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カテゴリー: 生物

つちはんみょう

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  舘野 鴻 、 出版  偕成社
ヒメツチハンミョウという小さな昆虫の一生が大きく美しく描かれた本です。子ども向けの絵本ではありません。科学絵本です。写真以上に微細に色と形が大きく再現されます。
メス(母親)は4000個もの卵を土の中に生みつけます。1ヶ月後、幼虫がふ化して、地表に出てきます。そして、コハナバチに乗って花にたどり着き、次にヒメハナバチの巣のなかに入りこみます。ヒメハナバチの幼虫を食べ、花粉団子を巣のなかで食べて大きくなります。そして、ヒメハナバチの巣を出て、地上に出て飛んでいきます。
写真もありますが、幻想的な絵として描かれていますので、ツチハンミョウの短い一生がすごく長いものに感じられます。4000個の卵のうち、親になって子どもをもうけるのは、ごくわずかなのです。
それにしても、自力では飛べない幼虫たちが、花にしがみついていて、たまたま飛んできたコハナバチにしがみついて、生きのびるとは、なんと偶然をあてにした生き方でしょう。
でも、人間の一生も偶然性に大きく左右されていますよね。ツチハンミョウの偶然を利用した生き方と、果たして、どれだけの違いがあるのでしょうか・・・。
よくぞ、これほど微細に観察して絵本にしたものです。そのご労苦に敬意を表します。
(2016年4月刊。2000円+税)

虫のすみか

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  小松 貴 、 出版  ペレ出版
 私たちの身のまわりには、庭にも道ばたにも土の中にも、虫たちの不思議な巣であふれているのですね。そのことを満載した写真によって実感できる、楽しい虫の本です。
アリジゴクの主(ぬし)は、ウスバカゲロウの幼虫だったんですね。アリジゴクは、獲物をつかまえると食べるのではなくて、巨大なキバを獲物の体内に突き刺して、中身を吸い取ってしまう。そして、アリジゴクは糞をしない。成虫(ウスバカゲロウ)になったとき、まとめて大きな糞をする。ええっ、そんなことが可能なんですか・・・。
ハチやアリ、シロアリの多くは集団で分業して社会生活を送る。まるで人間のように洗練した高度な社会をもっている。だから、ある高名の昆虫学者が「利口ムシ」だと評した。それに対して、一人で好き勝手に食べて寝て暮らすだけの虫は「馬鹿ムシ」だと評する。しかし、著者は逆だと主張します。
群れなければ何ひとつまともな生活が出来ず、ひとりにされたら惨めに野垂れ死にする社会性昆虫こそ「馬鹿ムシ」であり、誰に教わるわけでもなく、たった一人で精巧な巣をつくり、毒針で狩りをする狩人蜂こそ至高の「利口ムシ」だと・・・。なるほど、ですね。
ヤマアリは強力な蟻酸をもっている。鳥のなかには、わざとアリ塚の上に降り立って暴れ、アリの蟻酸攻撃を受けることで、羽についた寄生虫を退治する「アリ浴び」の習性をもつものがいる。人間も、戦争中、服を洗うことが出来ないとき、ノミやシラミが湧いて困ったら、服をアリ塚に突っ込んで消毒していた。
うひゃあ、そんなこと知りませんでした。そんなことも出来るんですね・・・。
軍隊アリは、ジャングルにはなくてはならない存在である。軍隊アリは、ジャングルの空間にいちばん多く優先して生息する生物を一掃してしまうので、その区画内に「空き」が生まれる。そのことによって、森の生物の種の多様性をつくり出している。なるほど、そういうこともあるんですね。
東南アジアの国にはツムギアリの「アリの子」を食用にしているところがある。アリの幼虫をスープに混ぜたり、お米と一緒に炊いて食べる。かなり酸味の利いた味。まずいというのではないが、決して美味しくもない。そして、ツムギアリの巣を落として、その幼虫を鳥の餌にもしている。
攻撃的なツムギアリは、しばしば害虫駆除のために活用される。
たくさんのカラー写真とともに丁寧に解説されているので、素人にもよく分かります。
(2016年6月刊。1900円+税)

なぜ蚊は人を襲うのか

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  嘉糠 洋陸 、 出版  岩波科学ライブラリー
 ガーデニングの天敵こそ蚊です。冬のガーデニングは蚊がいないので、防寒に気をつけるだけですみます。ところが夏は、熱中症対策だけでなく、蚊から身を守るための装備を欠かせません。
蚊が人間の血液を吸いとったとき、そのお返しに残すのは、痒みだけではない。望まないお土産として、感染症の原因を体内に送り込む。
蚊は病原体の有力な媒介者である。マラリア、フィラリア症、デング熱、日本脳炎、西ナイル熱、そしてブラジル・オリンピックで注目されたジカ熱をもたらす。
蚊は、病原体を充塡した注射器が空を飛んでいるようなもの。
平清盛そして、光源氏はマラリアに襲われた。平安時代は比較的温暖だったことから、マラリアがあたりまえの国土病として存在していた。
著者は研究室で蚊を数万匹の単位で飼育しているとのこと。驚異です。
蚊のオスもメスも、自然界では、花の蜜やアブラムシの排出する甘露をエサとしている。ふだんはそれだけで十分に生きられる。ところが、オスの精子を受け入れたメスは、吸血に対する欲求が高まる。これに対して、処女メスは人間の匂いには全然反応しない。メスの蚊は、卵を少しでもたくさんつくるために、血を必要とする。
蚊は、飛行機に乗って移動する。車輪の格納庫に入り込む。そこはマイナス50度の世界なのだが、蚊は10数時間ほどのフライトなら、その環境下でも生きのびる。
蚊は、人間から遠いところではなるべく最短で標的に向かう。近くなるとジグザグに飛行し、匂いや熱の助けを借りて着地点である肌を探す。
蚊に刺されたくなかったら、明るい色の服を着たほうがよい。
蚊は、血をしこたま吸ってしまうと、それで満足する。血の種類には、まったく無頓着である。
1回の産卵サイクルで生み出す卵の数は、ハマダカラで200個、アカイエカは100~150個。そしてネッタイシマカとチカエイカは100個未満。
蚊についての基礎知識をたっぷりいただきました。
クーラーをつかわない生活をしていますので、蚊取り線香に毎晩お世話になっています。
(2016年17月刊。1200円+税)

