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カテゴリー: 人間

神さまがくれた漢字たち

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 山本 史也 、 出版  新曜社
はじめ、漢字は、おおむね亀のお腹の甲らや、牛や羊や鹿の肩胛骨に刻まれていた。なんと人の頭骨にも刻まれた。
殷(いん)の国が安陽に定着し、武丁(ぶてい)という王の時期に漢字の世界は成立した。
王は漢字をたよりに神の許しや助けをしきりに求めた。そして、もし要求が実現したときには、それは神の認めによるものだと確信した。そして、神と王とは溶けあい、一体化した。この融合によって、王自身は神とひとしく、神聖な存在となった。
漢字は3300年にわたって生き続けている。漢字ほど時間をこえて生命力をもち続けている文字は世界のどこにもない。
エジプト王朝にも文字があった。ヒエログリフだ。しかし、このヒエログリフは滅びてしまった。シュメール文字も線刻文字も学者の研究対象ではあっても、世界の誰もが使うことがない。
「民」の字は、もとは、大きい矢か針で目を突き刺す形だった。殷王朝を脅かす異民族を戦争で補え、その「人」の「目」に加える処罰を示すものだった。
「童」は、もとは「目」の上に入れ墨(ずみ)がほどこされた形。刑に処せられて僕(しもべ)の身分に落とされた者を「童」(どう)という。
「取」(しゅ)は、戦場で敵の首を討ち取ったとき、敵の左の耳を手で切りとるさまを示す字。
「文身」(ぶんしん)とは、身体に図柄や模様を彫りつけたり、塗りこめたりする聖化の方法のこと。「文」は、もともとは身体を清めるために施す図柄や模様を指していう語だった。
日本の江戸時代、大坂では初生児の男の子には「大」、女の子には「小」の文字を、その額に朱色をもって記した。そのしるしを「あやつこ」と呼んだ。
「女」の字は、両手を交えてひざまずく「女」の姿勢を表している。それは「男」に屈服しているのではなく、つつましく神に仕えて従っている姿。「女」とは、本来、神のかたわらにあることを許された特権的な性をいう。それが「女」の本質であった。
「母」の字は、「女」の胸にゆたかな乳房を加えたもの。「たらちね」とは、本来、満ちたりた乳房の意味。「母」の子をはらむ姿は、「身」の字で示される。
漢字の成りたちを、その根源から説明されていて、とても興味深く読みました。
(2018年5月刊。1300円+税)

脳からみた自閉症

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 大隅 典子 、 出版  講談社ブルーバックス新書
自閉症は、正式には自閉症スペクトラム障害という。スペクトラムとは、連続体のことで、症状が重いものから軽いものまで幅が広いことを意味している。
自閉症は、いわゆる発達障害の一つで、世界のどこの国でも80人から140人に1人は自閉症とされていて、珍しい障害ではない。
自閉症の三大特徴は、社会性の異常、コミュニケーションの障害、常同行動だ。
社会性の異常とは、親とも目をあわさない、人が指をさした方向を見ようとしない、まるで耳が聞こえないかのように名前を読んでも反応がないというもの。そして、自分が知っていること、他人が知っていることの区別ができない。
常同行動とは、同じ行動を繰り返すということ。同じコトバを何度も反復する、同じ動きをやり続ける、一定の場所にとどまって動かないなど、そのあらわれ方はさまざま。ただし、自閉症の常同行動は、極端な集中力のあらわれでもあり、あながち否定されるべきものではない。
ある種の音、光、匂い、触感などに過敏な自閉症児は少なくない。
アスペルガー症候群とは、知的障害をともなわないタイプの自閉症。
ニュートン、アインシュタイン、モーツァルト、ベートーベン、ビル・ゲイツも、みな高機能自閉症だ。
発達障害は、親の「育て方」によって生じるものではない。
自閉症とは、脳の器質的な障害である。すばやい神経伝達ができていないと思われる自閉症の症状には、シナプスの刈り込み不足や、刈り込みムラなどが関与している可能性がある。
自閉症といっても、それぞれの病態は、みな少しずつ違う。
自閉症の人は、脳の左右差が健常者よりも大きい。
親も子も自閉症になるケースは少ない。3%でしかない。
自閉症は、この40年間に、なんと70倍以上に患者数が増加した。その急増の原因は何か・・・。
「パルプロ酸」という抗てんかん薬は、自閉症につながる可能性がある。
父の加齢と子の自閉症のあいだには相関性が認められる。
自閉症をはじめとする発達障害において「親の育て方」が原因であることはない。基本は、脳の発生や発達に関するトラブルから起こる生物学的な障害。ただし、育つ環境が、症状のあらわれ方にまったく無関係だとは言い切れない。
人間と脳について、基礎的なところから深く追求している様(さま)がよく分かりました。
(2016年4月刊。900円+税)

