに10年以上かかった。しかし、200万台に達するまでには、それからわずか4年しかかからなかった。今後3年半で300万台に達する見込みだ。
 レクサスはアメリカでは売れているが、ヨーロッパではそれほどでもない。アメリカ人が快適さと信頼性を好むのに対して、ヨーロッパの人は車の操縦性・性能・伝統を重視するから。発展途上国でもレクサスは苦戦している。
 では、アメリカでレクサスはなぜ好調なのか・・・。アメリカでは金持ちはますます金持ちになりつつある。2001年、アメリカで年に10万ドル以上を稼ぐ世帯は人口の 13.8%を占めた。10年前の10%から増えている。
 レクサスのターゲットは、まさに、そのリッチ層なのである。レクサスの顧客の平均年収は25万ドル。ディーラーは、レクサスを1台売ると6000ドルの収入となる。
 高級車仕様の車をつくるため、トヨタのチームはロサンゼルス郊外の高級住宅地も訪問した。アメリカの大金持ちが尊ぶ美的感覚をつかみたかったのだ。アメリカでボボブと呼ばれているニューリッチ層をターゲットとした。
 日本でレクサスをトヨタが売りはじめたということは、日本もアメリカと同じように、金持ちと貧乏人との格差がますます増大していっていること、金持ち層はますます金持ちになっていることを意味します。
 しかし、それは同時に、アメリカを見たらよく分かるように(最近のロシアも同じようですが)、犯罪の多発、テロ攻撃など、社会不安もますます強くなることを意味します。本当に怖いことです。
 車の内装や音など、エンジンのほかにもさまざまに気をつかった。工場は自動化を重視しすぎないようにし、最後は人間が仕上げる。
 レクサスが日本車だと思われないような広告・宣伝も工夫した。その結果、レクサスの購入者の年齢中央値は52歳である。
 高級車の利幅は非常に大きく、一般的なコンパクト・セダンの2倍以上はある。トヨタの利益の70%はアメリカ市場からのもので、その4分の1がレクサスによる。それほどに高級車はもうかる。
 アメリカにベンツ・BMWなどの高級車と決してひけをとらない車としてレクサスをすごく苦労しながら売り出していく過程は感動的です。それでも、レクサスが売れる現象を決して手放しで礼賛するわけにはいきません。

日本がもしアメリカ51番目の州になったら

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著者:日米問題研究会、出版社:現代書林
 小泉首相は国連で安保常任理事国になろうと必死に努力していますが、なったところでどうせアメリカの票が増えるだけという冷ややかな見方が国際社会の常識になっています。私も、そう思いますが、本当に情けない話です。
 この本は、だったらいっそのことアメリカの51番目の州になった方が日本人は幸福になれるんじゃないのか、ひとつそれを検証してみようというものです。面白い試みです。
 アメリカの人口は2億8千万人。日本は1億2千万人。だから新合衆国の人口の3分の1を日系アメリカ人(日本人)が占めることになる。同じく世界のGDPの45%も新合衆国が占める。そして、新合衆国の下院議員の3分の1、223人の下院議員がニッポン州から生まれる。しかし、今後少なくとも35年間はニッポン人大統領はうまれないことになるだろう。
 問題は、そんなことより、普通の人々にとって、生活が暮らしやすくなるかどうかでしょう。そこを見てみましょう。
 アメリカには自治体のない地域に住む人々が1億人いる(全人口の38%)。アメリカには戸籍制度はないし、住民票もない。
 アメリカでは1973年に徴兵制度は廃止され、いまは志願制。ただし、有事の際には、選抜徴兵が実行される。これは18〜25歳の男子の義務となっている。州軍には正規軍の予備役としての役割がある。現にイラクには、アメリカから招集令状を受けた州兵3万人が派兵されている。
 現在、アメリカでは2億5千万丁の銃を9千万人が保有しており、銃によって毎年3万人近く死亡している。しかし、アメリカより銃の所有率が高いカナダでは年間の死亡者は160人にすぎない。銃の所持を禁止している日本でも年に40人が死亡。
 アメリカって本当に怖い国なんですね。
 今の日本は国民皆保険制度だが、アメリカにはこのような制度はない。アメリカでは自分の健康は自分で守るもの。だから、低所得層は無保険とならざるをえない。人口の14%、4000万人が無保険者。公的医療保険制度が2つあるが、あわせても人口の24%が対象。メディケアは65歳以上と身障者が対象で、メディケイドは低所得者層が対象。お金さえ出せば超優秀な医療を受けられるが、そこそこの資産しかなく、メディケイドほど貧しくないという人々は、最先端の医療の恩恵に浴することはできない。
 アメリカでは老後も自己負担が原則。死ぬまで自己責任だ。アメリカの老人介護は、人生の「勝ち組」は超豪華な介護施設で老後を満喫することができる一方で、中間層はナーシングホームにも入れないという現実がある。
 こうやって、いろいろ検討していくと、やっぱり今の日本の方が断然いいと思います。いえ、アメリカがひどすぎるのです。アメリカみたいな国にはなりたくない、したくない。つくづくそう思います。
 「日本はダメな国なんかじゃない」。それがこの本の結論です。
 うーん、やっぱりそうなんですよね。いろいろ参考になりました。

