(霧山昴)
著者 子ども脱被ばく裁判の会 出版 ままれば出版
東電・福島第一原発事故から15年。子どもたちを学校放射線被ばくから守ろうと立ち上がった親たちがいる。「避難する権利を守ってほしい」 「安全な環境で学ばせたい」あたり前の、切実な親の願いを日本の司法(裁判所)は認めなかった。どうしてなのか…。
未曾有の原発事故が起きたのだから、裁判も未曾有の裁判になって、不思議ではない。
SPEEDI情報は国民に知らされなかった。そのため、浪江町の住民は高線量の津島地区へ身ひとつで避難した。
原子力規制委員会はSPEEDIについて3.11の前には「予測精度は高い」としていたのに、3.11のあとは「不確実性を排除できない」とした。
内閣官房参与をつとめていた小佐古敏荘氏(東大教授)は、年間20ミリシーベルトを乳幼児・小学生にまで求めることは、学問上の見地からも、私のヒューマニズムからも受け入れられないと、記者会見の場で言って辞職した。
年間20ミリシーベルトは、管理区域で作業する放射線業務従事者と同じ数値。子どもたちの学校活動の基準とするには、いかにも乱暴。
放射性物質から放出される放射線は、日々の飲食によって体内に取り込んだ内部被ばくも問題となります。その健康リスクについては、今なお不十分に解明されていません。
福島第一原発から放出された放射性セシウムの半数近くが他の金属とともに直径数マイクロメートルの不溶性の微粒子のかたまりの状態で存在することが判明した。これをCsMPと呼ぶ。このCsMPを体内に取り込んだ場合の生物学的半減期は、正確なことが分かっていない。
福島地裁も仙台高裁も、このCsMPの問題があること自体は認めたものの、科学的に解明されていないので、具体的な悪影響を及ぼす相当の蓋然性があるとは言えないとした。これは「予防原則」に立っていない。科学的に完全に解明されなくても、健康被害をもたらされないよう予防的措置を講じるべきなのです。
いま、高市政権は再び原発再稼働を公然と推進しています。しかし、「原発事故は起きない」という安全神話は崩壊したはずです。そして、いったん事故が起きたら原発は核兵器による攻撃と同じく危険きわまりなく、人類に死をもたらすものです。新たな事故を直視し、予防すること。原発再稼働という無謀なことはやめるべきだと思います。
井戸謙一弁護士らの奮闘に心より敬意を表します。
(2026年7月刊。1760円)