AIと教科書が読めない子どもたち

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 新井 紀子 、 出版  東洋経済新報社
一橋大学法学部を卒業したあと、アメリカのイリノイ大学で数学科を学んだ数学者という著者の経歴は、私には驚きです。というのも、私は高校では理系クラスにいたのですが数学の才能がないことを自覚して、法学部に志願を切り替えたからです。
そして、著者は、「東ロボくん」と名付けた人工知能(AI)を我が子のように育て、東大合格を目ざしてチャレンジしてきた。そして、この「東ロボくん」は、東大には合格できないが、MARCHレベルの有名私立だったら合格できるほどの偏差値に達している。
AIはコンピューターであり、コンピューターは計算機であり、計算機は計算しかできない。
なので、ロボットが人間の仕事をすべて引き受けてくれたり、人工知能が意思をもち、自己生存のために人類を攻撃したりするという考えは、まったく妄想にすぎない。
つまり、AIが人間にとって代わるころはありえない。
コンピューターができるのは、基本的に四則演算だけ。
「東ロボくん」につかった予算は、年間3000万円。このチームはのべ100人以上の研究者が参加した。半分が大学、残る半分は企業からの参加者。
AIがすすむと、かなりの職業がなくなってしまう。たとえば、電話販売員(テレマーケター)、保険業者、融資担当者、銀行の窓口係、スポーツの審判員。
アメリカの職業702種について、その半分が消滅し、全雇用者の47%が失職する恐れがある。
大学入試では、ビッグデータは集めようがない。
ツイッターは、脅迫などの不適切ツイートや残酷画像やアダルト画像などの不適切画像の削除に常に追われている。適切と不適切をAIが自動判定できるか否かが、ツイッターの存続そのものを左右する。
国語と英語の二つは、「東ロボくん」の数式処理では克服できない。行く手を阻んだのは「常識」の壁だった。
AIには、意味を理解できる仕組みが入っているわけではなく、あくまでも「意味を理解しているようなふり」をしている。
AIが計算機であることは、AIには計算できないこと、基本的には、足し算と掛け算の式に翻訳できないことを意味している。
AIはロマンではない。
日本の中学生・高校生の多くは、中学校の歴史や理科の教科書程度の文章を正確に理解できない。これは、とても深刻な事態だ。日本の中高校生の読解力は危機的と言ってよい。その多くは、中学校の教科書の記述を正確に読みとれない。大学教員の多くが、学生の学力の質の低下を肌で感じている。学生との会話が成立しないことがあまりに多いし、増えている。
就学援助の率が高い学校ほど読解能力値の平均が低い。貧困は、読解能力値にマイナスの影響を与えている。
ある中学校では、社会科の教科書の音読を授業中にさせている。文章を正確に、しかも集中してすらすらと読めなければ、スタート地点に立つことさえできない。
東大に入れる読解力が12歳の段階で身につけていると、東大に入れる可能性は圧倒的に高い。
なるほど、そうですよね。日本文の問題を素早く理解することが解決の第一歩です。
なるほど、なるほどと思いながら読みすすめていきました。
(2018年12月刊。1500円+税)