震度ゼロ

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著者:横山秀夫、出版社:朝日新聞社
 警察小説はここまで進化した。
 これは本のオビのうたい文句です。なるほどなるほど、そうかもしれません。県警本部のキャリア組と準キャリア組、そして「地方」(じかた)と呼ばれる叩き上げのノンキャリア組の部長たちとの確執が見事に描き出されています。
 最近、福岡県警本部長が着任早々に病気入院して更迭され、後任の本部長が着任してきました。まだ40歳台のキャリア組です。県警何千人のトップに立つのですが、大変なプレッシャーがかかるのでしょう。
 県警本部長は、飯を食うこととトイレに行くこと以外、自分でやることがない。・・・この本には、そう書かれています。本当でしょうか?
 県警にとって好ましくない話が本部長の耳に入るのを周囲の人間はひどく恐れていて、接触を求めてくる者を厳しくチェックし、選別している。・・・うーん、なるほどー。
 マスコミへの情報漏洩は、気に食わない上司を叩く、腹いせに顔を潰す目的でなされる。これは警察でも当たり前のことになっている。へー、そうなんだー・・・。
 交通部長より生活安全部長の方が格が上。刑事部長は、さらにその上だ。しかし、その上にキャリア組の警務部長が坐っている。警備部長は準キャリアなので、公式の記者会見では交通部長より下に坐らされる。ただし、どこの県警本部にでもあてはまる公式というものではないのかもしれません。
 事件は警務課長の突然の失踪から始まります。もちろん、ここで結末は明かせませんが、あっという驚きのラストです。
 本部長と各部の部長たちはお互いにライバル視し、それぞれに情報を入手しようと疑心暗鬼となり、部下を動かしてしのぎを削ります。情報を一刻も早く握ったものが勝ちなのです。県警本部のなかの人間模様はいかにもドロドロしていて、野望と陰謀が渦巻いています。官舎住まいをしている奥様連中も、夫の地位をカサに来ながら、毎日、角突きあわせるのです。警察官が大変狭い社会に住んでいることがよく分かります。これではストレスがたまるばかりでしょう。心から同情します。
 キャリア組の本部長が、金貸し(ヤミ金の元締めのような存在です)から賄賂(英国高級紳士服のお仕立券。35万円相当)をうけとってしまい、それを返さなければいけないことがストーリーの伏線になっています。県警本部と暴力団・右翼そして財界との結びつきは想像以上に強いようです。政治家も同じです。なにしろ、本部長を1回やったら、それだけでマイホームが一軒たつというのです。オウム(?)から狙撃された国松長官は超高級マンションに住んでいました。でも、警察庁長官といっても公務員だ。そんな超高級マンションが買えるほどの高給取りではない。裏ガネをもらっていたとしか考えられない。そんな疑惑が当時からあります。
 同時に、県警本部の部長たちが退職後に天下りしていく先を確保するのに必死になっている様子も紹介されています。フツーの警察官なら誰でも警察署長になることを憧れるでしょう。キャリア組なら入省して何年かしたら20歳台でなれる地位なのですが・・・。
 いま、私の身内(71歳の元務員)が公選法違反で逮捕され、警察署の留置場に入っています。毎日のように面会しているのですが、身体がきつくてたまらないと嘆いています。朝9時から毎晩11時ころまで取調べが続いて、疲労困憊の状態です。耳元にきて大声で怒鳴る。机の上を平手でバーンと叩く。こんな調子で責め立てられるのです。
 警察って、今でもこんなことをやっているのですね。逮捕されて疲労のきわみにあるなかで、彼らは民主警察なんて、とんでもないウソっぱちだ。そう述懐しています。