カラスの補習授業

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  松原 始 、 出版  雷鳥社
 ゴミ出しは、カラスとの知恵比べです。我が家のゴミには生ごみが入っていませんので、あまりカラスが狙わないはずなのですが、ゴミ袋をつついて内容物を散乱させられたことは数知れません。ネットをかぶせ、ブロックの重しをしていてもダメなことがあります。弱点を巧妙に攻めあげるのです。
朝早くからカラスがカーカーと鳴くと胸騒ぎがしてしまいます。連中がきっとよからぬことを企てているに違いないからです。カラスの集団にやられてしまったら、もうどうしようもありません。ヒヨドリ軍団なんてものではありません。被害のレベルが違います。
この本は400頁近くありますが、前の本に続いてカラスの生態に迫っています。
カラスは南米とニュージーランドにはいない。なぜ、なんでしょうね・・・。
カラフルなカラスはいない。全世界のカラスは白黒か灰色というツートンカラーのみ。日本には、ハシブトガラスとハシボソガラスの2種のみいる。
東京都心のビルが建て込んだ場所にいるのはハシブトガラスだけ。ハシブトは、森林か市街地に住む。ハシボソは田畑や河川敷が大好き。
ハシブトガラスは基本的に地面が嫌いで、あまり降りてこない。カラスが人間を「攻撃」するのは、ヒナの巣立ちの時期。
カラスの集団は若い個体の集まり。カラスのペアは、よほどのことがなければ、ずっと続く。
カラスの寿命は野性でも20年。飼育下では40年も生きたハシボソガラスがいる。
鳥に食べさせてはいけないのがチョコレート。チョコレートに含まれるテオプロミンは鳥にとって毒となる。またアルコールもダメ。
カラスは大型の毛虫を食べる。また、毒をもつヒキガエルも食べる。ヒキガエルの腹側をつついて食べる。毒のある皮だけを残して、きれいに食べているという証拠を残す。
すべての鳥が鼻を利かせることができないというのは間違い。
カラスをふくむ多くの鳥のエサ探知は、視覚に頼っている。鳥の目は良い。高速で動くものを捉える能力だ。
朝、カラスが行動を始めるのは、夜明けの時間ほど・・・。
鳥は耳のいい動物だ。鳥の耳の感度は高い。これは高密度で生えた感覚毛のせいだ。
カラスについて、さらに知りたいと思っている人には最高のプレゼントになる本です。
(2015年12月刊。1600円+税)

猛禽探訪記

カテゴリー:生物

(霧山昴)
著者  大田 眞也 、 出版  弦書房
 熊本に生まれ、熊本で学校の教師をしていた著者が長年の野鳥観察をふまえて、ワシ、タカ、フクロウなどの生態を写真とともに紹介しています。
 クマタカ、オオタカ、イヌワシ、ツミ、トビ、サシバ、ミサゴ、ノスリ、チュウヒ、そしてハヤブサ・・・。著者は遠くから一見して違いが分かるようです。すごい識別眼ですね。私には、どれも似たような猛禽類としか見えません。
猛禽類(もうきんるい)とは、鉤形(かぎがた)に曲がった鋼鉄のような強靭で鋭い爪と嘴を有して、魚類や両生・爬虫類はおろか、さらには同じ鳥類より進化した哺乳類をも鋭い爪で鷲掴みにして捕え、鉤形の嘴と強い背筋力によって肉を引きちぎって食べてしまう猛々しい鳥のこと。タカ目、ハヤブサ目、それにフクロウ目をさす。
フクロウもタカやハヤブサと同じグループなんですね。
イヌワシのエサは、ニホンノウサギ(54%)、ヤマドリ(18%)、ヘビ(17%)。ワシって、意外にヘビをたくさん食べるのですね・・・。地上のヘビが、空中からよく見えるものです。
イヌワシは番(つがい)で狩りをすることが多い。ヒナが育つなかで、先に大きくなったほうが、小さいヒナを殺して、親が食べ、大きなヒナにも食べさせる。これを「イヌワシの兄弟殺し」という。残酷なようですけれど、合理的な子育てなのです。
クマタカは、山里での人の暮らしの中で共存してきた、山里を代表するタカである。
ミサゴは海中の魚を空から襲って食べる。しかし、その狩りは命がけで、獲物が大きすぎると、逆に水中に引き込まれて溺死することもある。
蜂を主食とするハチクマは、マレー半島やスマトラ島と日本を行き来している。50日あまりで、1万キロを飛ぶ。東シナ海を渡るときには、夜間も飛び続ける。いやはや、なんともすごいことです。
ハヤブサは時速282キロという記録をもっている。アマツバメの時速320キロに次ぐ。これって、まるで新幹線並みですね。どうやって、そんなエネルギーをあの小さな身体に保持しておくのでしょうか・・・。
鳥たちと人間がいつまでも共存できる自然環境を保持したいものです。
(2016年5月刊。2000円+税)

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