腸で寿命を延ばす人、縮める人

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 藤田 紘一郎 、 出版  ワニブックス新書
免疫と腸内細菌は、相互に頼りあう関係。
腸内細菌の世界の多様性が豊かになるほど、免疫力も高まっていく。赤ちゃんが、人の指でもおもちゃでも、道に落ちているものでも舐めたがるのは、腸内フローラを豊かにして強い免疫力を築こうとする本能のようなもの。
腸は、人が食事をし、排便する日中はもちろんのこと、人が眠っているあいだも活動を活発に続けている。生まれてから死ぬまで片時も休むことなく、フル活動できるだけの持続的で膨大なエネルギーを求めている。
腸内細菌は、ホルモンの合成にも働いている。セロトニンやドーパミンなど、幸せホルモンの前駆体を脳に送り出すのも腸。
悪玉菌には免疫細胞を刺激する作用がある。悪玉菌がまったくいないと免疫もまた育たない。
腸内環境を整えるためには、毎日の食事で水溶性食物繊維と不溶性食物繊維をバランスよくとることが大事。それにはキャベツを食べること。キャベツには、水溶性食物繊維と不溶性食物繊維がバランスよく含まれている。1日に身体が欲するビタミンCは、キャベツの葉を4枚食べたら摂取できる。酢キャベツは、とくにおすすめ。
肉をまったく食べないと、たんぱく質が不足して、新型の栄養失調を起こしてしまう。
菌を敵視していては、決して健康にはなれない。まずは、抗菌グッズの使用をやめよう。テーブルの上やその周辺の床に落ちたものは、食べたほうが免疫は強くなる。家庭内に落ちたものならば、腸内フローラが対応できないほど困った菌が付着する心配もない。
がんを防ぐには、1に、糖質の摂取を控える。2に、食べ過ぎない。3に、ミトコンドリアエンジンをもっと意識して使う。4に、身体を温める。
毎日風呂に入って、身体を温かく保ち、免疫細胞を鍛える。運動は好きなことをする。
著者は週1回、プール通いを実行しています。私も同じです。週1回、夜に30分間で1キロを自己流のフォームで泳いでいます。
がんになると、冷たいものや甘い物が欲しくなる。冷えていて、糖分の多い飲料は、がん細胞の大好物だ。
としをとってきたら、「おいしくない」と感じる食品を無理してとる必要はない。
とても実践的で、大変わかりやすいので、即実行できるものばかりです。
さあ、今日からやってみましょう。
(2018年12月刊。880円+税)
 日曜日の朝、仏検(準一級)の口頭試問を受けました。この1ヶ月ほど、頭のなかは、それで占められていて、落ち着きませんでした。なにしろ、何が出題されるか分かりませんが、3分前に与えられたテーマについて、3分間スピーチをするのです。事前に私が予想したのは、人工知能(AI)は仕事を奪うかと、黄色いベスト現象をどう考えるか、でした。ところが、当時医学部受験で女性が不利に扱われたことが発覚したが、どう考えるか、でした。もう一つは、動物保護の問題です。医学部受験で女性が不利に扱われていたことは、私には驚きでしたので、そのことをまず言って、大学の弁明は理解できなかった、女性医師の労働条件の改善が必要だと述べました。ところが、なにしろフランス語で話すのです。単語がスムースの頭に浮かびません。そして、何が問題の本質なのか、解決のためにどうしたらよいのか、うまく展開できません。3分間スピーチなのに、2分あまりで終了し、あとはフランス人試験官の質問に答えます。質問は分かりますが、うまくフランス語で答えられません。あっというまに7分が終わって、冷や汗がどっと吹き出しました。
 受付の女性は顔見知りですので、「どうでしたか?」と尋ねられ、「いやあ、いつも緊張します。ボケ防止なんですけど・・・」と答え、そそくさと試験会場をあとにしました。1年に1度の口頭試問が終わり、肩の重荷をおろして天神に向かうと抜けるような青空が広がっていました。