プーチニズム

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著者:アンナ・ポリトコフスカヤ、出版社:NHK出版
 ロシアの寒々としたというより、資本主義化したロシアの最悪面と軍隊の本質的悪をいやというほど認識させられる本です。これを読むと、資本主義万歳とか、軍隊に入れて性根をたたき直せという言葉が、いかに間違ったものであるか、よくよく分かります。
 まずは、資本主義国家ロシアの悲惨な実情です。
 1991年、事実上の市場経済が導入され、多くの人が大金を手にして、中流階級が生まれはじめた。ところが、今やそれが消え去っている。
 ロシアでの事業成功の3条件。第1に、最初に国家のおこぼれに与った者が成功する。つまり、国の資産をわがものにした者が勝つ。だから、現代ロシアの大企業の大半の経営者は、かつての共産党の特権官僚や共産党員だ。第2に国の資産をうまく手にしたら、当局と仲良くする。第3に治安機関と仲良くする。
 店舗を手に入れるためには、自分のお金で買う権利を役人に与えてもらわなければいけない。それがロシア式資本主義。ギャングにお金を渡すと、連中がほかのギャングや役人から守ってくれる。ギャングは本当に便利な存在だ。
 エリツィン時代のロシアに犯罪組織が生まれ、成長していった。現在のプーチン政権下では、彼らが国家の舵をとっている。プーチンは富の再分配は不可能であり、すべては現状のままであるべきだと語る。プーチンはチェチェンでは神、いや皇帝のような存在かもしれない。生殺与奪の権を有している。しかし、そんなプーチンもマフィアに手を出すのは恐れている。私たちの想像をはるかに超えて、ここではお金が力をもつ。利益が何百万ルーブルという額になったとき、人の命や尊厳など無価値に等しい。
 ロシア人はマフィア同士を比べて、よりましな方を尊敬する。こっちより向こうの方が性質(たち)が悪いから、と言って。
 法は無法の前にあまりにも無力だ。国民が受けられる司法サービスは国民の属する階級によって決められる。社会上層部、つまりVIPの身分はマフィアや新興財閥が占めてしまっている。持たざる者には、もともと司法などない。
 プーチンが権力の座に就くと、権力機構のあらゆる椅子にKGB出身の人物が座ることになった。6000人を超すKGBなどの出身者がプーチンに続いて表舞台に躍り出て、現在では、ロシアの最上層部にひしめいている。
 プーチンの権力の強大化には西側も手を貸している。イタリアのベルルスコーニ首相だけでなく、ブレア、シュレーダー、シラクの支持を取りつけているし、ブッシュも何ら批判しない。プーチンは、この4年間、政策を国民に説明したこともない。
 プーチンの得意技は軍隊式の独白。階級が下である限り、口を閉ざし、偉くなってから独白しろ。同意するそぶりをするのは部下の義務なのだから・・・。
 まだ日本はここまでひどくはないと私は思います。でも、資本主義万歳を叫んで、弱肉強食のどこが悪いとうそぶきつつ、勝ち組・負け組という小泉流の政治改革をこのまますすめていったら、日本もそのうちロシア式の最悪の資本主義国になってしまうでしょう。
 次にロシア軍の実情。
 兵士が群れをなし、ときに小隊や中隊単位で毎週のように脱走している。2002年の1年間だけで、500人という大隊規模の兵士が暴行によって死亡した。
 兵士は将校の奴隷なのだというのがロシア軍の伝統だ。このロシア軍は常に国家の根幹をなす柱だった。そこは、今も昔も、有刺鉄線に囲まれた強制収容所そのもの。兵士たちが裁判もなく投獄され、将校たちが気まぐれに決めた刑務所並の規則がまかり通っている。
 軍隊の将校は2つに分かれる。一方の現場の将校は、実際に戦闘に参加し、己の生命をかけて山中をかけ巡り、雪や泥の中に何日も身を隠して過ごす。多くは何度も負傷している。もう一方は、すばやく出世する。世の中をうまく泳ぎ切り、別荘などを手に入れる。
 この本には、ロシア軍大佐がチェチェン人の若い民間人女性を村から軍をつかって誘拐し、強姦したうえ殺した事件を、ロシア軍がチェチェンの女狙撃兵を逮捕したところ抵抗したので殺した、このようにごまかそうとした事件が紹介されています。この事件は西側が介入したため、なんとかプーチンによって有罪とされました。
 でも、これって、かつての日本軍も、そしてアメリカ軍もしてきたことではありませんか。軍隊というのは、そういうことをするものだし、軍人による犯罪をかばい、むしろ賞賛すらする組織だというのが本質です。
 本当に背筋まで凍ってしまうほど恐ろしい本です。だからこそ一読をおすすめします。

金沢はおいしい

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著者:金沢倶楽部
 大人のための金沢極上案内というサブタイトルがついています。いかにも美味しそうな料理がカラー写真で紹介され、店のマップもついているので、便利このうえもありません。
 久しぶりに金沢へ行きましたので、私もその前にこの本でしっかり予習し、お店も予約して出かけました。
 人生、健康に生き、元気に死ぬには、なによりも、おいしいものをおいしくいただくことが大切。このなかから、あなただけの「運命の一軒」が見つかりますように・・・。
 この本にはこう書いてあります。まったくそのとおりです。私も、その「運命の一軒」を探りあてることができました。
 まずは、日本料理の「つる幸」です。あとで金沢の弁護士に聞くと、自分たちも滅多に行かない(行けない)店だということでした。6頁にわたってお店と主(あるじ)そして料理が紹介されています。
 なにげない素材をはっとするほどの味に仕上げる工夫は何人も真似ができない。上品、たおやか、そして静謐なたたずまいのひと皿ひと皿に、まさに日本料理の真髄が凝縮されている。料理は楽しく美しく、そして美味しい。一汁一菜の端々にまで、いのちを削った覚悟がこめられている。二代目の主はまだ37歳と、若い。若々しさがあふれる中にも、二代目ならではの力強さがいっそう極まってきたと評判。
 私が行ったのは秋(10月)でしたから、香りのよいホンモノの松茸も出ました。ともかく一皿一皿が本当に手のこんだ料理です。見た目に美しく、眼で秋を感じて楽しませ、舌で味わせてくれるのです。栗のイガイガまで本物そっくりにつくられているのに驚嘆しながら、味わい尽くしました。最後の栗ごはんは、ついつい、日頃になく2杯目を食べてしまいました。若いころと違って、肥満を気にせざるをえないのが残念です。
 翌日は、やはり金沢のお寿司屋さんに出かけることにしました。もと金沢大学が近くにあって、大学の先生方がよく利用していたという「千取(せんとり)寿し」へはるばるタクシーに乗って出かけました。長くて広い板目も見事なカウンターの向こうに、寿司職人が4人も立っています。
 寿司は小ぶりで、ネタとシャリのバランスが実に絶妙である。
 この本に書いてあるとおりです。おまかせコースを最後まで全部食べ尽くし、甘エビに似た「ガス」と呼ぶエビと白い貝殻のむき身を追加して食べました。甘エビにもいろんな種類があるようです。ここでは基本的に金沢近海ものを食べさせてくれます。目の前で、あざやかな手つきで寿司を握ってくれるのを、一つずつしっかりかみしめて味わっていきました。ホンモノの寿司を食べたぞ、と叫びたくなるような満足感にみちみちて店をあとにしました。そして、値段の方も案外に高くなかったので、さらにうれしさが募りました。
 近江町市場にも2度、顔を出しました。生きのいい魚たちがたくさん並べられていました。金沢のおみやげで特筆すべきなのは不室屋の麩です。「宝の麩」を買って帰りました。モナカのような格好をしていますが、お椀に入れて、お湯をそそぐと香りも高いおすましができ上がるのです。これは重宝です。しかも麩ですから、軽くて、お土産品にはもってこいです。それやこれやで、しっかり金沢を堪能してきました。もちろん兼六園にも行き、百万石通りもブラブラしてきました。
 いったい金沢に何をしに行ったのか、ですか。もちろん会議に参加したのです。これからの弁護士はどうあるべきか、しっかり勉強もしてきたのですよ、ホントに。

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