人体は、こうしてつくられる

カテゴリー:人間

(霧山昴)
著者 ジェイミー・A・ディヴィス 、 出版  紀伊國屋書店
もっとも身近な驚異の世界、ワンダーランド、それは私たちの人体です。
人間は体内で病気を治す薬まで合成しているのですから、本当に不思議な存在です。
生物が自らを構築するとき、発生に必要な情報は胚(はい)のなかにあり、それを胚自身が読みとって自らをつくりあげていく。外部の図面にもとづくものではなく、外からの指示によるものでもない。
生物構造の場合は、構築にかかわる全要素が責任を共有する。DNAは、いわゆる設計図ではない。そこには詳細な設計図はなく、現場監督もいない。ましてや既存の機械や工具を使えるわけでもない。
生物の材料は三つ。タンパク質、メッセンジャーRNA(mRNA)、DNAの三つだ。
成人の細胞は、数十兆の単位で(37兆個か・・・)、これは銀河系の星の数の10倍以上だ。
細胞には厳密に定められた形がない。ほとんどの細胞は、周囲の環境に応じて形が決まる。ヒトの典型的な体細胞は直径が0.01ミリ。
当初の細胞は、どれも同じ能力をもっていて、人体のどの部分にでもなりうる。たとえば頭部となると決められた細胞が初めからあるわけではないし、指令塔のような細胞が最初からあるわけでもない。
細胞はとても小さいが、細胞内の反応を担うタンパク質はもっと小さく、10万分の1ミリメートルほど。そのタンパク質が溶け込んでいる液体の水分子は、さらに小さい。
胚は、最初の血液細胞を大動脈の壁だった細胞からつくる。これは血管のなかにいる細胞なので、どうやって血管のなかに血液細胞を入れるのかという「難問」は考える必要がない。
人が学習するとは、脳のニューロン同士がシグナルのやりとりを介して結合を変えること。大脳には、数百億のニューロンがあり、成人では一つのニューロンが1000ほどのシナプスをもつので(子ども時代はもっと多い)、大脳全体のシナプスはまさに無数にあると言える。
健康な腸には、組織1グラムあたり10億から100億の微生物がいる。
腸内細菌は、酵素を分泌して、消化や代謝を助けてくれる。
腸内細菌は、毒素あるいは発癌物資になりうる食物分子を細菌酵素によって攻撃してくれるので、食物を安全なものにする役割も果たしている。
人体に有益な菌が豊富な環境として女性の膣もあげられる。
共生細菌は、ヒト細胞とシグナル伝達による会話をする。
腸の共生細菌は、シグナルを出すことで、自らの生存を確保する。
ヒトと腸内寄生虫は、長いあいだ、ともに進化してきた関係にある。
ぜん息は、免疫系のバランスが崩れ、ほこり、動物の毛、花粉といった無害な物質に過剰に反応してしまうのが原因だ。
目のレンズ機能の3分の2は角膜が担っていて、「目のレンズ」と呼ばれる水晶体は3分の1でしかない。
どの動物も、メンテナンス重視で長生きするか、それとも精力的に短く生きるかという選択肢のあいだでバランスをとっている。たとえば、マウスは捕食されるリスクが非常に高いので、短期間で繁殖することに注力する。
ヒトの活力と長寿への投資配分は、祖先がアフリカの平原でさらされていた捕食リスクによって決まったもの。ヒトが生まれながらにもつメンテナンスシステムは、100歳をこえる人はごく一部という仕様だ。
人体の不思議な仕組みの一端を知ることのできる興味深い本です。
(2018年11月刊。2500円+税)

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